当記事では、Ryzen 7 5800Uの性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しています。Zen 3アーキテクチャを採用したモバイル向けRyzenシリーズが登場しました。TDPが25Wに抑えられたモデルながら8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高いのが特徴です。競合であるIntelが4コア8スレッドであることを考えるといかに圧倒しているかがわかります。
Zen 2アーキテクチャを採用した「Ryzen 7 5700U」とはプラットフォームが異なります。同じRyzen 7シリーズでもアーキテクチャが異なり特性も違います。当然性能的にも最新のアーキテクチャを採用したRyzen 7 5800Uの方が上回っていますが性能差を体感できるかどうかは難しいところです。価格はRyzen 7 5700Uの方が安価です。後継モデルとして、Ryzen 7 5825Uが発売されています。搭載モデルは僅少です。すでに後継モデルである「Ryzen 7 6800U」がリリースされています。
Ryzen 7 5800Uの基本スペック
世代 | 第4世代 |
開発コード | Cezanne(Zen 3) |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
クロック周波数 | 1.90 GHz |
ブーストクロック | 4.40 GHz |
内蔵グラフィックス | AMD Radeon Graphics |
TDP | 10W-25W |
発売日 | 2021年1月12日 |
価格 | - |
目次
Ryzen 7 5800Uのおすすめ用途
動画視聴 | Skype | ビジネス | デュアル | デイトレ | マンガ | デザイン |
☆ | ☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
RAW現像 | 動画編集 | 動画投稿 | DTM | ゲーム | 実況 | CAD |
◎ | ○ | ○ | ◎ | × | × | × |
動画編集や動画投稿についてはハイパフォーマンスモデルであるRyzen 7 5800Hの方が好ましいです。省電力モデルでは高負荷時にパフォーマンスが落ちてしまうためです。CPU内蔵グラフィックス性能は控えめなので3D処理性能が要求されるゲームプレイ・ゲーム実況・3D CADは苦手です。これらの用途の場合は外付けのグラフィックボードを搭載したモデルを選択するべきです。
Ryzen 7 5800Uのスペック比較
AMD製CPUと比較
Ryzen 7 5800U | Ryzen 7 5700U | Ryzen 7 4800U | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 3 | Zen 2 | Zen 2 |
開発コード | Cezanne | Lucienne | Renoir |
プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 1.9GHz | 1.8GHz | 1.8GHz |
ターボクロック | 4.4GHz | 4.3GHz | 4.2GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 8MB | 8MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
グラフィックコア | 8 | 8 | 8 |
グラフィック周波数 | 2000MHz | 1900MHz | 1750MHz |
TDP | 10W-25W | 10W-25W | 10W-25W |
価格 | - | - | - |
発売日 | Q1 2021 | Q1 2021 | Q2 2020 |
下位モデルのRyzen 7 5700Uは、去年リリースされたRyzen 7 4800Uと同じZen 2アーキテクチャを採用しています。開発コードはLucienneとなっています。開発コード自体は変わったもののアーキテクチャ自体は旧モデルです。その点においてRyzen 7 5800Uには優位性があります。
Ryzen 7 5800Uは、Ryzen 7 5700UやRyzen 7 4800Uと同じ7nmプロセスを採用しています。コア/スレッドも8コア16スレッドと共通です。ベースクロックは0.1GHz、ターボクロックは最大0.2GHz引き上げられています。
さらに、L3キャッシュ容量は倍の16MBに到達しました。ここが大きな変更点だと言えますね。CPU内蔵グラフィックスはグラフィック周波数が僅かに高くなっただけで根本的な部分は共通です。TDPも10W-25Wの枠に収まっています。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 5800U | Core i7-1165G7 | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 3 | Tiger Lake |
プロセス | 7nm | 10nm |
コア/スレッド | 8/16 | 4/8 |
ベースクロック | 1.9GHz | 2.8GHz |
ターボクロック | 4.4GHz | 4.7GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 12MB |
メモリ | DDR4-3200MHz | DDR4-3200MHz |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Iris Xe Graphics |
TDP | 10W-25W | 12W-28W |
価格 | - | $426 |
発売日 | Q1 2021 | Q3'20 |
コア/スレッドはRyzen 7 5800Uの半分の4コア8スレッドです。マルチスレッド性能では太刀打ちできません。Ryzen 7 5800Uはモバイル向けモデルとしてトップのスペックを誇ります。ベースクロックはCore i7-1165G7の方が48%高く、ターボクロックは7%高いです。この数値からシングルスレッド性能ではCore i7-1165G7にも期待が持てます。
L3キャッシュはCore i7-1165G7の12MBに対してRyzen 7 5800Uでは16MBと33%高いです。対応メモリはDDR-3200と共通です。CPU内蔵グラフィックスについてはIris Xe Graphicsの方が少し高いです。TDPもCore i7-1165G7の方が少しだけ高く設定されています。
Ryzen 7 5800UってどんなCPUなの?
Ryzen Uシリーズのフラグシップモデル
Ryzen 7 5800Uは、モバイル向けRyzen 5000 Uシリーズのフラグシップモデルとなっています。AMD Ryzenシリーズも第4世代になりました。下位モデルであるRyzen 7 5700Uとはスペックこそ似ているものの新しいZen 3アーキテクチャを採用しているという強みがあります。Zen 2からZen 3になってIPC(Instructions Per Clock)が高くなりパフォーマンスが引き上げられています。
これまではCCD(CPU COmplex Die)の中に2つのCCXが配置されていましたが、Zen 3アーキテクチャでは1つのCCXにまとまっています。結果的にCCX同士のやり取りがなくなりメモリレイテンシが軽減されます。Ryzen 4000シリーズと比べてシングルスレッド性能が大きく向上しています。Intelの独壇場だったところに食い込む形になっています。L3キャッシュ容量も増えて性能の底上げが行われています。
Radeonグラフィックスはそれほど強化されていない
CPU内蔵グラフィックスのRadeon Graphicsは従来モデルからそれほど変わっていません。アーキテクチャ自体は変わっていますが、Radeonグラフィックスにはほとんど手を加えられていません。Ryzen 7 4800UやRyzen 7 5700Uと比べてもグラフィックス周波数が少しだけ引き上げられているのみです。エントリークラスのグラフィックボードであるGeForce MX330と同等です。
Core i7-1165G7に搭載されているCPU内蔵グラフィックスのIris Xeと比べると10%程度低くなっています。もっとも一般的なPC作業であれば何も問題はありません。比較的軽いファイルの動画編集・画像編集やWEBデザインであれば十分な性能を持っています。本格的な3Dグラフィックスを取り扱いたい場合は外付けのグラフィックボードを搭載したモデルの購入を検討しましょう。
搭載BTOノートパソコンはほとんどなく選択肢が少ない
Ryzen 7 5800Uを搭載したBTOノートパソコンはほとんど市場で販売されていません。2021年8月時点だとHPとLenovoで少しだけある程度です。当面の間は限られたモデルの中から選択する必要がありそうです。Ryzen 7 5700U搭載モデルと間違わないようにしましょう。
いまだ国内BTOメーカーからは一切販売されていません。特にRyzenシリーズについて、国内BTOが取り扱うまでラグがあります。マウスコンピューターでは前世代のRyzen 4000 Uシリーズが主流となっています。国内メーカーからもRyzen 7 5800U搭載モデルがリリースされれば人気が出ることは間違いありません。
Ryzen 7 5800Uのベンチマーク
Cinebench R20
Intel製CPUと比べるとマルチスレッド性能もシングルスレッド性能も圧倒しています。Core i9-10980HKと比べるそれぞれ5%・12%高いです。ハイパフォーマンスを超えているのはさすがです。Zen 3アーキテクチャを採用したメリットは大きいですね。Core i7-1165G7と比べるとシングルスレッド性能は4%劣るもののマルチスレッド性能は75%も高いです。
PCMark 10
Essentials Testはブラウジングやアプリの読み込みを想定しています。Ryzen 7 5800UがCore i7-1165G7を上回るスコアを叩き出しました。Ryzen 7 4800Uと比べても11%もスコアが引き上げられています。IPCの改善によるインパクトが大きいですね。
Handbrake
7-Zip
Ryzen 7 5800U搭載のおすすめBTOノートパソコン
ThinkBook 13s Gen 3 – ミネラルグレー(Lenovo)
価格:216,700円(税込) 114,400円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:LPDDR4X-4266 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
Pavilion Aero 13-be パフォーマンスモデル(HP)
価格:163,900円(税込) 123,000円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
LIFEBOOK NH90/F3(富士通)
価格:241,780円(税込) 219,780円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800U
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 7 5800Uの性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しました。Ryzen 7 5800UはZen 3アーキテクチャを採用した新しいCPUです。8コア16スレッドとTDP 25W以下のCPUの中でトップクラスのパフォーマンスを誇ります。下位モデルであるRyzen 7 5700U(Zen 2)とは一線を画する性能を持っています。一方で、Radeonグラフィックスの性能はそれほど進歩しておらずIntel Core i7-1165G7に劣ります。
2022年7月時点でHP・Lenovo・富士通などから搭載モデルがリリースされています。価格帯としては税込10万円~15万円と妥当だと思います。性能を考えると安いぐらいだと言えるでしょう。富士通のモデルのみ桁外れに高いです。マウスコンピューターやドスパラなどの国内BTOメーカーからも搭載モデルがリリースされれば人気が出ること間違いなしです。
売れ筋BTOパソコンをチェック
当サイトの人気記事一覧
- クリエイターPCおすすめランキング
- おすすめゲーミングPCランキング-ゲーミングPCマガジン
- BTOパソコンのレビュー・評判 | 当サイト紹介PC一覧表
各BTOメーカーのクリエイターブランドの中からおすすめのモデルをピックアップしています。デスクトップとノートパソコンをそれぞれランキング形式で紹介しています。高性能なモデルが揃っているのでプロフェッショナルの方にもおすすめです。
おすすめのゲーミングPC及びゲーミングノートPCを紹介しています。ゲーミングPCマガジンはゲーミングPCに特化したカテゴリーです。
当サイトでレビューをしているモデルを一覧表でまとめています。モデルごとの評価でソートできるのでどのモデルが良いのか判断しやすいと思います。
あなたに合うBTOパソコンを探す
用途などでBTOパソコンを選ぶ
セール | 使用用途 |
GWセール、年末セール等 | ビジネス、動画編集等 |
即納 | サイズ・形状 |
ドスパラの即納モデル等 | 15.6インチノート、スリムタワー等 |
BTOパソコン特徴やショップを比較
価格 | ショップ |
5万円以下、5万円-10万円等 | ドスパラ、パソコン工房等 |
CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |