当記事では、「Core i9-10900Kの性能スペックとベンチマーク」を紹介しています。Core i9-9900Kの後継モデルです。Intel第十世代のフラグシップモデルです。前世代(Coffee Lake)の8コア16スレッドから10コア20スレッドへと大幅にスペックアップが施されています。
Core i9-10900Kは、マルチコア性能に優れるライバルのRyzenシリーズが存在しているからこそ生まれたとは言っても過言ではありませんね。一方で、価格が高かったり、消費電力が大きかったりと見逃せない注意点もあります。具体的に見ていきましょう。
なお、すでに後継モデルである「Core i9-11900K」が発売されています。今度は8コア16スレッドとまさかのダウングレードとなりました。もちろんCPUコアの改良もあって性能的にはCore i9-10900Kを上回っていますが、少し心許ないですね。
Core i9-10900Kの基本スペック
世代 | 第10世代 |
開発コード | Comet Lake |
コア/スレッド数 | 10 / 20 |
クロック周波数 | 3.70 GHz |
ブーストクロック | 5.30 GHz |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 |
TDP | 125W |
発売日 | 2020年5月20日 |
価格 | $488 |
目次
Core i9-10900Kのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ☆ | ◎ | ☆ |
例えば、動画視聴やビジネス用途にCore i9-10900Kのような高性能なCPUは不要でしょう。フラグシップモデルが輝くのは動画編集、ゲームプレイ、ゲーム実況、3D CADなど一般的な作業以上の用途となります。中上級者向けのCPUだと考えるとわかりやすいかもしれません。コストパフォーマンスを重視するならCore i7以下に落とすと良いでしょう。
Core i9-10900Kのスペック比較
Intel製CPUと比較
i9-10900K | i9-10900 | i9-9900K | |
---|---|---|---|
コードネーム | Comet Lake | Comet Lake | Coffee Lake-R |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
コア/スレッド | 10/20 | 10/20 | 8/16 |
ベースクロック | 3.7GHz | 2.8GHz | 3.6GHz |
最大ブーストクロック | 5.3GHz | 5.2Ghz | 5.0GHz |
Turbo Boost 2.0 *1 | 5.1GHz | 5.0GHz | 5.0GHz |
Turbo Boost Max 3.0 *2 | 5.2GHz | 5.1GHz | N/A |
Thermal Velocity Boost *3 | 5.3GHz | 5.2GHz | N/A |
L3キャッシュ | 20MB | 20MB | 16MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 | UHD Graphics 630 | UHD Graphics 630 |
メモリタイプ | DDR4-2933 | DDR4-2933 | DDR4-2666 |
最大メモリ幅 | 45.8 GB/s | 45.8 GB/s | 41.6 GB/s |
TDP | 125W | 125W | 95W |
価格 (実売価格) | $488 (70,000円) | $439 (65,000円) | $488 (57,000円) |
発売日 | 2020年5月20日 | 2020年5月20日 | 2018年11月02日 |
*2 2つのコアについてクロック周波数をさらに引き上げられる機能です。Turbo Boost 2.0よりも一段階クロック周波数が高くなります。
*3 1つのコアについてクロック周波数を最大限まで引き上げられる機能です。温度が70℃以下でかつTurbo Boost Max 3.0の条件を満たす必要があります。
コア数及びスレッド数が8コア/16スレッドから10コア/20スレッドへと25%向上しています。それでいてベースクロックも最大ブーストクロックも高いです。ベースクロックが3.6GHz→3.7GHz、最大ブーストクロックが5.0GHz→5.3GHzと言うことなしです。これなら確実にパフォーマンスが引き上げられているということが容易に想像できるでしょう。これほどわかりやすいスペック比較もありませんね。
L3キャッシュも16MBから20MBへと引き上げられメモリタイプも進化しました。消費電力が125Wとかなり高くなっているのはアーキテクチャが同じものにも関わらずクロック周波数を引き上げたのだから必然です。実売価格は70,000円前後とかなり高くなっています。もう少し価格が落ち着くまでは手を出しにくいですね。
Core i9-10900は、Core i9-10900Kのダウングレード版です。価格が$49安くクロック周波数が押さえられています。オーバークロックをする予定がなくCore i9-10900Kほどの性能は不要だという方にぴったりです。ただし、それほど表に出ることがなかったCore i9-9900と同じ道を辿る運命かもしれません。
AMD製CPUと比較
Core i9-10900K | Ryzen 9 3900X | Ryzen 7 3800X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Comet Lake | Zen 2 | Zen 2 |
プロセス | 14nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 10/20 | 12/24 | 8/16 |
ベースクロック | 3.7Ghz | 3.8Ghz | 3.9Ghz |
ターボクロック | 5.3Ghz | 4.6Ghz | 4.5Ghz |
L3キャッシュ | 20MB | 64MB | 32MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 | 非搭載 | 非搭載 |
メモリ | DDR4-2933 | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
CPUクーラー | 非搭載 | Wraith Prism | Wraith Prism |
TDP | 125W | 105W | 105W |
価格 | $488 (70,000円) | $430 (59,980円) | $399 (47,000円) |
発売日 | 2020年5月20日 | 2019年07月07日 | 2019年07月07日 |
Intelの14nmプロセスよりも省電力性・パワー効率の面で有利です。次世代のアーキテクチャだと言えます。Ryzen 7 3800Xでも採用されていてスペック的にはCore i9-10900Kは、Ryzen 9 3900XとRyzen 7 3800Xの間となっています。
Core i9-10900Kの10コア20スレッドに対して12コア24スレッドとさらに20%高いです。ベースクロックは0.1GHz高く、ターボクロックは0.7GHz低くなっています。ブーストクロックはやはりIntelが優勢です。アプリケーションによってはCore i9-10900Kが上回ることがあります。ここまでコアが多くなるとクロック周波数を引き上げるにも限界があります。L3キャッシュが64MBと大容量でスペックの高さが見えます。
Core i9-10900KにはCPU内蔵グラフィックスが搭載されているのもポイントです。グラフィックボードの搭載を考えておらずCPU性能を追求したいという方でも選びやすいです。一方、Ryzen 9 3900XにはCPUクーラー同梱となっていてコストを抑えられます。自作ユーザーに人気が高いのも頷けます。消費電力も105Wと省電力性が高いです。
Core i9-10900KってどんなCPUなの?
10コア20スレッドのハイパフォーマンスモデル
Core i9-10900Kは、Intel第10世代のフラグシップモデルで高いパフォーマンスを発揮します。10コア20スレッドと下位のCore i7シリーズよりもコア及びスレッド共に25%多くなっています。下位モデルとは一線を画するスペックを誇ります。動画編集や3D CADなどマルチコアを活かしやすいアプリケーションに最適です。
これだけコア数/スレッド数が多いと一般的な用途だけでは使い切ることは難しいです。本当に必要かどうかしっかりと確認することが大切です。また、コア数が多くてもそれほどパフォーマンスに影響を与えないということもあります。ゲームプレイなどは最たる例です。コストパフォーマンスを考えるならCore i7-10700Kの方が好ましいでしょう。
競合モデルのRyzen 9 3900Xとの性能差は30%以上となります。12コア24スレッドというスペックは強力ですね。RyzenシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 3950Xは驚くべきことに16コア32スレッドのハイパフォーマンスモデルです。マルチスレッド性能を重視する方向けです。Core i9-10900Kはゲームプレイを得意とするCPUとなっています。
パワー効率が悪く消費電力も大きい
これまでの世代のCPUと比べても消費電力の高さは突出しています。アーキテクチャをそのままにクロック周波数を引き上げたことによる弊害とも言えますね。14nmプロセスから進化しない限りはこの消費電力の高さがネックとなってしまいそうです。
CPUにCore i9-10900Kを選択するとなるとCPUクーラー、電源ユニット、PCケースなどにも気を使わなければいけません。その分コストも上がってしまうことになります。参考データとして各CPUの消費電力をまとめていますので合わせて確認してみてくださいね。消費電力の高いRyzen 9 3900Xをも上回っています。いかに消費電力が高いのかということがわかりますね。
参考データ
BTOパソコンでメインラインナップにはなり得ない
Core i9-10900Kは、スペックが高い高パフォーマンスモデルです。コストパフォーマンスを考えなければゲーミング用途でも最強だと言えます。しかし、Core i9-10900Kを搭載したBTOパソコンではメインラインナップとなることはありません。
いくつか理由を挙げられますが、まず価格が高すぎるということが挙げられます。グラフィックボードと合わせると25万円以上になることも珍しくなく誰もが簡単に購入できる価格帯とは言えません。ハイエンドモデルが売れ筋になることはほとんどありません。
もう一つの理由が、Core i9-10900Kに合わせるグラフィックボードの幅が狭いということです。Core i9-10900Kに合わせるとなるとRTX 2080 SUPER以上が好ましいです。そうなると実質RTX 2080 SUPERとRTX 2080 Tiの2種類のみとなります。他のCPUに比べるとどうしてもラインナップは少なくなってしまいますね。
Core i9-10900Kのベンチマーク
Cinebench R20
7-Zip
Core i9-10900Kのゲームプレイ時のフレームレート
Grand Theft Auto 5
Far Cry 5
Core i9-10900K搭載のおすすめBTOパソコン
G-GEAR GA9J-J201/ZT(TSUKUMO)
価格:249,800円
CPU:Core i9-10900K
GPU:GeForce RTX 2080 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:2TB
電源:750W GOLD
PG-MC(STORM)
価格:249,800円(税込)
CPU:Core i9-10900K
GPU:GeForce RTX 2080 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:2TB
電源:750W GOLD
GALLERIA ZZ i9-10900K搭載(ドスパラ)
価格:299,980円
CPU:Core i9-10900K
GPU:GeForce RTX 2080 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
当記事のまとめ
当記事では、Comet Lake世代のフラグシップモデルであるCore i9-10900Kの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しました。前世代のCore i9-9900Kからコア数及びスレッド数が10コア20スレッドとパワーアップしました。12コア24スレッドのRyzen 9 3900Xには及ばないものの用途によっては優れたパフォーマンスを発揮します。
搭載モデルについてはハイエンドのゲーミングPCが中心です。グラフィックボードとの組み合わせ的にもハイエンドのものが選択されるため各BTOメーカーごとにそれほどラインナップが増えることはないでしょう。税抜25万円以上のモデルがほとんどで高価です。ある程度ターゲット層が限定されるCPUだと考えて間違いありません。
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