当記事では、Ryzen 9 4900Hの性能スペック&ベンチマークについて紹介しています。第三世代Ryzenシリーズのフラグシップモデルです。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高く幅広い用途で活用できるCPUとなっています。現時点ではRyzen 9 4900H搭載ノートはなく省電力モデルであるRyzen 9 4900HS搭載モデルが主流です。
モバイル向けCPUでは長らくIntel製CPUが王者として君臨していました。競合モデルはCore i9-10980HKです。ここに来てついにAMDが本気を出してきたと言えます。第二世代のZen +アーキテクチャでは太刀打ちできなかった状況で、新しいZen 2アーキテクチャを採用し名誉挽回です。一方で、価格が高くなるというデメリットもあります。強みと弱みを詳しく見ていきましょう。
後継モデルはZen 3アーキテクチャを採用した「Ryzen 9 5900HX」です。CPUコアの最小単位のCCXが8コア/16MB×1基に変わりよりレイテンシ軽減に繋がっています。ゲーミング性能も大きく向上しました。
Ryzen 9 4900Hの基本スペック
世代 | 第3世代 |
開発コード | Renoir(Zen 2) |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
クロック周波数 | 3.30 GHz |
ブーストクロック | 4.40 GHz |
内蔵グラフィックス | AMD Radeon Graphics |
TDP | 45W |
発売日 | 2020年06月01日 |
搭載モデル | 182,455円~ |
目次
Ryzen 9 4900Hのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ☆ | ◯ | ◎ |
デュアル環境構築・マンガ制作・デイトレ・WEBデザイン・ビジネスでは余裕があります。かなりの対応力の高さであることがわかるでしょう。動画編集など負荷の高い作業を行わないのであればオーバースペックになると思います。その場合、Ryzen 7 4800Hに落とすのも一つの方法です。
Ryzen 9 4900Hのスペック比較
AMD製CPUと比較
Ryzen 9 4900H | Ryzen 9 4900HS | Ryzen 7 4800H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 2 | Zen 2 | Zen 2 |
プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 3.3GHz | 3.0GHz | 2.9GHz |
ターボクロック | 4.4GHz | 4.3GHz | 4.2GHz |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB | 8MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
グラフィックコア | 8 | 8 | 7 |
グラフィック周波数 | 1750MHz | 1750MHz | 1600MHz |
TDP | 45W | 35W | 45W |
搭載モデル価格 | 182,455円~ | 182,455円~ | 117,091円~ |
発売日 | Q2 2020 | Q2 2020 | Q2 2020 |
CPU内蔵グラフィックスも強化されています。グラフィックコアが8コアでグラフィック周波数が1750MHzと高いです。消費電力は同じ45Wです。搭載価格についてはかなりの差があることがわかります。Ryzen 7 4800H搭載モデルなら税込12万円台から購入することができます。なお、Ryzen 9 4900Hを搭載したモデルは販売されていないので、Ryzen 9 4900HS搭載モデルの価格を転用しています。注意点としては、フラグシップモデルであるRyzen 9 4900HSでは高性能なグラフィックボードと合わせることが多く価格は上がる傾向にあります。
省電力モデルのRyzen 9 4900HSと比べていきましょう。一番のポイントは消費電力が45W→35Wへと引き下げられている点にあります。より高品質なウェハー(CPUの元になるもの)が使われています。ベースクロックは10%低く、ターボクロックは2%低いです。Ryzen 9 4900Hと比べるとパフォーマンス的には劣りますが、省電力性が高いというメリットがあります。各BTOメーカーでも扱いやすさがありますね。
Intel製CPUと比較
Ryzen 9 4900H | Core i9-10980HK | Core i7-10875H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 2 | Comet Lake | Comet Lake |
プロセス | 7nm | 14nm | 14nm |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 3.3GHz | 2.4GHz | 2.3GHz |
ターボクロック | 4.4GHz | 5.3GHz | 5.1GHz |
L3キャッシュ | 8MB | 16MB | 16MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-2933MHz | DDR4-2933MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics |
TDP | 45W | 45W | 45W |
価格 | - | $583 | $450 |
搭載モデル | 182,455円~ | 286,181円~ | 179,800円~ |
発売日 | Q2 2020 | Q2 2020 | Q2 2020 |
Core i7-10875Hも8コア16スレッドのCPUです。ベースクロックが2.3GHzとRyzen 9 4900Hの3.3GHzと比べるとかなり抑えられています。一方で、ターボクロックは5.1GHzと16%も高いです。少し前まではデスクトップ向けCPUでも5.0GHzの壁がありましたが、今ではノート向けCPUでも達成できています。これがゲームプレイにおいてどのぐらい影響を与えるのか気になるところです。
L3キャッシュはCore i7-10875Hが16MBとAMDの倍の容量があります。メモリ規格はDDR4-2933MHzで、AMDのDDR4-3200MHzよりも規格的に下です。CPU内蔵グラフィックスについてはRyzen 9 4900Hの方が処理性能が高いです。消費電力はどちらも45Wとなっています。Core i7-10875Hの価格は$450です。AMDでは公開されていませんが、ほぼ同等だと考えて良いでしょう。搭載モデルはどちらもRTX 2060を搭載しているので販売価格に大きな差はないように思います。
Crore i9-10980HKはあまり一般的なCPUではありません。スペックはターボクロックが5.3GHzとデスクトップ向けCPUでも霞んでしまうほどです。パフォーマンスが高すぎて扱いきれないというのが本音です。また、価格もかなり高いです。参考として記載している税込30万円というモデルはRTX 2070 SUPERを搭載したゲーミングノートPCです。CPUの発熱量を抑えるために本体にもコストが掛かり価格が跳ね上がります。もちろん高性能なグラフィックボードを搭載していることも要因です。
Ryzen 9 4900HってどんなCPUなの?
第3世代ノート向けRyzenシリーズのフラグシップモデル
Ryzen 9 4900Hは、ノート向けのCPUとして最高峰のモデルと言っても過言ではありません。8コア16スレッドとスペックが高いだけではなく、Zen 2アーキテクチャを採用したことで前世代から大幅に性能が向上しました。Intel Core iシリーズと比べても高い性能を持っています。ゲームプレイ・動画編集・RAW現像・WEBデザインなどこういった作業をノートパソコンで行いたいと考えている方に最適です。
ただし、いいことばかりではありません。問題はクロック周波数が高すぎる(性能が高い)が故に発生してしまう熱です。この熱をうまくコントロールできないとパフォーマンスの低下に繋がってしまいます。高品質な冷却システムを採用したり、エアフローを構築したりとなるとどうしても本体が大きくなってしまいます。ゲーミングノートPCの強みを打ち消してしまうリスクがあるのです。
CPU内蔵グラフィックスの性能もそこそこ高い
Ryzen 9 4900は、Ryzen 7 4800Hと比べてCPU内蔵グラフィックスも強化されています。Ryzen 9 4900Hではグラフィックコアが7コア→8コア、グラフィック周波数が1600MHz→1750MHzとスペックアップが施されています。旧世代のモデルよりも10%程度性能が高いです。CPU内蔵グラフィックスとしてはまずまずの性能を持っていると言えます。
もちろん、外付けのグラフィックボードと比べると当然見劣りしますし、Ryzen 7 4800H搭載のCPU内蔵グラフィックスとの差を体感することは難しいと思います。簡単な3Dグラフィックス処理なら対応できる程度です。サクサクゲームができたり、3D CADができたりということはありませんので注意してください。もっともグラフィックボード搭載モデルが一般的でCPUのみのモデルはほとんど選択肢がないのが現状です。
国内ではRyzen 9 4900HS搭載ノートが主流
Ryzen 9 4900Hは非常に性能の高いCPUですが、残念ながら国内では搭載モデルは販売されていません。海外でのみ入手することができます。国内では省電力モデルであるRyzen 9 4900HS搭載モデルのみASUSから販売されています。価格は税抜18万円前後とゲーミングノートの相場からするとやや高めです。ちなみに海外で販売されているRyzen 9 4900H搭載モデルもASUSから販売されています。
AMDによると、このHSシリーズはただ効率の良いCPUというわけではないということです。メーカーがこのCPUを採用したいと思ったらメーカーはAMDとデザインやシステムの検証を密に進めていく必要があります。独自の判断で進められないということです。
さらに、システム上高品質なパーツが採用されることになります。例えば、省電力性の高いディスプレイ・高性能なメモリ・SSDなどを選択することになります。もし、ノート向けRyzenでHSシリーズを搭載したゲーミングノートPCを選択するならそれはAMDが現時点で提供できる最高峰のモデルであることを意味します。
Ryzen 9 4900H(S)のベンチマーク
国内においてRyzen 9 4900H搭載モデルが販売されておらずデータ取得が困難なので、ベンチマークのデータはRyzen 9 4900HSがメインとなっています。Cinebench R20については、他社サイトを参考にして一覧表をまとめました。その他のベンチマークは全てRyzen 9 4900HSの数値です。
Cinebench R20
一方で、省電力モデルのRyzen 9 4900HSになるとややパフォーマンスが低下します。マルチコア性能では4%低く、Ryzen 7 4800Hを下回ります。Ryzen 9 4900HとCore i7-10875Hを比べるとマルチコア性能で22%の差があります。AMD製CPUの強さが現れています。シングルコア性能についてはわずかにCore i7-10875Hが高いです。
データ参照元:AMD Ryzen 9 4900H – Benchmark and Specs(cpu monkey)
エンコード(Handbrake)
7-Zip
PCMARK
Photoshop
Ryzen 9 4900H(S)搭載のおすすめBTOノートパソコン
ROG Zephyrus G14 GA401IU(ASUS)
価格:182,455円
液晶:14.0インチ 120Hz
重量:約1.65kg
駆動時間:約9.4時間
CPU:Ryzen 9 4900HS
GPU:GeForce GTX 1660 Ti MAX-Q
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
ROG Zephyrus G14 GA401IV(ASUS)
価格:199,818円 181,636円
液晶:14.0インチ 120Hz
重量:約1.65kg
駆動時間:約9.4時間
CPU:Ryzen 9 4900HS
GPU:GeForce RTX 2060 MAX-Q
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
ROG Zephyrus G14 GA401IV(ASUS)
価格:195,273円
液晶:14.0インチ 120Hz
重量:約1.65kg
駆動時間:約9.4時間
CPU:Ryzen 9 4900HS
GPU:GeForce RTX 2060 MAX-Q
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 9 4900Hの性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しました。モバイル向け第3世代Ryzenシリーズのフラグシップモデルです。8コア16スレッドとコア数も多くそれでいてクロック周波数もかなり高められています。ゲームプレイ・動画編集・RAW現像・WEBデザインなど負荷の掛かる作業にも余裕を持って対応することができます。CPU内蔵グラフィックスもそこそこ性能が高く一般的な3Dグラフィックス処理なら対応可能です。
2020年9月の時点ではRyzen 9 4900H搭載モデルは販売されておらず省電力モデルであるRyzen 9 4900HS搭載モデルのみとなっています。ASUSからのみ販売中です。Ryzen 7 4800H搭載モデルに比べると数は少ないです。GTX 1660 Ti MAX-Q搭載の「ROG Zephyrus G14 GA401IU」あるいはRTX 2060 MAX-Q搭載の「ROG Zephyrus G14 GA401IV」・「ROG Zephyrus G14 GA401IV」が選択肢になります。今後ラインナップが増えてくると面白くなりますね。
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