出典:https://www.amd.com/
当記事では、「Radeon RX 6600の性能スペックと搭載BTOパソコン」を紹介しています。Radeon RX 5700の後継モデルです。2021年8月に登場しているRadeon RX 6600 XTの下位モデルです。FULL HD環境でのゲームプレイに適したグラフィックボードで多くのユーザーにとって十分な性能を有していると言えます。競合モデルはNVIDIAのGeForce RTX 3060です。
RDNA 2.0アーキテクチャを採用して省電力性の高さが強みです。$329という価格でのリリースとなりましたが、昨今の半導体不足の影響でこの価格で購入することは難しいでしょう。Radeon RX 6600 XTの価格が60,000円~に対してRadeon RX 6600は50,000円前後とかなりお買い得感があります。
(+) FULL HD環境に適している
(+) 省電力性に優れている
(-) 定価での購入は難しい
(-) レイトレーシング性能が低い
目次
Radeon RX 6600 XTの性能スペック紹介
Radeon RX 5700と比較
RX 6600 | RX 6600 XT | RX 5700 | |
---|---|---|---|
コードネーム | RDNA 2.0 | RDNA 2.0 | RDNA 1.0 |
GPU | Navi 23 | Navi 23 | Navi 10 |
プロセス | 7 nm | 7 nm | 7 nm |
トランジスタ数 | 110.6億 | 110.6億 | 103億 |
ダイサイズ | 237 mm² | 237 mm² | 251 mm² |
CU数 | 28 | 32 | 36 |
CUDAコア | 1792 | 2048 | 2304 |
RTコア | 28 | 32 | - |
ベースクロック | 1626 MHz | 1968 MHz | 1465 MHz |
ブーストクロック | 2491 MHz | 2589 MHz | 1725 MHz |
メモリ速度 | 14Gbps | 16Gbps | 14Gbps |
メモリ容量 | 8 GB | 8 GB | 8 GB |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリバス | 128 bit | 128 bit | 256 bit |
メモリ帯域幅 | 224.0 GB/s | 256.0 GB/s | 448.0 GB/s |
Infinity Cache | 32MB | 32MB | × |
TDP | 132W | 160W | 180W |
公式価格 | $329 | $379 | $349 |
発売日 | 2021/10/13 | 2021/08/10 | 2019/07/07 |
RX 6600ではクロック周波数も抑えられています。ベースクロックはRX 6600 XTよりも18%低く、ブーストクロックも3%低いです。また、メモリ周りではメモリ速度が16Gbpsから14Gbpsへとダウングレードされています。メモリ帯域幅が12%低く224.0 GB/sとなります。メモリ容量やメモリ規格に変更はありません。Infinity Cache容量も32GBと共通です。TDPはRX 6600の方が23%低く132Wです。価格差は$50となっています。
旧モデルの比較対象としてRX 5700を選択しました。Radeon RX 5600はOEM供給のみで一般的ではないためその上位モデルであるRadeon RX 5700と比較していきます。性能的には同程度である点を押さえておきましょう。Navi 10からNavi 23に変わっています。プロセスは同じ7nmです。トランジスタ数が7%増えて、ダイサイズが5%小さくなっています。
コンピューターユニットの数は20%ダウンで28基となりました。CUDAコア数も20%少ないです。RX 6600では新たにRTコアが搭載されているのがポイントです。これはレイトレーシングのためのコアです。ここまでを見るとRX 5700の方が性能が高そうですね。実はクロック周波数で差別化を図っているのです。
ベースクロックはRX 5700よりも11%高く、ブーストクロックも45%も高いです。ブーストクロックが2.5GHzに近づいているのは圧巻です。メモリ周りではメモリバスがRX 5700から半減となり、メモリ帯域幅も半分になっています。TDPを抑える目的もあるのでしょう。Inifinity CacheはRX 6600のみに搭載されています。TDPはRX 5700よりも27%小さく132Wです。価格差は$20で少し安くなりました。
GeForce RTX 30シリーズと比較
RX 6600 | RTX 3060 | |
---|---|---|
コードネーム | RDNA 2.0 | Ampere |
GPU | Navi 23 | GA106 |
プロセス | 7 nm | 8 nm |
トランジスタ数 | 110.6億 | 132.5億 |
ダイサイズ | 237 mm² | 276 mm² |
CU数 | 28 | 28 |
CUDAコア | 1792 | 3584 |
RTコア | 28 | 28 |
Tensorコア | - | 112 |
ベースクロック | 1626 MHz | 1320 MHz |
ブーストクロック | 2491 MHz | 1777 MHz |
メモリ速度 | 14 Gbps | 15 Gbps |
メモリ容量 | 8 GB | 12 GB |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリバス | 128 bit | 192 bit |
メモリ帯域幅 | 224.0 GB/s | 360.0 GB/s |
Infinity Cache | 32MB | - |
TDP | 132W | 170W |
公式価格 | $329 | $329 |
発売日 | 2021/10/13 | 2021/02/25 |
コンピューターユニットの数は同じ28ですが、CUDAコアの数は大きく異なります。RTX 3060の方がちょうど2倍多いです。RTコアも同じ28です。RTX 3060ではDLSS用のTensorコアが搭載されています。一方で、クロック周波数についてはRX 6600の方が大きいです。ベースクロックは23%高く、ターボクロックも40%も高いです。RTX 3060を圧倒しています。
メモリ周りについてはRTX 3060の方が上ですね。メモリ速度が15 GbpsとRTX 3060の方が速いです。さらに、GPUメモリ容量もRX 6600の50%アップの12GBとなっています。メモリバスもRTX 3060では上位規格の192 bitを採用しています。メモリ帯域幅もRTX 3060の方が60%広いです。メモリの差についてはInfinity Cacheでカバーできます。TDPはRTX 3060よりも27%も低く132Wに抑えられています。
Radeon RX 6600ってどんなグラフィックボード?
FULL HD環境において高いパフォーマンスを発揮する
一方で、レイトレーシング性能についてはRTX 3060に大きく劣ります。従来モデルのRX 5700では採用されておらず第一世代といういことになります。一足先に採用していたNVIDIA製グラフィックボードに比べると厳しい状況です。レイトレーシングをあまり使用しない方向けだと言えますね。もっとも性能的にギリギリということもあってFULL HDをメインターゲットにしているグラフィックボードでレイトレーシングを考えている方は少ないと思います。
省電力性に優れたモデル
Radeon RX 6600は省電力性の高いグラフィックボードとなっています。ゲームプレイ時の消費電力はわずか120Wです。公称のTDPが132Wなので、それよりも10%程度抑えられていることがわかります。上位モデルであるRX 6600 XTよりも25%も消費電力が低いです。さらに、同等の性能を持つRTX 3060よりも34%も消費電力が低いです。
Ampere世代のどのモデルよりも省電力性が高いです。もちろんFULL HD環境を最高設定でゲームをプレイするのに十分な性能を持っています。これはRDNA 2.0アーキテクチャの凄さだと言えますね。RX 6600の低い消費電力のおかげで熱の発生も少ないというメリットがあります。
搭載BTOパソコンのラインナップは限定的
Radeon RX 6600を搭載したBTOパソコンのラインナップはそれほど多くありません。パソコン工房やフロンティアなど少数のBTOメーカーのみが取り扱っている程度です。ドスパラ・マウスコンピューターなどその他の大手BTOメーカーでは取り扱いがありません。RTX 3060と比べて優位性が高いわけではなく取り扱いづらいのかもしれません。今後もそれほどラインナップが増えることはないと思います。
Radeon RX 6600搭載PC使用時のフレームレート一覧
実際のゲームプレイ中のフレームレートを計測しています。FULL HD環境、WQHD環境の2つのパターンでのfpsをまとめています。
*フレームレート(fps)とは、1秒間における表示可能なコマ数です。通常60fps以上の数値があれば快適だと言えます。
Assassin’s Creed Valhalla
一方で、FULL HD環境ではRTX 3060よりも3%フレームレートが高いです。この点においては良い結果が出ていますね。上位モデルであるRX 6600 XTになるとフレームレートが20%以上高くなります。
Far Cry 5
Hitman 3
Borderlands 3
Metro Exodus-レイトレーシング
Radeon RX 6600搭載のおすすめBTOパソコン
LEVEL-M0P5-R56X-DPX(パソコン工房)
価格:154,980円(税込)
CPU:Ryzen 5 5600X
GPU:Radeon RX 6600
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
GXシリーズ FRGXB550/66A(フロンティア)
価格:161,800円(税込)
CPU:Ryzen 5 5600X
GPU:Radeon RX 6600
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R7X6-LCR58X-DPX-L(パソコン工房)
価格:188,980円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800X
GPU:Radeon RX 6600
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、RDNA 2.0アーキテクチャを採用したRadeon RX 6600の性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しました。2021年10月時点でRX 6000シリーズで最も安価なグラフィックボードです。先行して発売されたRadeon RX 6600 XTよりも13%安く、性能は11%低いです。ゲーミング性能はミドルクラスでFULL HD環境でのゲームプレイに適したモデルです。
競合は、NVIDIA GeForce RTX 3060です。同じ価格で性能も同等です。しかしながら、RX 6600は、RTX 3060と比べてタイトルによってはフレームレートが安定しないことがあったり、レイトレーシング性能が極端に低かったりと劣る部分が多いです。AMDファンの方向けのモデルだと言えるでしょう。
搭載BTOパソコンのラインナップはそれほど増えていません。今のところパソコン工房とフロンティアでいくつかのモデルが販売されているだけです。ドスパラやマウスコンピューターなどではラインナップがありません。今後もそれほどラインナップが増えることはないでしょう。競合モデルであるRTX 3060と比べて差別化ができていないのがやや取り扱いづらさに繋がっているのかもしれません。
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テスト環境
CPU | Core i7-7700K |
マザーボード | ASUS Z270 |
メモリ | 16GB |
SSD | Patriot Ignite 960GB |
電源ユニット | Antec HCP-1200 1200W |
冷却システム | Cryorig R1 Universal 2x 140 mm fan |
ソフトウェア | Windows 10 64-bit |
ディスプレイ | Acer CB240HYKbmjdpr 24インチ |