当記事では、Ryzen 5 7600の性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。ようやくRyzen 7000シリーズの無印モデル(Xなし)が発売されました。今回無ジルモデルとしてRyzen 9 7900・Ryzen 7 7700・Ryzen 5 7600と三つのラインナップが追加されて、Ryzen 5 7600は最安値モデルとなります。
Ryzen 5 7600Xと比べて23%程度安く購入できます。最安値モデルとは言っても用途によってはRyzen 5 7600Xに近いパフォーマンスを期待できます。スペック的にはRyzen 5 7600Xのクロック周波数・TDPを落としたモデルだと考えるとわかりやすいですね。省電力性が高く扱いやすいCPUだと言えます。問題は対応メモリ・マザーボードの価格が高く競合モデルと比べて不利な点にあります。結果的に搭載BTOパソコンの価格が高く手を出しづらい状況となっています。
(+) Ryzen 5 7600Xと同等の性能を期待できる
(+) ゲーミング性能が高い
(+) 省電力性に優れている
(+) 単体のCPUとして見れば安価でコスパが高い
(-) 搭載BTOパソコンの価格が高い
(-) 対応メモリ・マザーボードの価格が高い
(-) 6コア12スレッドと競合よりスペックが控えめ
Ryzen 5 7600の基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 6 / 12 |
定格クロック | 3.80 GHz |
最大クロック | 5.10 GHz |
L2キャッシュ | 6MB |
L3キャッシュ | 32MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 65W |
PPT | 88W |
価格 | $229 (37,500円) |
発売日 | 2023/01/14 |
目次
Ryzen 5 7600のおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
◎ | ○ | ○ | ○ | ☆ | ○ | ◎ |
Ryzen 5 7600のスペック比較
AMD製CPUと比較
5 7600 | 5 7600X | 5 5600 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
トランジスタ数 | 65.7億 | 65.7億 | 41.5億 |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
ダイサイズ | 71 mm² | 71 mm² | 81 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 122 mm² | 122 mm² | 124 mm² |
コア | 6 | 6 | 6 |
スレッド数 | 12 | 12 | 12 |
定格クロック | 3.8GHz | 4.7GHz | 3.5GHz |
最大クロック | 5.1GHz | 5.3GHz | 4.4GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L2キャッシュ | 6MB | 6MB | 3MB |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 32MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | 非搭載 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 65 W | 105 W | 65 W |
PPT | 88 W | 142 W | - |
価格 (実売価格) | $229 (37,500円) | $299 (35,579円) | $199 (19,780円) |
発売日 | 2023年01月14日 | 2022年09月27日 | 2022年04月20日 |
コア・スレッドは6コア12スレッドと共通です。定格クロックが9%高く、最大クロックも16%高いです。Ryzen 5 7600もオーバークロックに対応しています。L2キャッシュが倍の6MBとなっています。L3キャッシュは32MBのままです。メモリタイプもDDR4-3200からDDR5-5200へとアップグレードされています。
また、CPU内蔵グラフィックスとしてRadeon Graphicsが搭載されています。これによってビジネスモデルでの普及が期待できます。これまではAPUを除くRyzenシリーズのCPUを購入すると別途グラフィックボードが必要で、手間もコストも掛かっていました。PCI-ExpressはGen 4からGen 5となっています。TDPは65Wと共通です。価格差は$30です。国内の販売価格は17,720円の差があります。Ryzen 5 7600はまだ登場したばかりで割高です。
2022年9月に発売されたRyzen 5 7600Xの消費電力を抑えたモデルです。TDPが40%低く65Wに抑えられています。さらに、PPTも35%低く88Wとなります。消費電力を抑えるために定格クロックが19%低く、最大クロックも4%低いです。両モデルでの大きな違いはこのクロック周波数ということになります。キャッシュ周りなどすべて共通です。価格差は$70で23%程度安いです。国内の販売価格ではRyzen 5 7600の方が高くなっていますが、もう少し時間が経てば調整されるはずです。
Intel製CPUと比較
Ryzen 5 7600 | Core i5-13400 | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Raptor Lake |
トランジスタ数 | 65.7億 | - |
プロセス | 5nm | 10nm |
ダイサイズ | 71 mm² | 257 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 122 mm² | - |
コア | 6 | 10 (6P+4E) |
スレッド数 | 12 | 16 |
定格クロック(P) | 3.8GHz | 2.5GHz |
最大クロック(P) | 5.1GHz | 4.6GHz |
定格クロック(E) | - | 1.8GHz |
最大クロック(E) | - | 3.3GHz |
オーバークロック | ◯ | × |
L2キャッシュ | 6MB | 9.5MB |
L3キャッシュ | 32MB | 20MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD 730 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 |
TDP | 65 W | 65 W |
PPT | 88 W | 148 W |
価格 (実売価格) | $229 (37,500円) | $221 (34,880円) |
発売日 | 2023年01月14日 | 2023年01月04日 |
Core i5-13400はRaptor Lake世代のCPUで10nmプロセスを採用しています。Ryzen 5 7600は、二つのダイを組み合わせたチップレット技術を採用しています。CPUコアダイが5nmプロセスで、I/Oダイが6nmとなっています。ダイサイズはRyzen 5 7600の方が25%程度小さいです。
Core i5-13400ではハイブリッドコアアーキテクチャが採用され10コア16スレッドというスペックです。従来の6つのPコアに、4つのEコアが追加されています。スペック的にはCore i5-13400の方が高いです。Pコアのクロック周波数はRyzen 5 7600の方が11%-52%高いです。Core i5-13400はオーバークロックには非対応でRyzen 5 7600に優位性があります。
Core i5-13400のL2キャッシュは9.5MBでRyzen 5 7600よりも60%多いですが、L3キャッシュはRyzen 5 7600の方が60%多いです。Core i5-13400はDDR4メモリにも対応しているためコストを抑えられるというメリットがあります。Core i5-13400ではCPU内蔵グラフィックスにUHD 730を搭載しています。ここに顕著な性能差があるわけではありません。
どちらのモデルもGen 5をサポートしています。TDPはどちらも65Wですが、PPTはCore i5-13400の方が68%高いです。Eコアを追加したことで消費電力も高くなったと考えられます。
Ryzen 5 7600ってどんなCPUなの?
Ryzen 5 7600Xと同等のパフォーマンスを持っている
Ryzen 5 7600は、Ryzen 7000シリーズの第一弾として登場したRyzen 5 7600Xと同等の性能を持つCPUです。型番のXはハイパフォーマンスモデルを意味していて消費電力も高くなっています。一方で、Ryzen 5 7600のような無印モデルは省電力性を重視したモデルでクロック周波数が抑えられています。当然純粋なパフォーマンスはRyzen 5 7600Xには及ばないものの、ほとんど性能差を体感できないレベルです。
オーバークロックをすればRyzen 5 7600Xと同等の性能を期待できます。もはやRyzen 5 7600Xを選ぶ理由がなくなるほどです。それだけZen 4アーキテクチャの完成度が高いということでしょう。動画編集・画像編集・ゲームプレイなどの用途でもRyzen 5 7600で満足できる方は多いのではないかと思います。Ryzen 5 7600Xよりもコストパフォーマンスが高いです。
Intel製CPUと戦う上でもRyzen 5 7600のリリースは必須だったと言えます。Intel第十三世代CPUは強力でスペック面では負けてしまっているので価格勝負になりそうです。すぐに価格調整が入る可能性もあります。購入のタイミングはしっかりと見計らう必要がありそうです。
省電力性の高いモデル
Ryzen 5 7600は省電力性の高いCPUとなっています。公式が発表しているTDP/PPTもRyzen 5 7600Xよりも35%-40%程度抑えられているのは強みです。実測値で見てもRyzen 5 7600Xよりも20%程度消費電力が低いです。Intel製CPUと比べても省電力性の高さは魅力的ですね。CPUクーラーが同梱となっているのは消費電力が抑えられていて発熱量も少なくコントロールがしやすいからでしょう。
最近はミドルクラスのモデルでも消費電力が上昇傾向にあります。実際旧世代のRyzen 5 5600よりも消費電力は高いです。もちろんそれ以上にパフォーマンスが伸びているため省電力性の高さは健在です。Ryzen 5 7600のようなモデルは需要があるはずです。電源ユニットなどを買い替える必要性が小さくなるなどコスト面でも有利になりやすいですね。
搭載BTOパソコンの価格がかなり高い
Ryzen 5 7600は単体のCPUとしてみれば$229と魅力的な価格設定ですが、搭載BTOパソコンの価格はかなり高いです。コストパフォーマンスの観点からは評価は低くなってしまいます。Ryzen 5 5600が$199で現在の国内販売価格が20,000円前後です。Ryzen 5 7600は37,500円とまだまだ価格は高めです。長い目で見れば3万円は切ってくるのではないかと思います。
搭載モデルの価格が高い理由として発売されたばかりということでプレミアム価格であることに加えて、メモリやマザーボードが高いことが挙げられます。これまでのAM4からAM5へとプラットフォームが変わったので必ず割高なメモリやマザーボードを選択しなければいけません。トータルの費用で見ればCore i7-13700搭載モデルと変わらない価格設定です。
自作PCユーザーにとってもかなりネガティブな影響を与えるでしょう。これまでのAM4プラットフォームのマザーボードを流用することができません。CPUクーラーのみ一部流用できますが、基本的には全て買い揃える必要があります。それでも今の段階でAM5への切り替えを終わらせておけば、長く使い続けられる可能性が高いです。AMDは2025年頃まではAM5を継続していく予定だということです。
Ryzen 5 7600のベンチマーク
Cinebench R23
Adobe Photoshop
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Ryzen 5 7600Xのゲーミング性能
Borderlands 3
Far Cry 6
Elden Ring
Ryzen 5 7600のその他ベンチマーク
温度
消費電力
Ryzen 5 7600搭載のおすすめBTOパソコン
GALLERIA XA5R-R36 7600搭載(ドスパラ)
価格:209,980円(税込)
CPU:Ryzen 5 7600
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA XA5R-R37 7600搭載(ドスパラ)
価格:239,980円(税込)
CPU:Ryzen 5 7600
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R7X7-LCR76-SAX(パソコン工房)
価格:274,800円(税込)
CPU:Ryzen 5 7600
GPU:GeForce RTX 3060 Ti
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 5 7600の性能スペック&搭載BTOパソコン紹介について紹介しています。Ryzen 5 7600は、Ryzen 5 7600Xのクロック周波数を落としたモデルで消費電力が最大40%も抑えられています。性能面ではRyzen 5 7600Xに近く見劣りしません。Ryzen 5 7600ではCPUクーラーが同梱となっていてコスト面でも有利です。消費電力が抑えられていることから扱いやすいというメリットもあります。
CPU単体で見ればそこまで高いというわけではないのですが、搭載BTOパソコンになると価格が跳ね上がってしまいます。その要因として高価なDDR5メモリ及びマザーボードの購入が必須だからでしょう。トータルコストで見るとIntel製CPUと比べて不利です。もう少し販売数が伸びれば価格が下がってくるのではないかと思います。今後の動向を注視したいですね。
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5万円以下、5万円-10万円等 | ドスパラ、パソコン工房等 |
CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |
当ページベンチマークテスト環境
- ソフトウェア:Windows 11 Professional 64-bit
- グラフィックス:EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 Ultra
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF1 1200 W
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero