当記事では、「Core i9-10850Kの性能スペックとベンチマーク」を紹介しています。2020年7月27日に国内での販売が決まった新しいCPUです。Core i9-10900Kのスペックを僅かに落とした廉価モデルとなっています。ほぼ同等のパフォーマンスを得られるためユーザーからすると魅力的なモデルです。
品薄状態のCore i9-10900Kの隙間を埋める存在です。フラグシップモデルであるCore i9-10900Kでは最高品質のシリコンウェーハが使われますが、Core i9-10850Kになると取れる数が少しだけ多くなるので生産がしやすいというメリットがあります。後継モデルはRocket Lake世代の「Core i9-11900K」です。8コア16スレッドとスペックダウンとなったもののアーキテクチャが変わってより高いパフォーマンスを発揮します。
Core i9-10850Kの基本スペック
世代 | 第10世代 |
開発コード | Comet Lake |
コア/スレッド数 | 10 / 20 |
クロック周波数 | 3.60 GHz |
ブーストクロック | 5.20 GHz |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 |
TDP | 125W |
発売日 | 2020年7月27日 |
価格 | $453 |
目次
Core i9-10850Kのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ☆ | ◎ | ☆ |
Core i9-10850Kのスペック比較
Intel製CPUと比較
i9-10850K | i9-10900K | i9-10900 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Comet Lake | Comet Lake | Comet Lake |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
コア/スレッド | 10/20 | 10/20 | 10/20 |
ベースクロック | 3.6GHz | 3.7GHz | 2.8GHz |
最大ブーストクロック | 5.2Ghz | 5.3GHz | 5.2GHz |
Turbo Boost 2.0 *1 | 5.0GHz | 5.1GHz | 5.0GHz |
Turbo Boost Max 3.0 *2 | 5.1GHz | 5.2GHz | 5.1GHz |
Thermal Velocity Boost *3 | 5.2GHz | 5.3GHz | 5.2GHz |
L3キャッシュ | 20MB | 20MB | 20MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 | UHD Graphics 630 | UHD Graphics 630 |
メモリタイプ | DDR4-2933 | DDR4-2933 | DDR4-2933 |
最大メモリ幅 | 45.8 GB/s | 45.8 GB/s | 45.8 GB/s |
TDP | 125W | 125W | 65W |
価格 (実売価格) | $453 (62,000円) | $488 (72,000円) | $439 (58,000円) |
発売日 | 2020年7月21日 | 2020年5月20日 | 2020年5月20日 |
*2 2つのコアについてクロック周波数をさらに引き上げられる機能です。Turbo Boost 2.0よりも一段階クロック周波数が高くなります。
*3 1つのコアについてクロック周波数を最大限まで引き上げられる機能です。温度が70℃以下でかつTurbo Boost Max 3.0の条件を満たす必要があります。
実際この性能差を体感することはできないと思います。CPU内蔵グラフィックス・メモリタイプも共通です。定価はCore i9-10900Kの$488に対して、Core i9-10850Kは$453と$35安いです。国内での販売価格を見ると1万円程度の差があります。ほぼ同等の性能であることを考えると1万円安くコスパは高いと言えます。
Core i9-10900に+$14でフラグシップモデルに近い性能が手に入ると考えると安いです。国内販売価格だと4,000円程度の差があります。BTOパソコンの場合Core i9-10900搭載モデル自体が希少なのでCore i9-10900KあるいはCore i9-10850Kを選択する必要があります。スペックを見てもコストパフォーマンスの高いCPUであることがわかります。
AMD製CPUと比較
Core i9-10850K | Ryzen 9 3900XT | Ryzen 7 3800XT | |
---|---|---|---|
コードネーム | Comet Lake | Zen 2 | Zen 2 |
プロセス | 14nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 10/20 | 12/24 | 8/16 |
ベースクロック | 3.6Ghz | 3.8Ghz | 3.9Ghz |
ターボクロック | 5.2Ghz | 4.7Ghz | 4.7Ghz |
L3キャッシュ | 20MB | 64MB | 32MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 | 非搭載 | 非搭載 |
メモリ | DDR4-2933 | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
CPUクーラー | 非搭載 | 非搭載 | 非搭載 |
TDP | 125W | 105W | 105W |
価格 | $453 (62,000円) | $499 (64,000円) | $399 (47,000円) |
発売日 | 2020年7月21日 | 2020年07月18日 | 2020年07月18日 |
Ryzen 9 3900XTは、コア/スレッドが12/24とCore i9-10850Kよりも20%多いです。CPUとしての性能はRyzen 9 3900XTの方が高いです。ベースクロックは3.8GHzと0.2GHz高く、ターボクロックは4.7GHzと0.5GHz低いです。コア/スレッドが多い分クロック周波数は少し抑えられています。これがアプリケーションによってどのような影響を与えるのか気になるところです。
AMD製のCPUにはCPU内蔵グラフィックスが搭載されていません。その点Core i9-10850Kは内蔵グラフィックスが搭載されていて強みになります。もっともこのクラスならグラフィックボードを搭載することが多いと思いますので、それほど気にしなくても良いかもしれません。メモリ規格についてもRyzen 9 3900XTの方が最新のものです。
消費電力についてもCore i9-10850Kの方が高く、省電力性はRyzen 9 3900XTの方が優れています。価格はRyzen 9 3900XTの方が2,000円高いです。Ryzen 7 3800XTは、8コア16スレッドとCore i9-10850Kよりも20%少ないです。ベースクロックは3.9GHz、ターボクロックは4.7GHzとなっています。価格は47,000円と15,000円安く購入できます。
Core i9-10850KってどんなCPUなの?
Core i9-10900Kよりも安価でほぼ同等の性能を持つ
Core i9-10850Kは、コストパフォーマンスに優れたCPUです。なぜならフラグシップモデルであるCore i9-10900Kと同等の性能を持ちながら1万円も安く購入することができるからです。グラフからも分かる通りほとんど性能は同じです。ゲームプレイはもちろん動画編集・RAW現像・3D CADなどの使用にも最適です。ゲーマーの方だけではなくクリエイターの方にもおすすめです。ゲーム用途で考えると競合のRyzen 9 3900XTよりも有利です。
品薄状態のCore i9-10900Kの代替品として十分過ぎるCPUだと思います。Core i9-10900Kの購入を考えている方はCore i9-10850Kについても検討してみると良いですね。定価では$35の差ですが、国内の実売価格ではそれ以上に差が開いていることになります。搭載モデルでも同様に1万円程度の差が生まれています。
Core i9シリーズをゲーミングPC(あるいはクリエイターPC)に搭載するとなるとCPU以外のパーツにもお金が掛かります。例えば、CPUクーラー・マザーボード・電源ユニットなどです。特に発熱に関する部分でCPUクーラーや電源ユニットへの投資は必須です。浮いた1万円でこれらのパーツに予算を割り振ることができます。
Core i9-10900Kよりパワー効率が良くなっている
Core i9-10850Kは、価格面以外にも強みがあります。省電力性の高さです。CPU全体で見れば当然消費電力は高いです。それでもCore i9-10900Kと比べるとやや消費電力が小さくなっています。アプリ高負荷時・低負荷時でもCore i9-10900Kに比べて7%程度省電力です。ゲームプレイ時の消費電力は最も低いという結果になりました。
Ryzen 9 3900XTも省電力性の高いCPUです。ゲームプレイ時は最も消費電力は高くなっていますが、アプリ高負荷時などは抑えられています。Ryzenシリーズに比べるとやや物足りないかもしれませんね。基本的に消費電力は小さいに越したことはないでしょう。夏場などはかなりパソコンが熱くなってしまいエアコンの効果が小さくなってしまうことも考えられます。
搭載モデルはドスパラで購入可能
2020年9月時点でCore i9-10850K搭載BTOパソコンを販売しているのはドスパラのみです。発売当初よりも1万円の値引きが適用となり、Core i9-10850Kの長所を活かせているように思います。ショップ側でもCore i9-10900Kとの差別化をしっかり行っています。
ユーザーからするとCore i9-10900Kと同等のモデルを安く購入できますので、メリットしかありません。今後G-Tune・パソコン工房・パソコンショップセブンなどで販売されるのではないかと期待しています。もしかしたらクリエイター向けモデルも登場するかもしれません。それだけポテンシャルの高いCPUなのです。
Core i9-10850Kのベンチマーク
Cinebench R20
7-Zip
Core i9-10850Kのゲームプレイ時のフレームレート
Shadow of the Tomb Raider
Far Cry 5
Core i9-10850K搭載のおすすめBTOパソコン
GALLERIA ZA9C-R70S(ドスパラ)
価格:209,980円
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 2070 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
GALLERIA ZA9C-R80S(ドスパラ)
価格:229,980円
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
GALLERIA ZA9C-R80T(ドスパラ)
価格:279,980円
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 2080 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
当記事のまとめ
当記事では、2020年7月に発売されたばかりのCore i9-10850Kの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しました。品薄状態にあるCore i9-10900Kの需要に応えるために発売されたCPUです。Core i9-10900Kに匹敵する性能を持ちながら価格も安くコストパフォーマンスに優れています。僅かにクロック周波数を落としているだけで性能は同等です。
現時点でCore i9-10850K搭載モデルを販売しているのはドスパラだけです。RTX 2070 SUPER以上のハイクラスのグラフィックボードを搭載したモデルとなっています。高解像度でのゲームプレイや高リフレッシュレートモニターを活かしたいと考えているゲーマーの方は必見です。もちろんグラフィックボードが必要なクリエイターの方にもおすすめです。
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