当記事では、Ryzen 9 5900Xの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。ついに、2020年11月6日にRyzen 5000シリーズが発売開始となりました。Ryzen 9 3900Xの後継モデルです。Ryzen 9 5900Xは、Ryzen 5000シリーズにおいてRyzen 9 5950Xと同じくハイエンドモデルとなっています。
12コア24スレッドとRyzenらしさ全開のCPUは、用途を選ばず扱いやすさが魅力です。特徴という面では前世代のRyzen 9 3900Xと共通する部分も多く新しい世代を象徴するCPUになりそうです。クリエイターの方にもおすすめです。上位モデルに16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」もあります。より高いパフォーマンスを求める方におすすめです。
Ryzen 9 5900Xの基本スペック
世代 | 第4世代 |
開発コード | Zen 3 |
コア/スレッド数 | 12 / 24 |
クロック周波数 | 3.70 GHz |
ブーストクロック | 4.80 GHz |
内蔵グラフィックス | 非搭載 |
TDP | 105W |
発売日 | 2020年11月06日 |
搭載モデル | 173,800円~ |
目次
Ryzen 9 5900Xのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ |
これはゲーム以外にも言えることで、過剰な性能ですがコスト面を無視できればデメリットにはなりません。何でもこなすためには高い性能が必要です。対応力の広さが性能過剰を生んでいるだけで、それこそがRyzen 9 5900Xの魅力と言えます。特殊な用途になるRAW現像・WEBデザイン・CADなどにも余裕を持って対応可能です。
Ryzen 9 5900Xのスペック比較
AMD製CPUと比較
9 5900X | 9 3900XT | 9 3900X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 3 | Zen 2 | Zen+ |
世代 | 第4世代 | 第3世代 | 第2世代 |
プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 12/24 | 12/24 | 12/24 |
ベースクロック | 3.7GHz | 3.8GHz | 3.8GHz |
ターボクロック | 4.8GHz | 4.7GHz | 4.6GHz |
L3キャッシュ | 64MB | 64MB | 64MB |
内蔵GPU | 非搭載 | 非搭載 | 非搭載 |
TDP | 105W | 105W | 105W |
定価 | $549 | $499 | $499 |
国内価格 | 77,000円~ | 59,000円~ | 58,000円~ |
搭載PC価格 | 156,800円~ | 139,800円~ | 127,980円~ |
従来のCPUとスペックを比較しても、性能差があるように見えません。実際には相応の性能差があります。CPUはアーキテクチャが全てだということがよく分かる事例ですね。TDPに関しては消費電力を表しているわけではありません。実際に使用すると消費電力に差は生じます。この差はそのまま性能差となるので、消費電力には注目したいところです。
Zen 3アーキテクチャを採用した一番の変化はL3キャッシュとCPUコアを結びつけるCCX(Core Complex)の構成が変わったことです。ZenとZen 2では4基のCPUコアを16MBの共有L3キャッシュを1つにまとめてCCXを構成していました。そして、2基のCCXを1つのシリコンダイとしていました。
これをZen3では8基のCPUコアと32MBの共有L3キャッシュを1つしたCCXへ変更しました。第3世代のRyzenが特定の場面で性能を落とす原因として、このCCXの構成に問題があったのではと指摘されています。第4世代のZen3アーキテクチャでは、前世代までにあった弱点を補う設計がされています。
スペックだけ見ると誤差の範囲内であっても、中身は大きく異なります。処理性能の向上とアクセス遅延を軽減したZen3は強化版Zen 2という位置付けです。最新のアーキテクチャとしては少し弱い印象もありますが、弱点を補いパフォーマンスを向上させているのなら十分と言えるでしょう。
Intel製CPUと比較
9 5900X | i9-10900KF | |
---|---|---|
ブランド | AMD (Ryzen) | Intel (Core ) |
プロセス | 7nm | 14nm++ |
コア/スレッド | 12/24 | 10/20 |
ベースクロック | 3.7GHz | 3.7GHz |
ターボクロック | 4.8GHz | 5.3GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 64MB | 20MB |
内蔵GPU | 非搭載 | 非搭載 |
TDP | 105W | 125W |
定価 | $549 | $474 |
国内価格(税抜) | 65,000円~ | 52,000円~ |
搭載PC価格(税抜) | 173,800円~ | 138,800円~ |
また、コア/スレッド数でも12/24と10/20でRyzen 9 5900Xが多くなっています。コア数は処理機構、スレッドは補助機構で、この数が多いほど複雑な処理を円滑に行えます。スペック上ではRyzen 9 5900XがCore i9-10900Kを圧倒している形となります。
続いて、クロック数ではCore i9-10900Kが最大5.3GHzで優位に立っています。これは1つのコアあたりの最大処理速度に近いです。仮に全てのコアとスレッドを総動員できるならコアとスレッドに勝るRyzen 9 5900Xが有利ですが、全て使いきれる場面はほとんどありません。用途によってはCore i9-10900Kの性能が高くなる要因とも言えます。
L3キャッシュはRyzen 9 5900Xが圧倒しています。これはRyzenシリーズがより小さなプロセスを採用していることに起因します。様々なの用途で高いパフォーマンスを発揮する理由は余裕のあるL3キャッシュによるものとも言えます。TDPでは20WほどRyzen 9 5900Xが低いです。
前述の通り、これは消費電力をそのまま表しているわけではありません。負荷が掛かる場面ではCore i9-10900Kを上回ることもあります。基準程度に見ておく方がよいですね。CPUはアーキテクチャの仕様が全てと言えるので、表面的なスペックの比較は必ずしも性能を表すものではありません。あくまでもスペックの比較です。
Ryzen 9 5900XってどんなCPUなの?
用途を選ばない高い処理性能が魅力のCPU
Ryzen 9 5900Xは、一般モデルに採用されるCPUの中でも高い処理性能を持つCPUです。特にマルチスレッド性能が高く12コア24スレッドはトップクラスとなっています。最高クラスの処理性能と合わせて、用途を選ばないモデルだと言えます。ゲームをプレイすることにも、専門的なアプリケーションを操作することにも適しています。
クリエイティブな作業では最も高いパフォーマンスを発揮します。3Dグラフィック系のアプリケーションを使用するには最適です。特定の用途に限定せず、趣味から作業まで幅広くカバーしたいなら選んでおきたいCPUですね。Intel製CPUにはない魅力を兼ね備えています。
コストパフォーマンスが非常に高い
Ryzen 9 5900Xは、前世代のRyzen 9 3900Xと比べて価格は高くなりましたが、その価格以上に性能も高くなったのでコストパフォーマンスは良好と言えます。アーキテクチャの改善はインパクトが大きいですね。ゲーミング性能についてはツーランクパフォーマンスが引き上げられています。CPUを選ぶ上で価格に対する性能を重視される方は多いはずです。その点においてRyzen 9 5900Xは優位性があります。
この先5年・10年と使用していく上で、性能不足になりにくいというのもコストパフォーマンスを決める要素です。買い替える時期が伸びれば、それだけ費用を抑えることに繋がります。例えば下位のRyzen 5 5600XとRyzen 9 5900Xでは3万円ほどの価格差です。当然Ryzen 5 5600Xの方が寿命が早く来るためパソコン本体の買い替え頻度が多くなります。コストパフォーマンスを重視することは、ハイエンドユーザー以外にもメリットがあると言えます。
価格が上がってRyzenシリーズの魅力は半減
性能が高く、コストパフォーマンスにも優れているのはRyzen 9 5900Xの魅力です。ただし、わずか$50とは言っても前モデルから価格自体が上がっているのは良いこととは言えません。Ryzenシリーズの良さはIntelのCore iシリーズに対して、性能が高くて価格が安いことにありました。
AMDは戦略を変えてプレミアムモデルとしての地位を確立したいと考えているのかもしれません。Ryzen 9 5900XではCPUファンが付属しなくなった上に、Core iシリーズよりも高くなってしまったのは魅力半減と言わざるを得ません。
価格が上がった以上に性能は向上しましたが、価格自体の上昇は誰にとっても嬉しいものではありません。コスト面でCore iシリーズにリードを許すようになると、これまで持っていたRyzenの特徴を奪われる可能性があります。
例えば、価格が逆転してしまえばCore iシリーズの評価はRyzenシリーズに対して、同等の性能で価格が安いという風になります。価格に関しては先に登場したCPUの方が早く安くなります。この点においてRyzen 9 5900Xは少し不利な状況にあると言えます。
Ryzen 9 5900Xのゲームプレイ時フレームレート
Shadow of the Tomb Raider
Far Cry 5
一方で、前世代のRyzen 9シリーズからすると大幅な成長を見せています。おおよそ25%高いです。他のゲームでもここまでの伸びを見せていないので、アーキテクチャによる影響というよりもゲームの最適化の影響でしょうか。CPU負荷が高まるほどパフォーマンスによる影響が出るので、Ryzen 9 5900Xは負荷が高いほど真価を発揮しそうです。パフォーマンスは伸びませんが、落ちにくいという意味で安定したCPUと言えます。欲を言うならCore i7-10700Kには並んでおきたかったですね。
Ryzen 9 5900Xのベンチマーク
Cinebench R20
Handbrake
Ryzen 9 5900X搭載のおすすめBTOパソコン
ZEFT RA2E(セブン)
価格:208,780円(税込)
CPU:Ryzen 9 5900X
GPU:GeForce GTX 1650
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
SENSE-F0X5-LCR59X-RBX-CMG(パソコン工房)
価格:256,980円(税込)
CPU:Ryzen 9 5900X
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA ZA9R-R37 5900X(ドスパラ)
価格:319,980円(税込)
CPU:Ryzen 9 5900X
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
Ryzen 9 5900Xは第4世代RyzenシリーズのハイエンドクラスのCPUです。用途を選ばない高い性能は人も選びません。Zen 3へと進化したアーキテクチャは、これまで苦手だったゲームへの対応力も大幅に底上げしました。少しまだ苦手な要素は残っていますが、これ以上を求めるのは贅沢と言えるくらいまで伸びています。
一方で、価格が競合製品のCore i9-10900Kを超えるまでになりました。合わせて従来のRyzen 9 3900X搭載モデルと比べて価格が高めに設定されるようになったのは少しネックと言えます。CPUファンが付属しなくなったことも合わせて、魅力を損なう部分もあります。それでも、総合的な性能はそれらのデメリットを飲み込むには十分と言えるでしょう。ゲームも作業も何もかもをこなしたい欲張りユーザーにおすすめのCPUです。
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