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当記事では、「Radeon RX 7900 XTXの性能スペックと搭載BTOパソコン」を紹介しています。2022年12月にRDNA 3アーキテクチャを採用したAMD製のグラフィックボードが登場しました。このRadeon RX 7900 XTXはフラグシップモデルということになります。下位モデルのRadeon RX 7900 XTとは異なりフルスペックのNavi 31を採用していて高い性能を持っています。
$999という価格で競合モデルであるRTX 4080($1,199)と同等のパフォーマンスを期待できます。前世代のRDNA 2アーキテクチャのモデルと比べてワットパフォーマンスが50%以上向上していて省電力性の高さは健在です。一方で、レイトレーシング性能については、NVIDIA製のモデルと比べてワンランクパフォーマンスが落ちます。
(+) RDNA 3アーキテクチャのフラグシップモデル
(+) フルスペックのNavi 31を採用したグラフィックボード
(+) 省電力性に長けている
(-) レイトレーシング性能は競合モデルに劣る
(-) 搭載BTOパソコンでの人気は出なさそう
目次
Radeon RX 7900 XTXの総合性能
Radeon RX 7900 XTXの性能スペック紹介
RX 6900 XTと比較
RX 7900 XTX | RX 7900 XT | RX 6900 XT | |
---|---|---|---|
コードネーム | RDNA 3.0 | RDNA 3.0 | RDNA 2.0 |
GPU | Navi 31 | Navi 31 | Navi 21 |
トランジスタ数 | 577億 | 577億 | 268億 |
プロセス | 5nm | 5nm | 7 nm |
ダイサイズ | 300 mm² | 300 mm² | 520 mm² |
MCDプロセス | 6nm | 6nm | - |
MCDサイズ | 36.6 mm² x6 | 36.6 mm² x6 | - |
CUDAコア | 6144 | 5376 | 5120 |
RTコア | 96 | 84 | 80 |
AI Accelerator | 192 | 168 | - |
ベースクロック | 1855 MHz | 1500 MHz | 1825 MHz |
ゲームクロック | 2269 MHz | 2025 MHz | 2015 MHz |
ブーストクロック | 2499 MHz | 2394 MHz | 2250 MHz |
メモリ容量 | 24GB | 20GB | 16 GB |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ速度 | 20 Gbps | 20 Gbps | 16 Gbps |
メモリバス | 384 bit | 320 bit | 256 bit |
メモリ帯域幅 | 960.0 GB/s | 800.0 GB/s | 512.0 GB/s |
L2キャッシュ | 6 MB | 6 MB | 4 MB |
Infinity Cache | 96 MB | 80 MB | 128MB |
TDP | 355W | 300W | 300W |
補助電源 | 2x 8-pin | 2x 8-pin | 2x 8-pin |
バスインターフェイス | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
公式価格 | $999 | $899 | $999 |
国内価格 | 194,580円~ | 149,800円~ | 121,787円~ |
発売日 | 2022/12/13 | 2022/12/13 | 2020/12/08 |
一つの大きなダイを作るよりもコストを抑えられるというメリットがあります。RX 6900 XTでは520m㎡の一つの大きなダイを搭載しています。RX 7900 XTXでは計算集約型ハードウェアであるGCD(Graphics Compute Dies)と、L3キャッシュやメモリコントローラーなどを搭載したMCD(Memory Cache Dies)が搭載されています。GCDではより微細化された5nmプロセスを採用しています。パワー効率が重要になるためです。内訳は300m㎡のGCDと219.6m㎡(36.6m㎡×6)のMCDです。一番大きくても300m㎡とかなりコンパクトであることがわかります。
CUDAコアも20%増えて6,144となりました。RTコアも20%アップで96です。AI Acceleratorは192となります。これはTensorコアに相当するものです。グラフィックス周波数も最大20%程度引き上げられています。メモリ周りも強化されています。GPUメモリ容量が50%増えて24GBとなりました。メモリ速度も25%速くなり、さらにメモリバスも50%広く384 bitです。メモリ帯域幅は88%広く960.0 GB/sとなります。
L2キャッシュは50%増えて6MBです。一方で、Infinity Cacheは25%少なく96MBとなります。ここはメモリ速度やメモリバスのパフォーマンスアップでカバーできます。TDPは18%高く355Wです。補助電源は2x 8-pinと変わっていません。バスインターフェースも共通です。Radeon RX 7900 XTXは、RX 6900 XTが発売されておよそ2年振りの最新モデルとなります。
下位モデルのRX 7900 XTは、Navi 31のダウングレードバージョンとなります。コンピュートユニットは96の内84基が有効化されています。また、MCDも6つの内5つが有効となっています。CUDAコアは12%少なく5,376です。RTコア及びAI Acceleratorもそれぞれ少なくなっています。クロック周波数は最大19Q%低いです。
GPUメモリ容量も20%少なく20GBです。メモリバスが384 bit→320 bitとなり、メモリ帯域幅800.0 GB/sと抑えられています。L2キャッシュは6MBと変わりませんが、Infinity Cacheは20%少なく80MBです。TDPは300WとRX 7900 XTXよりも15%低いです。補助電源は2×8-pinと共通です。バスインターフェースも同じですね。価格差は$100となっています。日本国内での販売価格ではRX 7900 XTXとRX 7900 XTで45,000円もの差が開いていますね。また、旧モデルに当たるRX 6900 XTの価格が暴落していて非常に購入しやすくなっています。
RTX 4080と比較
RX 7900 XTX | RTX 4080 | |
---|---|---|
コードネーム | RDNA 3.0 | Ada Lovelace |
GPU | Navi 31 | AD103 |
トランジスタ数 | 577億 | 459億 |
プロセス | 5nm | 5nm |
ダイサイズ | 300 mm² | 379 mm² |
MCDプロセス | 6nm | - |
MCDサイズ | 36.6 mm² x6 | - |
CUDAコア | 6144 | 9728 |
RTコア | 96 | 76 |
AI Accelerator | 192 | 304 |
ベースクロック | 1855 MHz | 2205 MHz |
ゲームクロック | 2269 MHz | - |
ブーストクロック | 2499 MHz | 2505 MHz |
メモリ容量 | 24GB | 16GB |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6X |
メモリ速度 | 20.0 Gbps | 22.4 Gbps |
メモリバス | 384 bit | 256 bit |
メモリ帯域幅 | 960.0 GB/s | 716.8 GB/s |
L2キャッシュ | 6 MB | 64 MB |
Infinity Cache | 96 MB | - |
TDP | 355W | 320W |
補助電源 | 2x 8-pin | 1x 16-pin |
バスインターフェイス | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
公式価格 | $999 | $1199 |
国内価格 | 194,580円~ | 198,000円~ |
発売日 | 2022/12/13 | 2022/11/16 |
RTX 4080のトランジスタ数は459億で、RX 7900 XTXの方が26%多くなっています。プロセスはどちらも5nmです。RTX 4080のダイサイズは379m㎡とかなり小さいです。RX 7900 XTはチップレット技術を採用していて二つのダイを組み合わせたサイズは519.6m㎡です。RTX 4080はCUDAコアが9728と、RX 7900 XTXよりも58%も多いです。RTコアはRX 7900 XTXの方が28%多く、AI AcceleratorはRTX 4080の方が59%多いです。
ベースクロックはRTX 4080の方が18%高く、ブーストクロックもわずかにRTX 4080の方が高くなっています。もっともCUDAコアにしてもグラフィックス周波数などの要素はアーキテクチャが異なるため純粋にほとんど意味はありません。事実スペック的に劣るRX 7900 XTXの方が性能が高いです。一つの参考数値として見るのが正解です。
メモリ周りはRX 7900 XTXが強力です。GPUメモリ容量はRX 7900 XTXの方が50%多くなっています。メモリ規格はGDDR6Xを採用しているRTX 4080が上です。メモリ速度もRTX 4080の方が12%速いです。メモリバスは384 bitのRX 7900 XTXが勝っています。メモリ帯域幅もRX 7900 XTXの方が34%広いです。
L2キャッシュはRTX 4080の方が多いですが、RTX 4080ではL3キャッシュを搭載しておらずRX 7900 XTXに優位性があります。消費電力はRTX 7900 XTXの方が11%高いです。RX 7900 XTXは従来モデルと同じ2×8-pinです。RTX 4080は1×16-pinを採用しています。バスインターフェースはPCIe 4.0×16と共通です。
Radeon RX 7900 XTXってどんなグラフィックボード?
RTX 4080よりもグラフィックス処理性能は高いが…
Radeon RX 7900 XTXは、競合モデルであるGeForce RTX 4080よりもグラフィックス処理性能が高いというのはすでに見てきたとおりです。国内での販売価格次第では、高いコスパを誇るグラフィックボードとなるでしょう。
MSRPでは20%程度の差がありますので、それだけの価格差があると好ましいです。2022年12月下旬ではほとんど価格差がなく、RX 7900 XTXは割高です。もう少し価格が下がらない限りは選ぶ理由はありません。最低でも10%程度は安く購入できると良いですね。
また、レイトレーシング性能及びAI性能についてはRTX 4080に及ばないことは理解しておく必要があります。RX 7900 XTXが輝くのは純粋なグラフィックス処理性能だけです。もしもあなたがレイトレーシング性能などを重視するのであればRTX 4080がより良い選択肢となる可能性があります。総合力ではRTX 4080が上です。
RDNA 3アーキテクチャでも省電力性の高さは健在
Radeon RX 7900 XTXは、高い省電力性を持つグラフィックボードです。RDNA 2アーキテクチャ採用のRadeon RX 6900 XTよりも明らかに進化しています。Radeon RX 6900 XTよりも性能が30%上がっているのに対して、消費電力は17%高くなっただけに留まります。公式発表の355WというTDPに張り付く形になります。デュアル8-pinを採用しているのも理にかなっています。
プロセスの微細化やチップレット技術採用による恩恵だと言えます。一方で、Ada Lovelace世代のRTX 4080よりも省電力性に劣ります。RTX 4080の方が4%性能が低いですが、消費電力は12%も抑えられています。メモリ周りの差が出ているのかもしれません。
搭載BTOパソコンでの人気は低迷しそう
2022年12月20日時点でRadeon RX 7900 XTXを搭載したBTOパソコンのラインナップはほとんどありません。サイコムとTSUKUMOで少しあるだけですね。GeForce製グラフィックボードは、発売と同時に搭載モデルがリリースされることを考えるとやはり大きな壁がありそうです。Radeonシリーズを搭載したモデルの価格は高くなる傾向にあり、価格的にも不利になりやすいです。
もう少し時間が経てば搭載モデルが発売される可能性はありますが、売れ筋モデルになるということはなさそうです。価格も高めになるのではないかと予想されます。Radeon RX 7900 XTXは自作PCユーザー向けだと言えますね。性能的にも特徴的にも中上級者向けのグラフィックボードです。単体のグラフィックボードとしてはRTX 4080よりも安くなる可能性が高く、選択する理由が生まれます。
Radeon RX 7900 XTX搭載PC使用時のフレームレート一覧
Borderlands 3
Metro Exodus
Cyberpunk 2077
RTX 4090との差は15%程度とやや大きいです。下位モデルであるRX 7900 XTよりも最大で18%もフレームレートが高いです。特に4Kでのゲームプレイを考えている方はフラグシップモデルであるRadeon RX 7900 XTXを選択する方が好ましいです。
Elden Ring
Hitman 3
Radeon RX 7900 XTXのその他ベンチマーク
レイトレーシング-Watch Dogs:Legion
レイトレーシング-Control
レイトレーシング-Cyberpunk 2077
温度
Radeon RX 7900 XTX搭載のおすすめBTOパソコン
G-Master Spear X670A(サイコム)
価格:437,550円(税込)
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:Radeon RX 7900 XTX *カスタマイズ
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:500GB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
G-GEAR neo GX9A-L224/XB(TSUKUMO)
価格:497,900円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X
GPU:Radeon RX 7900 XTX
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
Radeon RX 7900 XTXの性能スペック&搭載BTOパソコンについて紹介しました。RDNA 3アーキテクチャを採用したRadeon RX 7000シリーズのフラグシップモデルです。AMD Ryzenシリーズと同じようにチップレット技術を採用していて、コスト面で有利になります。従来モデルのRadeon RX 6900 XTよりも30%以上処理性能が向上しています。
4Kでのゲームプレイにこだわりたいゲーマーの方は必見です。競合モデルであるRTX 4080と同等以上のパフォーマンスを期待できます。価格的にも有利なため純粋なグラフィックス処理性能を重視するならRX 7900 XTXは魅力的な選択肢となります。一方で、レイトレーシング・DLSSといった機能についてはRTX 4080に劣ります。総合力では負けてしまいますね。
搭載BTOパソコンはほとんど販売されていません。2023年2月時点でサイコムで購入できます。カスタマイズでの対応となりますので、中上級者向けと言えるかもしれません。大手BTOメーカーからはそれほどラインナップが増えないのではないかと思います。基本的には自作ユーザー向けです。
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当ページのベンチマーク計測のテスト環境
CPU | Core i9-13900K |
マザーボード | ASUS Z790 Maximus Hero |
メモリ | 2x 16 GB DDR5-6000 |
SSD | 2x Neo Forza NFP455 2 TB M.2 NVMe SSD |
電源ユニット | Seasonic Prime Ultra Titanium 850 W |
冷却システム | Arctic MX-5 |
ソフトウェア | Windows 10 Professional 64-bit |