当記事では、「Core i7-1065G7の性能スペックとベンチマーク」を紹介しています。Ice Lake世代の最新のモバイル向けCPUです。Intelがプロセス技術及びアーキテクチャを同時に変えたのは初めてです。ついに10nmプロセスを採用しています。
簡単に言えばこれまでの世代のCPUと比べて一気に進化したことを意味します。ただし、パフォーマンスだけを見るとそれほど大きくは変わっていません。クロック周波数をそれほど高くできておらずまだまだ進化過程ということになります。それでは具体的に何が変わったのかそれを見ていきましょう。
同じ時期にComet Lakeの「Core i7-10710U」がリリースされています。14nmプロセスと一世代前のアーキテクチャですが、その分熟成されたCPUとなっています。6コア12スレッドと省電力モデルとして高いスペックを誇ります。マルチスレッド性能を重視したい方におすすめです。
現在後継モデルの「Core i7-1165G7」が登場しています。さらにプロセスに改良が加えられてクロック周波数が高くなりました。国内での搭載モデルはほとんどありません。価格が安くなっているCore i7-1065G7が狙い目だと言えるかもしれません。
Core i7-1065G7の基本スペック
世代 | 第10世代 |
開発コード | Ice Lake |
コア/スレッド数 | 4 / 8 |
クロック周波数 | 1.30 GHz |
ブーストクロック | 3.90 GHz |
内蔵グラフィックス | Intel Iris Plus Graphics |
TDP | 15W |
発売日 | 2019年9月 |
価格 | $426 |
目次
Core i7-1065G7のおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | △ | △ | ◯ | ◯ | △ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | × | ◎ | ◯ | ☆ | ◯ | ☆ |
ゲームプレイについては解像度・設定に妥協すればできないことはありません。HD環境×低設定あるいは中設定が基準となります。しかし、外付けのグラフィックボード搭載モデルに比べるとグラフィックス性能が高いとは言えないので、ゲームメインで使うにはおすすめできません。ゲーム実況目的も同様です。
Core i7-1065G7のスペック比較
Core i7-8565Uと比較
i7-1065G7 | i7-8565U | i7-8550U | |
---|---|---|---|
コードネーム | Ice Lake | Whiskey Lake | Kaby Lake-S |
プロセス | 10nm | 14nm++ | 14nm+ |
コア/スレッド | 4/8 | 4/8 | 4/8 |
ベースクロック | 1.3Ghz | 1.8Ghz | 1.8Ghz |
ターボクロック | 3.9Ghz | 4.6Ghz | 4.0Ghz |
内蔵GPU | Intel Iris Plus | UHD 620 | UHD 620 |
GPU EUs | 64 | 24 | 24 |
メモリ規格 | LPDDR4-3733 DDR4-3200 | LPDDR3-2133 DDR4-2400 | LPDDR3-2133 DDR4-2400 |
TDP | 15W | 15W | 15W |
発売日 | Q3'19 | Q3'18 | Q3'17 |
単体価格 | $426 | $409 | $409 |
搭載PC価格 | 119,980円~ | 94,980円~ | 89,980円~ |
Whiskey LakeからIce Lakeになって大きく変わったことの一つとしてプロセスが14nm→10nmへと縮小化されたことが挙げられます。基本的にプロセスは小さい方がパワー効率が上がりパフォーマンスが向上すると考えて良いでしょう。スペックを前モデルであるCore i7-8565U比較するとベースクロックが28%ダウン、ブーストクロックが15%ダウンとなっているものの性能はアップしています。
普通ならクロック周波数も引き上げられると考えるのが普通でしょう。Sunny Coveコアでは、IPC(instructions per cycle)が改善されたことで効率が良くなり性能アップにつながっているのです。Intelによるとおよそ18%改善しているということです。結果的にはCore i7-8565Uを上回るパフォーマンスを発揮します。
メモリの規格も進化しています。今後 LPDDR4が主流になると考えられます。もう一つ大きな改善点は内蔵GPUです。数世代に渡りUHD 620が搭載されていましたが、Ice LakeではINtel Iris Plusへと変更されました。これによってオンボードGPUの性能が大幅にアップしてクリエイターの方にとってより魅力的なCPUへと変貌しています。詳細は次の項目で詳しく解説していきます。
消費電力は同じです。価格は$17アップとなっていますが上記のスペックを考えると妥当だと言えるかもしれません。もちろん安いに越したことはありませんが…
Core i7-10710Uと比較
i7-1065G7 | i7-10710U | |
---|---|---|
コードネーム | Ice Lake | Comet Lake |
プロセス | 10nm | 14nm |
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 |
ベースクロック | 1.3Ghz | 1.1Ghz |
ターボクロック | 3.9Ghz | 4.7Ghz |
内蔵GPU | Intel Iris Plus | Intel UHD Graphics |
GPU EUs | 64 | 24 |
メモリ規格 | LPDDR4-3733 DDR4-3200 | LPDDR4-2933 DDR4-2666 |
TDP | 15W | 15W |
発売日 | Q3'19 | Q3'19 |
単体価格 | $426 | $443 |
搭載PC価格 | 119,980円~ | - |
さらに、ターボクロックも21%も高く4.7GHzとなっています。ベースクロックは10%程度低くなっているもののターボクロックが高いことは有利に働くでしょう。旧世代のアーキテクチャを採用しているとは言ってもスペックの差は歴然でCPU性能に関してはCore i7-10710Uの方が高いです。
一方で、Core i7-1065G7の強みはCPU内蔵グラフィックスです。Intel Iris Plusは、Core i7-10710Uで採用されているIntel UHD Graphicsよりもグラフィックス性能は高いです。GPU EUsが24→64へと増えていることから明らかです。消費電力はどちらも同じ15Wです。単体価格は$13の差があります。
Core i7-1065G7ってどんなCPUなの?
前世代よりも約10%のパフォーマンスがアップ
Core i7-1065G7は、Ice Lake世代の上位モデルのCPUです。Core i7-1068G7に次いで二番目に高い性能を持っています。前世代のCore i7-8565Uと比べると飛躍的に性能が向上したわけではありません。おおよろ10%程度のパフォーマンス向上に留まります。Core i5-9300Hにも劣ってしまいます。
これはクロック周波数を引き上げられていないことが要因です。まだまだ10プロセスの本領発揮とまでは行きません。プロセス・アーキテクチャ共に変わるというのはIntelの歴史を見ても珍しく期待できますね。Intel第11世代以降のモデルにも期待が持てます。
Intel Iris Plusを搭載していて3Dパフォーマンスが大幅に向上
もう一つIce Lake世代で進化したのがCPU内蔵GPUの性能です。特にCore i7-1065G7は、Intel Iris Plusの最上位グラフィックスであるG7を搭載しています。これまでの内蔵グラフィックスとは大きく異なります。グラフィックス性能を測るGPU EUsは24→64と2.6倍と大幅に引き上げられました。
これまでのオンボードGPUと比べると80%以上パフォーマンスが向上しているため、3Dアプリケーションの使用にも最適です。性能的にはGeForce MX250とUHD 630との間です。ゲームプレイを行うことはまだ難しいですがWEBデザインなどで3Dグラフィックス処理性能が求められる用途に適しています。詳細についてはベンチマークで解説しています。
今後搭載BTOノートパソコンが増えると期待される
2019年9月時点ではまだ第八世代Whiskey Lake搭載のモデルが主流となっています。それでも今後年末に掛けて順次第10世代搭載モデルに切り替えられていくでしょう。グラフィックス性能も向上して使い勝手が大きく向上します。価格差がなくなればユーザーに選ばれることは間違いありません。
2020年の終わりになってようやく国内BTOメーカーからも搭載モデルが販売されています。Intel第11世代CPU搭載モデルもラインナップにあるので、十分比較検討する必要があります。価格がそれほど変わらないのであれば次世代モデルであるCore i7-1165G7搭載モデルを選択すると良いでしょう。
ベンチマークでわかるCore i7-1065G7の性能!
Cinebench R15
15W時はCore i7-8565Uと比べても3%程度の性能差に留まります。クロック周波数が落ちていることを考慮するとやはりIPCの影響はあるようです。Core i5-9300Hと比較すると性能差は歴然です。ハイパフォーマンスと比べるのは適正ではないかもしれません。25Wまで引き上げるとCore i7-8565Uとの差は8%まで広がります。Core i5-9300Hとの差も縮まっていますね。
Handbrake
7-Zip
Counter Strike: Global Operations
Core i7-1065G7搭載のおすすめBTOノートパソコン
Lenovo IdeaPad Slim 550i – プラチナグレー(Lenovo)
価格:89,199円(税込)
CPU:Core i7-1065G7
GPU:Intel Iris Plus(G7)
メモリ:16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
mouse B5-i7(マウスコンピューター)
価格:89,800円
CPU:Core i7-1065G7
GPU:Intel Iris Plus(G7)
メモリ:8GB
SSD:512GB NVMe対応
HP 17-by パフォーマンスモデルG3(HP)
価格:134,800円
CPU:Core i7-1065G7
GPU:Intel Iris Plus(G7)
メモリ:16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
当記事のまとめ
2019年9月に発売された最新CPU「Core i7-1065G7」について紹介しました。プロセスの縮小化と新しいアーキテクチャによって大きく変わりました。パワー効率の向上と省電力性に磨きが掛かっています。ノートパソコンに求められる性能を持っていると言えます。
また、グラフィックス性能が大きく向上しています。これまでのオンボードGPUと比較すると2倍以上パワーアップしました。3Dアプリケーションを使うWEBデザイナーの方などクリエイターの方にとって魅力的な選択肢となります。純粋なCPU性能が必要ならCore i7-10710U搭載モデルを検討すると良いでしょう。
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