当記事では、「Core i7-1165G7の性能スペックと搭載BTOノートパソコン」を紹介しています。Tiger lake世代のモバイル向けCPUがついに登場しました。このCore i7-1165G7は薄型のノートパソコン向けのCPUながら高い性能を持っているのが特徴です。4コア8スレッドというスペックでIce Lake世代のCore i7-1065G7の後継モデルということになります。
アーキテクチャの改良などによってここ最近の中で世代間で最もパフォーマンスが向上したと言っても過言ではありません。Iris Xe Graphics搭載でCPU内蔵グラフィックスの性能も引き上げられています。搭載モデルと合わせて詳しく見ていきましょう。なお、すでに後継モデルである「Core i7-1260P」・「Core i7-1255U」が販売されています。前者は性能と消費電力のバランスを取ったモデルで、後者は省電力性重視のモデルです。いずれもハイブリッドコアアーキテクチャを採用していてより高い性能を発揮します。
Core i7-1165G7の基本スペック
世代 | 第11世代 |
開発コード | Tiger Lake |
コア/スレッド数 | 4 / 8 |
クロック周波数 | 2.80 GHz |
ブーストクロック | 4.70 GHz |
内蔵グラフィックス | Iris Xe Graphics |
キャッシュ | 12MB |
Operatin Range | 12W-28W |
発売日 | 2020年10月 |
価格 | $426 |
Tiger Lake世代のCPUではこれまでのTDPという概念をなくして代わりににOperation Rangeと呼ばれる言葉を使用されています。数値に幅を持たせているのは、メーカーが販売するモデルによって異なるからということです。(ASCII, 2020)なお、放熱能力の限界は28Wであることはどのメーカーでも違いはありません。
目次
Core i7-1165G7のおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | △ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ○ | ◎ | ◎ | ☆ | ◯ | ☆ |
動画編集などについては4K動画になるとやや負荷を感じてしまうこともあります。3D CADに関しては軽い作業のみ対応可能です。ゲームプレイについてはいくらCPU内蔵グラフィックスの性能が上がっても外付けのモデルと比べるとパフォーマンスは劣り十分とは言えません。基本的にはCPU内蔵グラフィックスに過度な期待はしない方が良いでしょう。
Core i7-1165G7のスペック比較
Core i7-1065G7と比較
i7-1165G7 | i7-1185G7 | i7-1065G7 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Tiger Lake | Tiger Lake | Ice Lake |
プロセス | 10nm SuperFin | 10nm SuperFin | 10nm |
コア/スレッド | 4/8 | 4/8 | 4/8 |
ベースクロック | 2.8Ghz | 3.0GHz | 1.3Ghz |
ターボクロック | 4.7Ghz | 4.8GHz | 3.9Ghz |
内蔵GPU | Iris Xe Graphics | Iris Xe Graphics | Intel Iris Plus |
キャッシュ | 12MB | 12MB | 8MB |
GPU EUs | 96 | 96 | 64 |
グラフィックス周波数 | 1.3 GHz | 1.35 GHz | 1.1 GHz |
メモリ規格 | LPDDR4x-4267 DDR4-3200 | LPDDR4x-4267 DDR4-3200 | LPDDR4-3733 DDR4-3200 |
Operating Range | 12W-28W | 12W-28W | 15W-25W |
発売日 | Q3'20 | Q3'20 | Q3'19 |
単体価格 | $426 | $426 | $426 |
搭載PC価格 | 102,980円~ | - | 119,980円~ |
結果的にパワー効率が上がりCPU及び内蔵グラフィックスのクロック周波数を引き上げることに成功しました。ベースクロックが1.3GHzから2.8GHzへと220%アップ、ターボクロックが3.9GHzから4.7GHzへと20%アップしています。L3キャッシュが8MBから12MBへと50%引き上げられているのも注目ポイントです。より効率的にデータのやり取りを行うことができアプリケーションの使用が快適になります。
CPU内蔵グラフィックスもこのTiger Lake世代の目玉です。ただし、おすすめ用途のところで見たように外付けグラフィックボードには及びません。あくまでも内蔵グラフィックスの中で高性能だということです。前世代のIris PlusからIris Xe Graphicsと名称が変わっています。Core i7-1065G7のEU数が64基から96基へと50%増量されました。さらに、グラフィックス周波数も1.1GHzから1.3GHzへと18%増えています。Core i7-1065G7と比べるとパフォーマンスが向上していることは間違いないでしょう。
Operating Rangeは12W-28Wとなっています。基本的にはパソコン側でコントロールできると考えて良いでしょう。単体価格は$426で変わりません。なお、上位モデルのCore i7-1185G7になるとクロック周波数が引き上げられるので性能は高くなります。グラフィックス周波数も0.5GHzだけ増えます。コア/スレッドに違いはありません。
Ryzen 7 4700Uと比較
i7-1165G7 | 7 4700U | 5 4500U | |
---|---|---|---|
コードネーム | Tiger Lake | Zen 2 | Zen 2 |
プロセス | 10nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 4/8 | 8/8 | 6/6 |
ベースクロック | 2.8Ghz | 2.0Ghz | 2.3Ghz |
ターボクロック | 4.7Ghz | 4.1Ghz | 4.0Ghz |
内蔵GPU | Iris Xe Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
GPU EUs | 96 | - | - |
Graphics Coreカウント | - | 7 | 6 |
グラフィックス周波数 | 1.3 GHz | 1.6 GHz | 1.5 GHz |
メモリ規格 | LPDDR4x-4267 DDR4-3200 | LPDDR4x-4266 DDR4-3200 | LPDDR4x-4266 DDR4-3200 |
キャッシュ | 12MB | 8MB | 8MB |
TDP | 12W-28W | 15W-25W | 15W-25W |
発売日 | Q3'20 | Q2'20 | Q2'20 |
単体価格 | $426 | - | - |
搭載PC価格 | 102,980円~ | 94,000円~ | 52,592円~ |
このコア数が少ない分をクロック周波数でカバーする戦略を取っていると言えます。ベースクロックは2.8GHz、ターボクロックは4.7GHzとそれぞれRyzen 7 4700Uよりも40%・15%高いです。内蔵GPUについては特性が異なります。性能的には後から出たIris Xe Graphicsが有利でしょう。グラフィックス周波数についてはRyzen 7 4700Uの方が300MHz大きいです。
キャッシュはCore i7-1165G7の方が50%高い12MBとなっています。消費電力についてはほぼ同等ですが、細かいところでは各メーカーから販売されるノートパソコンに依存する形です。Core i7-1165G7はまだ発売したばかりで価格が高めということもあって、Ryzen 7 4700U搭載モデルの方がやや安価です。
Core i7-1165G7ってどんなCPUなの?
Tiger Lake世代で2番目に高い性能を持つ
Core i7-1165G7は、Tiger Lake世代でCore i7-1185G7に次いで二番目に性能の高いCPUです。インターネット閲覧・オフィスアプリ・画像編集・・WEBデザイン・軽いゲームプレイなど多くの方が想定する用途に対応できます。高パフォーマンスなノートパソコンを探している方にとってはベストな選択となるでしょう。
当該モデルは、省電力性も高くエアフローのコントロールもしやすいという特徴があります。本体が薄いノートパソコンも販売されています。持ち運ぶ機会の多い方でも問題なく性能の高さを享受できるのではないかと思います。Core i7-1065G7など先代のIce Lake世代のCPUからの買い替えも選択肢に入ります。
グラフィックス性能がi7-1065G7よりも大幅に向上
Core i7-1165G7になってCPU内蔵グラフィックスの性能が向上しています。特に28W時のパフォーマンスには眼を見張るものがあります。Core i7-1065G7と比べて最大2倍程度伸びています。アーキテクチャが変わってiGPUの要となるEU数(実行ユニット)が多くなったのが大きいですね。
同時にグラフィックス周波数も引き上げられています。設定を下げたり、プレイするタイトルを絞ったりすればゲームにも対応できなくはないです。WEBデザインやRAW現像などにもプラスに働くでしょう。もちろん3Dグラフィックス処理性能自体はGeForce MX350やGeForce GTX 1650搭載モデルと比べると大幅に劣ります。あくまでもCPU内蔵グラフィックスの範囲内で伸びているということです。
国内メーカーのラインナップが揃ってきた
海外メーカーに遅れること数ヶ月が経って国内BTOメーカーからも搭載BTOパソコンがリリースされています。最新モデルの供給に関しては台数を捌ける海外メーカーが有利なのかもしれませんね。DellやLenovoなどの海外メーカーに加えてドスパラ・パソコン工房・フロンティアなどでラインナップがあります。
ドスパラについては最安値クラスのモデルを投入していて勢いがあります。マウスコンピューターは導入までに時間がかかりそうです。ノートパソコンの最新モデル投入が遅れ気味にあるように思います。供給不足なのかそれほど力を入れていないのかは不明です。発売されれば国内の有名メーカーということもあって売れ筋モデルになる可能性は高いでしょう。今後に期待したいところです。
Core i7-1165G7のベンチマーク(CPU)
具体的な性能を測るために各種ベンチマークを見ていきます。ここでは前モデルであるCore i7-1065G7や競合であるRyzen 7 4700Uとの差に注目してください。
Cinebench R20
注目はシングルスレッド性能の高さでしょう。スコアは572と、Ryzen 7 4700UだけではなくハイパフォーマンスモデルであるCore i7-10750Hをも上回っています。シングルスレッド性能を活かせる用途というのがキーになるのではないかと思います。Intelの狙い通りの結果です。
7-zip
Handbrake
Ryzen 7 4700U(25W)と比べるとその差は70%とかなり大きくなります。前世代のCore i7-1065G7(28W)と比べると14%程度パフォーマンスが向上しています。15W時ではその差は5%と小さくなります。より負荷の掛かる状況において強みを発揮するようです。
Adobe Photoshop
Core i7-1165G7のベンチマーク(グラフィックス)
CPU内蔵グラフィックスの処理性能についてもベンチマークで見ていきます。Core i7-1165G7については15W時及び28W時のパフォーマンスも比較していただければと思います。また、MX350搭載モデル(i7-1165G7 15W)との比較もおもしろいでしょう。
Grand Theft Auto V
Civilization Ⅵ
Gears 5
Core i7-1165G7搭載のおすすめBTOノートパソコン
New Inspiron 15 3000 Intel プラチナ(DELL)
価格:121,980円(税込) 87,330円(税込)
液晶:14.0インチ
CPU:Core i7-1165G7
GPU:Iris Xe Graphics
メモリ:DDR4-2666 8GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
THIRDWAVE SA507i(ドスパラ)
価格:109,980円(税込)
液晶:15.6インチ
CPU:Core i7-1165G7
GPU:Iris Xe Graphics
メモリ:LPDDR4x-3733 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
STYLE-15FH121-i7-UXSX(パソコン工房)
価格:119,800円(税込)
液晶:15.6インチ
CPU:Core i7-1165G7
GPU:Iris Xe Graphics
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
STYLE-17FH121-i7-UXSX-D(パソコン工房)
価格:139,800円(税込)
液晶:17.3インチ
CPU:Core i7-1165G7
GPU:Iris Xe Graphics
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
mouse B5-i7 (プレミアムモデル)(マウスコンピューター)
価格:149,800円(税込)
液晶:15.6インチ
CPU:Core i7-1165G7
GPU:Iris Xe Graphics
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
Core i7-1165G7の性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しました。Core i7-1165G7はTiger Lake世代のCPUで省電力モデルながら高い性能を持つCPUです。4コア8スレッドと扱いやすいのも特徴です。前世代のCore i7-1065G7と比べてパワー効率が上がり純粋なCPU性能も引き上げられています。また、CPU内蔵グラフィックスも強化され3Dグラフィックス処理性能も高くなっています。競合のRyzen 7 4700Uと比べるとマルチスレッド性能は劣りますが、シングルスレッド性能では上回っています。インターネット閲覧やPhotoshopなどで強みを発揮できるでしょう。
発売から時間が経ったこともあって価格もこなれて来ました。搭載モデルの中ではDellの「New Inspiron 15 3000 Intel プラチナ」が頭一つ抜けています。税込9万円台と圧倒的に安いです。ドスパラの「THIRDWAVE DX-T7」は非常にバランスの良い一台となっています。国内大手BTOメーカーということもあって安心して購入できますね。マウスコンピューターの「mouse B5-i7 (プレミアムモデル)」は大穴です。セールなどで価格が下がれば非常に魅力的なモデルになるでしょう。構成が充実していることデザイン性が高いことが評価の理由です。
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出典一覧
- 8コア製品も投入予定! 開発者に聞いたTiger Lakeの詳細 インテル CPUロードマップ(ASCII, 2020)