当記事では、Ryzen 7 4700Uの性能スペック及びベンチマークについて紹介しています。Ryzen 7 3700Uの後継モデルです。AMD第3世代のUシリーズ最上位に位置するCPUです。IntelのハイパフォーマンスモデルであるHシリーズが競合となります。省電力モデルながらHシリーズに匹敵する圧倒的なパフォーマンスが特徴です。
なお、モバイル向けAMD製CPUについては型番と世代が一致していないので注意してください。デスクトップ向けのRyzen 3000シリーズ(第3世代)と共通のZen 2アーキテクチャを採用しています。つまり、デスクトップ向けのRyzen 3000シリーズとモバイル向けのRyzen 4000シリーズが同じ世代ということになります。後継モデルは「Ryzen 7 5700U」あるいは「Ryzen 7 5800U」です。前者はRyzen 7 4700Uと同じZen 2アーキテクチャでリフレッシュモデルだと言えます。開発コードがRenoirからLucienneに変わっています。後者はZen 3アーキテクチャ採用の新しいモデルです。
Ryzen 7 4700Uの基本スペック
世代 | 第3世代 |
開発コード | Renoir(Zen 2) |
コア/スレッド数 | 8 / 8 |
クロック周波数 | 2.00 GHz |
ブーストクロック | 4.10 GHz |
内蔵グラフィックス | AMD Radeon Graphics |
TDP | 15W |
発売日 | 2020年06月01日 |
搭載モデル | 58,410円~ |
目次
Ryzen 7 4700Uのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
◯ | × | ◯ | ◯ | ☆ | × | ◯ |
ゲームの項目を「×」にしているのはゲームプレイ向けのCPUとしてはそれなりの性能を持っているのですが、Ryzen 7 4700U搭載ノートパソコンに外付けのグラフィックボードを搭載したモデルがないからです。CPU内蔵グラフィックスのRadeon GraphicsではHD環境×低設定でのゲームプレイが限界です。快適にゲームがプレイできるとは言えません。3Dグラフィックスも同様です。
Ryzen 7 4700Uのスペック比較
AMD製CPUと比較
Ryzen 7 4700U | Ryzen 5 4500U | Ryzen 7 3700U | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 2 | Zen 2 | Zen + |
プロセス | 7nm | 7nm | 12nm |
コア/スレッド | 8/8 | 6/6 | 4/8 |
ベースクロック | 2.0GHz | 2.3GHz | 2.3GHz |
ターボクロック | 4.1GHz | 4.0GHz | 4.0GHz |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB | 4MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz | DDR4-2400MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
グラフィックコア | 7 | 6 | 10 |
グラフィック周波数 | 1600MHz | 1500MHz | 1400MHz |
TDP | 15W | 15W | 15W |
価格 | - | - | - |
発売日 | Q2 2020 | Q2 2020 | Q1 2019 |
Ryzen 7 3700Uでは4コア8スレッドだったものが、Ryzen 7 4700Uでは8コア8スレッドと物理コアが倍増となっています。当然仮想的なスレッドよりもこの物理コアがアップしたことによるメリットは大きいです。動画編集などマルチコアを活かせる用途で強みを発揮します。ベースクロックは2.3GHz→2.0GHzへと12%引き下げられているものの、ターボクロックは4.0GHz→4.1GHzへと3%引き上げられました。L3キャッシュも倍増の8MBとなっています。
さらに、メモリ規格についてもDDR4-2400MHzからDDR4-3200MHzへとアップグレードが図られています。CPU内蔵グラフィックスについてもパフォーマンスが向上しています。グラフィックコアは10→7へと少なくなりましたが、グラフィック周波数が1400MHz→1600MHzへと引き上げられています。TDP(消費電力)は同じ15Wに留められています。
Ryzen 5 4500Uは、コードネームやプロセスはRyzen 7 4700Uと共通です。コア/スレッドが6コア6スレッドとスペックが落ちています。ベースクロックは2.0GHz→2.3GHZと15%高く、ターボクロックは4.1GHz→4.0GHzと2%低いです。Ryzen 7 4700UをスリムダウンしたモデルがRyzen 5 4500Uと考えて良いですね。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 4700U | Core i7-1065G7 | Core i7-10710U | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 2 | Ice Lake | Comet Lake |
プロセス | 7nm | 10nm | 14nm |
コア/スレッド | 8/8 | 4/8 | 6/12 |
ベースクロック | 2.1GHz | 1.3GHz | 1.1GHz |
ターボクロック | 4.1GHz | 3.9GHz | 4.7GHz |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB | 12MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz | DDR4-2666 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics |
TDP | 15W | 15W | 15W |
価格 | - | $426 | $443 |
搭載モデル | 58,410円~ (Lenovo) | 82,384円~ (DELL) | 131,984円~ (DELL) |
発売日 | Q2 2020 | Q3'19 | Q3'19 |
Core i7-1065G7は、Ice Lake世代のCPUです。10nmプロセスを採用しているのが特徴です。Ryzen 7 4700Uの7nmには劣るものの14nmからは進化しました。コア/スレッドは4コア8スレッドと控え目です。物理コアは半分の4コアに留まります。ベースクロックは35%低く、ターボクロックは4%低いです。L3キャッシュは同じ8MBでメモリ規格もDDR-3200MHzと同じです。Comet Lakeに比べて新しいアーキテクチャを採用したIce Lakeはあらゆる面で優れています。それでもRyzen 7 4700Uのスペックの高さが浮き彫りになりますね。
Ryzen 7 4700UってどんなCPUなの?
省電力モデルとして最高峰のスペックを持つ
Ryzen 7 4700Uは、末尾のUが示す通り省電力モデルとなっています。8コア8スレッドと省電力モデルとしてはかなり高スペックです。Core i7-10710UやCore i7-1065G7などの省電力モデルを圧倒しています。もちろんTDPは15Wに抑えられています。上位のRyzen 5 4600HやIntel Core i7-10750HなどのHシリーズよりも理論上は上です。実際は消費電力の差があり明確な壁が存在していますが、Hシリーズに最も近い性能を持つフラグシップモデルです。
前世代のRyzen 7 3700Uから大きく性能が向上しています。コアやスレッドが増えていることはもちろんアーキテクチャがZen +からZen 2になったこともプラスに働いています。現在Ryzen 3000 Uシリーズを使っている方もこのRyzen 4000 Uシリーズへの買い替えのメリットが大きいです。Ryzen 7 3700Uはやや期待外れだった側面があります。
価格が安くIntelよりもコスパが高い
Ryzen 7 4700Uは、搭載モデルの価格が安いというのが強みになっています。Ryzen 7 4700U搭載モデルは最安値税抜63,184円~で購入できます。正直CPU性能からは信じられないほどの価格設定だと思います。今後もこの価格が続くかはわかりませんが、この性能帯のモデルを探している方は必見です。
Core i7-1065G7が82,384円~、Core i7-10710Uが131,984円~ということを考えると割安感があります。ノートPC本体の機能や構成の違いはあるものの安く購入できるのは魅力的ですね。必要な項目だけカスタマイズで対応することもできるからです。
海外メーカーを中心にラインナップが増えている
Ryzen 7 4700U搭載ノートパソコンは、Lenovo・HP・MSIなどの海外メーカーを中心にラインナップが増えています。国内メーカーだと富士通から販売されています。ただし、富士通のモデルは売り切れが多いことやや価格が高めなことから当サイトではそれほど強くおすすめはしません。国内のBTOメーカーはモバイル向けRyzenシリーズの搭載に消極的です。今後も海外メーカーのみとなるかもしれません。
マウスコンピューターではRyzen 5 3500Uシリーズの取り扱いがありますので、Ryzen 5 4500Uのラインナップは追加されるかもしれません。マウスコンピューターのRyzen 5 3500U搭載モデルは、コストパフォーマンスが高く売れ筋モデルです。合わせてRyzen 7 4700U搭載モデルが販売されると嬉しいですね。
Ryzen 7 4700Uのベンチマーク
Cinebench R20
やはり8コア8スレッドというのは大きなメリットだと言えますね。Ryzen 5 4500Uよりも10%程度高くCore i7-10750Hに次いで高い性能を持っていることがわかります。前世代のRyzen 7 3700Uと比べると倍以上と圧倒的です。Zen 2アーキテクチャがいかに優れたものかということの証明です。
エンコード(Handbrake)
前世代のRyzen 7 3700Uよりも70%近く高速化されています。8コア8スレッドのマルチコア性能が活かせる用途ということです。Intel Core i7-10710Uと比べても25%程度早いです。省電力モデルでは敵なしという状態になっていますね。
7-Zip
PCMARK
Photoshop
Ryzen 7 4700U搭載のおすすめBTOノートパソコン
Inspiron 15 5000 (5505) プラチナ(大容量SSD搭載)(DELL)
サイズ:15.6インチ
価格:89,980円 63,184円
CPU:Ryzen 7 4700U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4 8GB
SSD:512GB
HDD:非搭載
Lenovo IdeaPad Flex 550 – プラチナグレー(Lenovo)
サイズ:14.0インチ
価格:72,380円(税込)
CPU:Ryzen 7 4700U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
ENVY x360 15 パフォーマンスモデル(HP)
サイズ:15.6インチ
価格:139,800円 105,000円
CPU:Ryzen 7 4700U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB
HDD:非搭載
ASUS ZenBook 14 UM425IA(ASUS)
サイズ:14.0インチ
価格:118,000円
CPU:Ryzen 7 4700U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB
HDD:非搭載
LIFEBOOK WNB/E2 KC_WNBE2_A007(富士通)
サイズ:17.3インチ
価格:121,980円(税込)
CPU:Ryzen 7 4700U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4 4GB
SSD:256GB
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 7 4700Uの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しました。Ryzen 7 4700Uは、第3世代Ryzenの省電力モデルであるUシリーズのフラグシップモデルです。8コア8スレッドと省電力モデルとは思えないスペックの高さを誇ります。ベンチマークを見ても競合のIntel Core i7-10710UやCore i7-1065G7を上回り、ハイパフォーマンスモデルであるCore i7-10750Hに匹敵する性能の高さを見せています。
Ryzen 7 4700Uは搭載モデルの価格が安いのも魅力です。Dellの「Inspiron 15 5000 プラチナ」やLenovoの「Lenovo IdeaPad Flex 550」は税抜58,000円と驚きの価格です。Ryzenの最上級モデルがこの価格で購入できるのは嬉しいですね。HPの「ENVY x360 15 パフォーマンスモデル」やASUSの「ASUS ZenBook 14 UM425IA」は税抜10万円と価格が跳ね上がりますが、その分機能性に優れています。国産の「LIFEBOOK WNB/E2 KC_WNBE2_A007」は価格が高すぎてやや厳しい立場です。何を重視してパソコンを選びたいかを基準に考えてみてください。
あなたに合うBTOパソコンを探す
用途などでBTOパソコンを選ぶ
セール | 使用用途 |
GWセール、年末セール等 | ビジネス、動画編集等 |
即納 | サイズ・形状 |
ドスパラの即納モデル等 | 15.6インチノート、スリムタワー等 |
BTOパソコン特徴やショップを比較
価格 | ショップ |
5万円以下、5万円-10万円等 | ドスパラ、パソコン工房等 |
CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |
〇ネベンチR23でやったら6030くらいだった