当記事では、Ryzen 7 5800Hの性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しています。待望のRyzen 5000シリーズのハイパフォーマンスモデルが発売開始となりました。Ryzen 7 4800Hの後継モデルです。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高く、負荷の高い動画編集・画像編集ソフトの使用やゲームプレイに適しています。ゲーミングノートPCだけではなくクリエイターモデルにも採用されることが多いです。
Zen 2アーキテクチャからZen 3アーキテクチャになりより性能が引き上げられています。ハイライトとしては、メモリレイテンシの軽減やL3キャッシュメモリの容量アップが挙げられます。これまで苦手だったゲームプレイもIntel製CPUに匹敵する水準まで到達しました。後継モデルはZen 3+アーキテクチャを採用したRyzen 7 6800Hです。大きくアーキテクチャが変わったというわけではありませんが、クロック周波数の引き上げや対応メモリのアップグレードで性能が高くなっています。
Ryzen 7 5800Hの基本スペック
世代 | 第4世代 |
開発コード | Cezanne(Zen 3) |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
クロック周波数 | 3.20 GHz |
ブーストクロック | 4.40 GHz |
内蔵グラフィックス | AMD Radeon Graphics |
TDP | 35W-54W |
発売日 | 2021年1月12日 |
価格 | - |
目次
Ryzen 7 5800Hのおすすめ用途
動画視聴 | Skype | ビジネス | デュアル | デイトレ | マンガ | デザイン |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ◎ | ◎ |
RAW現像 | 動画編集 | 動画投稿 | DTM | ゲーム | 実況 | CAD |
◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
よほど負荷の高いファイルを取り扱わない限り性能不足とは無縁です。ゲームプレイ・ゲーム実況・3D CADに対応できるCPU性能を持っていますが、快適かどうかは搭載するグラフィックボード(グラフィックス処理性能)に依存します。CPU内蔵グラフィックスのRadeon Graphicsでは役不足です。
Ryzen 7 5800Hのスペック比較
AMD製CPUと比較
Ryzen 7 5800H | Ryzen 7 5800U | Ryzen 7 4800H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 3 | Zen 3 | Zen 2 |
開発コード | Cezanne | Cezanne | Renoir |
プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
ダイサイズ | 180 mm² | - | 156 mm² |
トランジスタ数 | 107億個 | - | 98億個 |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 3.2GHz | 1.9GHz | 2.9GHz |
ターボクロック | 4.4GHz | 4.4GHz | 4.2GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 8MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
グラフィックコア | 8 | 8 | 7 |
グラフィック周波数 | 2000MHz | 2000MHz | 1600MHz |
TDP | 35W-54W | 10W-25W | 35W-54W |
価格 | - | - | - |
発売日 | Q1 2021 | Q1 2021 | Q1 2020 |
さらに、スペックでは見えない部分としてCCX構造の変化が挙げられます。Zen 2アーキテクチャでは2基のCCX(最大4基のCPUコアと4MBのL3キャッシュ)を採用していました。これがZen 3アーキテクチャでは1基のCCXに統合(最大8基)されています。これでCCX間でのデータのやり取りが効率的になります。さらにL3キャッシュ容量も16MBを共有できるようになっています。L3キャッシュのボトルネック解消に繋がります。
CPU内蔵グラフィックスも僅かながら変更が加えられています。ただし、アーキテクチャ自体は変わっていませんので大幅なパフォーマンス向上は見込めません。グラフィックコアが7→8へと少しだけスペックアップとなりました。グラフィック周波数も25%引き上げられています。TDPは35W-54Wと変更なしです。
省電力モデルであるRyzen 7 5800Uとの違いを見ていきましょう。コードネーム・開発コード・プロセスは同じです。大きく異なるのは、ベースクロックとTDPです。ターボクロックこそ4.4GHzと共通ですが、ベースクロックは40%も抑えられています。TDPは10W-25Wと省電力性の高さが光ります。8コア16スレッドというスペックでこれだけ消費電力を抑えているのは素晴らしいですね。7nmプロセスだからこそ実現できる水準だと言えます。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 5800H | Core i7-11800H | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 3 | Tiger Lake |
プロセス | 7nm | 10nm |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 3.2GHz | 2.3GHz |
ターボクロック | 4.4GHz | 4.6GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 24MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Intel UHD Graphics |
グラフィックコア | 8 | 32 |
グラフィック周波数 | 2000MHz | 1450MHz |
TDP | 35W-54W | 35W-45W |
価格 | - | $395 |
発売日 | Q1 2021 | Q2 2021 |
ベースクロックはRyzen 7 5800Hの方が40%高く、ターボクロックはCore i7-11800Hの方が5%高いです。L3キャッシュ容量はCore i7-11800Hの方が50%多く24MBとなっています。メモリ規格はDDR4-3200と同じです。CPU内蔵グラフィックスについてはグラフィックコアやグラフィック周波数を参考として掲載していますが、グラフィックコアが圧倒的に多いCore i7-11800Hが大幅にパフォーマンスが高いということではありません。
TDPはRyzen 7 5800Hが35W-54Wなのに対して、Core i7-11800Hは35W-45Wとやや抑えられています。Ryzen 7 5800Hの価格は公開されていませんが、搭載モデルの価格を見るとCore i7-11800Hよりも安いと考えて良いと思います。
Ryzen 7 5800HってどんなCPUなの?
8コア16スレッドと価格帯トップの性能を持つ
Ryzen 7 5800Hは、8コア16スレッドと高スペックなモバイル向けCPUとなっています。この性能帯及び価格帯においてトップクラスの性能を持っています。従来モデルであるRyzen 7 4800Hと比較して10%-20%程度パフォーマンスが高いです。Ryzen 7 4800H自体がかなりパフォーマンスの高いCPUでしたので、その後継モデルというのはかなり期待が持てます。
同じ8コア16スレッドのCPUとしてはCore i7-11800H/Core i7-10875H/Core i9-10980HKなどが挙げられます。Ryzen 7 5800Hの方がいずれのCPUよりも性能が高いです。特に価格が高いCore i9シリーズを上回ってくるのはさすがです。さらに、これまでIntel製CPUに引き離されていたゲーミング適性も向上しています。ゲーミングノートPCで採用されるケースも増えてくるのではないかと思います。Zen 3アーキテクチャ採用で弱点を克服したと言えるかもしれません。
Core i7-11800Hよりもコスパが高い
競合で似たスペックを持つCore i7-11800Hよりもコストパフォーマンスに優れていることが多いです。これはRyzen 7 4800HとCore i7-10750Hでも同様の傾向が見られていました。つまり、Ryzen 7 5800Hを搭載したノートパソコンの価格がより安いということになります。
同等以上の性能を持つCPUであること考えるとユーザーにとって好ましい状況だと思います。ゲーミング性能についてはCore i7-11800Hに劣るものの体感するのが難しい水準まで到達しています。どちらかというとグラフィックスがボトルネックとなりやすいためCPUよりもGPUにお金を掛けるべきで理にかなっています。これなら価格重視で選ぶことも悪くありません。
これまでのRyzen 7シリーズよりもラインナップが豊富
Ryzen 7 5800H搭載モデルのラインナップは豊富です。モバイル向けのRyzenシリーズも確固たる地位を築いていると言えますね。Ryzen 7 4800Hを搭載したモデルも豊富でしたが、Ryzen 7 5800Hはそれ以上ではないかと思います。2021年8月時点でLenovo・MSI・ASUS・Dellなどのメーカーから数種類販売されています。
国内BTOメーカーからはまだ販売されていませんが、Ryzen 7 4800H搭載モデルを販売していた経緯から今後リリースされることは間違いないでしょう。Intel製CPU搭載モデルとの間で価格競争が起こり、結果的にユーザーに還元される形になります。豊富なラインナップがあるというのは評価できます。性能的にイマイチだった第2世代のRyzen 7 3550Hに比べると認知度が大幅に向上しています。
なお、外付けグラフィックボードレスモデルは希少です。CPU内蔵グラフィックスを搭載しているのだからもっとグラフィックスレスモデルが販売されてもいいのではないかと思います。動画編集・画像編集・WEBデザインなどCPU性能を重視したいと考えるユーザーも多いでしょう。
Ryzen 7 5800Hのベンチマーク
Cinebench R20
Intel Core i7-10875Hと比べるとマルチスレッド性能は47%高く、シングルスレッド性能は13%高いです。同じ8コア16スレッドというスペックでここまで差が開くのは驚きですね。最新のCore i7-11800Hと比べてもそれぞれ14%・17%も上回っています。Zen 3アーキテクチャの実力を見せつけた形です。
Adobe Photoshop
Handbrake
Ryzen 7 5800H搭載のおすすめBTOノートパソコン
IdeaPad Slim 560 Pro ゲーミングエディション(Lenovo)
価格:118,470円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800H
GPU:GeForce GTX 1650
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA XL7R-R36 5800H(ドスパラ)
価格:182,980円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800H
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
ALIENWARE M15 RYZEN™ EDITION R5 【台数限定】プラチナ(大容量メモリー&SSD・RTX3070搭載)(エイリアンウェア)
価格:369,980円(税込) 243,735円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800H
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Zen 3アーキテクチャを採用したRyzen 7 5800Hの性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しました。Ryzen 7 5800Hは、8コア16スレッドの高パフォーマンスモデルで高いマルチスレッド性能を持っています。これまで苦手だったシングルスレッド性能を克服しています。例えば、Photoshopなどのアプリケーションやゲームプレイ時のパフォーマンスが大きく引き上げられています。
競合であるCore i7-11800H/Core i7-10875Hよりも価格が抑えられている分コストパフォーマンスに優れています。GTX 1650やRTX 3050を搭載したモデルであればクリエイターPCとしても扱いやすいと思います。ゲームプレイを考えるならRTX 3060以上を選択したいですね。最近はQHD対応モニターを搭載したゲーミングノートPCも発売されています。
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