画像引用元:https://www.scan.co.uk/
当記事では、「Core i3-9350Kの性能スペックとベンチマーク」を紹介しています。第九世代のライトクラスであるCore i3シリーズ最上位モデルで2019年4月に登場しました。オーバークロックに対応したCPUとなっています。
販売当時Core i3-9350Kを搭載したBTOパソコンはほとんどありませんでした。性能的にも価格的にも中途半端な位置づけということもあり候補に上がりにくい残念なモデルとなっています。パソコンショップセブンやサイコムなど玄人向けのショップで取り扱いがあるぐらいです。また、自作ユーザーなら選択肢に入るかもしれません。
(+) Core i3シリーズ最上位モデル
(+) オーバークロックに対応している
(-) Core i5-9400Fなどと比べてやや立ち位置が難しいCPU
(-) 搭載BTOパソコンはほとんどない
Core i3-9350Kの基本スペック
ブランド | Intel |
世代 | 第9世代 |
開発コード | Coffee Lake-R |
コア/スレッド数 | 4 / 4 |
クロック周波数 | 4.00 GHz |
ブーストクロック | 4.60 GHz |
内蔵グラフィックス | 搭載 |
TDP | 91W |
発売日 | 2019年4月頃 |
価格 | $173 |
目次
Core i3-9350Kのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
◎ | ☆ | △ | △ | ◯ | ◯ | ◯ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
◎ | △ | ◯ | △ | ☆ | △ | ◯ |
クロック周波数が高いのでゲームもある程度プレイできます。ただ、ゲームでも得手不得手がはっきりでてくるのでゲームをメインとして考えるのはおすすめできません。RAW現像などのアプリケーションを使用する用途では、クロック数の高さや処理性能の高さからCore i5シリーズよりも有利に働くことがあります。コア数が重要となる動画編集や動画投稿は苦手です。
Core i3-9350Kのスペック比較
i3-9350K | i5-9400F | i3-9100F | i3-8350K | |
---|---|---|---|---|
コードネーム | Coffee Lake-R | Coffee Lake-R | Coffee Lake-R | Coffee Lake |
世代 | 第九世代 | 第九世代 | 第九世代 | 第八世代 |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm | 14nm |
コア/スレッド | 4/4 | 6/6 | 4/4 | 4/4 |
ベースクロック | 4.0GHz | 2.9GHz | 3.6GHz | 4.0GHz |
ターボクロック | 4.6GHz | 4.1GHz | 4.2GHz | - |
L3キャッシュ | 8MB | 9MB | 6MB | 8MB |
内蔵GPU | UHD630 | 非搭載 | 非搭載 | UHD630 |
対応メモリ | DDR4-2400 | DDR4-2666 | DDR4-2400 | DDR4-2400 |
TDP | 91W | 65W | 65W | 91W |
単体価格 | $184 | $157 | $97 | $179 |
搭載PC価格(参考) | 89,640円~ | 45,980円~ | - | - |
発売日 | 2019年4月23日 | 2019年1月8日 | 2019年4月23日 | 2017年10月5日 |
次に、上位モデルとなるCore i5-9400Fとの比較です。コア数・スレッド数はCore i5-9400Fがそれぞれ2つずつ上回っています。ベースクロックはi3-9350Kが37%ほど高くなっており、ターボクロックは約12%上回っています。シングルコアで見ればCore i3-9350Kの方がCore i5-9400Fよりも優れていて、総合性能はi5-9400Fの方が優れているということになります。
このクロック数が高いことが消費電力の高さに繋がっていて、Core i5-9400Fよりも40%ほど高くなってしまっています。一番のネックは下位モデルであるはずのCore i3-9350Kのほうが上位モデルのi5-9400Fよりも価格が20%以上高いことにあります。これにより、Core i3-9350Kはシングルコアを活かす一点のみとなり、需要がかなり限られています。
最後に、下位モデルのCore i3-9100Fと比較します。L3キャッシュ、ベースクロック、ターボクロックでCore i3-9350Kが上回っていて、性能ではかなりの差があります。Core i3-9100Fになると価格は半額以下で、省電力性も高いというメリットがあります。ですのでCore i3-9100FはCore i3-9350Kよりも低価格で用途も広いことで需要も圧倒的に高くなっています。これらのことからも分かる通り上にも下にもCore i3-9350Kの良さを奪う製品があるのは厳しいでしょう。
Core i3-9350KってどんなCPUなの?
Core i5シリーズに近い性能を持つ面白いCPU
Core i3-9350Kはエントリーモデルでもミドルクラスとも言えない中間のモデルです。純粋な処理性能を求めるならCore i5-9400Fのほうが良いですし、コストパフォーマンスを求めるなら下位モデルのCore i3-9100Fのほうが優れています。中間なのは性能だけで、価格はCore i5-9400Fの方が安く選びやすいので、Core i3-9350Kに良いところはあまりありません。
オーバークロックをすればよりCore i5-9400Fに近付きますが、初心者が手を出すべきではありませんね。時代が進むにつれてマルチコア、マルチスレッドに対応したアプリになっていきます。そのため、シングルコアの性能に優れるCore i3-9350KFが活かせる場面はかなり少なくなっています。Core i5-9400Fのほうが性能もコスパも高く、搭載モデルも多いので良いでしょう。
ターボクロック対応もCore i3の良さを潰す
第9世代になり、初めてCore i3シリーズでもターボクロックに対応となりました。ターボクロックは使用していないコアを停止し、一つのコアに力を注ぐことでシングルコアの性能を高める機能です。これで大きく性能を伸ばしましたが、同時に価格と消費電力もアップしてしまい、Core i3シリーズのコスパと省電力性が失われました。
Core i3-9350KはCore i5シリーズに近づき過ぎました。元々Core i5とCore i3は選択肢に交わることがほとんどなく、用途や価格で選ぶというものでした。価格が近づくどころか飛び越えてしまったことで、どちらを選ぶかという選択ではなくなりました。それならコア/スレッドの多いCore i5シリーズの方が優位性が高いです。
性能・価格・省電力性とCPUに求められる全ての点でCore i5-9400Fが上回り、Core i3-9350Kは選択する価値すらも失い、市場でもほとんど見かけません。一方で、下位モデルのCore i3-9100はCore i3シリーズの良さと特徴を持っています。Core i3シリーズの魅力はCore i3-8100に集中しそうです。
Core i3最上位モデルに見る将来性
Core i3-9350Kはおすすめできません。しかしながら、第9世代が目指したCore i3の形というのは従来のCore i5シリーズを超えるというところにあったのかもしれません。Core i3-9100FはCore i3シリーズの良さを引き継ぎ、Core i3-9350KはCore i5シリーズの代替として、より幅広く選択できるように登場したとも考えられます。
i3では性能が足りず、Core i5では性能が高く予算も合わない。そんなニーズに対し、性能の高いCore i3を登場させることで安いパソコンの受け皿を広げようとしていたのかもしれません。もしもそうであるならば、第10世代のCore i3は今のCore i5を大きく超えることになるでしょう。Core i3-9350Kを選択するメリット、良さはありません。ですが、次に繋ぐ試金石としては十分な可能性を残せたのではないでしょうか。
ベンチマークでわかるCore i3-9350Kの性能!
Cinebench R15
Handbrake
PCMark 10 Photo Editing
3DMark Time Spy (CPU Test)
VRMark
FAR CRY 5
Core i3-9350Kの消費電力
Core i3-9350K搭載のおすすめBTOパソコン
Core i3-9350K搭載モデルがないためCore i3-9350KF搭載モデルをピックアップしました。末尾にFが付いたモデルは、内蔵GPU非搭載というだけで基本的なスペックは同じです。
BR-IC4B36MG1-SH(ark)
価格:91,300円(税込)
CPU:Core i3-9350KF
GPU:GeForce GT 710
メモリ:DDR4 8GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
BR-IC4B36AG1-S(ark)
価格:111,100円(税込)
CPU:Core i3-9350KF
GPU:GeForce GT 710
メモリ:DDR4 8GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:2TB
当記事のまとめ
当記事では、ライトクラスのCore i3シリーズである「Core i3-9350K」の性能スペックについて紹介しました。ターボクロックに対応したことで性能は大きく向上しました。しかし価格がi5-9400Fを超えてしまったのは致命的で、いくら機能面での成長があったとしても上位モデルには届きません。
内蔵GPU非搭載はグラフィックボードが必須になるので低価格CPUにとっては致命的です。一般的な用途、それ以上の用途でもある程度の性能を発揮できるCPUなので、今後価格が大きく下がれば評価も変わることでしょう。
BTOパソコンでの搭載モデルはそれほど多くありません。arkの「BR-IC4B36MG1-SH」、「BR-IC4B36AG1-S」の二種類です。Core i3-9350KF=Core i3-9350K-内蔵GPUと考えておけばOKです。
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CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |
ベンチマークテスト環境
グラフィックボード | GeForce RTX 2080 Ti |
マザーボード | X570 |
メモリ | 2x8 GB DDR4 3200 |
電源ユニット | 1200 Watt Platinum Certified Corsair AX1200i |
ソフトウェア | Windows 10 64-bit |
ディスプレイ | Dell 3007WFP ASUS PQ321 native 4K UHD Monitor |