当記事では、Ryzen 9 7900Xの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。2022年9月にRyzen 9 5900Xの後継モデルであるRyzen 9 7900Xがリリースされました。12コア24スレッドというスペックは変更を加えず、アーキテクチャがZen 3からZen 4へと変わって性能が引き上げられています。
競合モデルのフラグシップモデルであるCore i9-12900Kを超えるCPU性能を持ち発売時点でトップクラスのCPUだと言えます。クリエイター作業を考えている方は必見です。ゲーミング性能も高いですが、下位モデルであるRyzen 7 7700Xとの差がそれほど大きくないのが悩ましいところです。すでに各BTOメーカーから搭載モデルがリリースされています。
(+) i9-12900Kを超える処理性能を持つ
(+) ゲーミング性能も大きく向上している
(+) CPU内蔵グラフィックスを搭載している
(-) ゲーミング性能は7 7700Xに近い
(-) 消費電力が高く本体温度も高くなりがち
(-) 搭載BTOパソコンの価格がかなり高い
Ryzen 9 7900Xの基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 12 / 24 |
定格クロック | 4.70 GHz |
最大クロック | 5.60 GHz |
L3キャッシュ | 64MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 170W |
PPT | 230W |
価格 | $549 |
発売日 | 2022/09/27 |
目次
Ryzen 9 7900Xのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ |
Ryzen 7000シリーズ(Zen 4)の概要
Ryzen 7000シリーズラインナップ
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
2022年9月時点でRyzen 7000シリーズは四つのラインナップがあります。Ryzen 9 7900Xは、Ryzen 9 7900Xに次いで二番目に高い性能を持つCPUとなっています。Ryzen 9シリーズは、二つのCCXを持っています。この二つのCCX間のやり取りが発生することでレイテンシ(遅延)が発生してゲームプレイなどそれほどコアが要求されない用途においては不利になってしまうことがあります。Ryzen 7 7700X及びRyzen 5 7600Xは一つのCCXのみです。
5nmプロセスを採用
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Ryzen 7000シリーズでは新たに5nmプロセスが採用されています。プロセスが小さくなると省電力化や機能面の強化などで有利になります。また、一つのウェーハーから製造されるチップの量が増えるためコスト面でも有利です。
IPC改善
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Zen 4は、Zen 3アーキテクチャと比べてIPCが13%改善されています。簡単に言えば同じクロック周波数でも13%高い性能を発揮するということです。このIPCの改善は、フロントエンド・ロード/ストアなどの改良によって実現しています。
Socket AM5
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
ついにSocket AM5へと変更されています。基本的に従来モデルのAM4との互換性はありませんが、CPUクーラーに関してのみ互換性があります。最大230WのSocket Power Delivery、DDR5メモリサポート、PCIe 5.0サポートなどが実現しました。旧世代のRyzenシリーズの買い替えの場合マザーボード及びメモリのアップグレードが必要です。
Ryzen 9 7900Xのスペック比較
AMD製CPUと比較
9 7900X | 9 7950X | 9 5900X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | 131.4億 | 83.0億 |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 2x 70 mm² | 2x 80 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | 124.7 mm² | 124 mm² |
コア | 12 | 16 | 12 |
スレッド数 | 24 | 32 | 24 |
定格クロック | 4.7GHz | 4.5GHz | 3.7GHz |
最大クロック | 5.6GHz | 5.7GHz | 4.8GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 64MB | 64MB | 64MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | 非搭載 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 170 W | 170 W | 105 W |
PPT | 230 W | 230 W | 142W |
価格 (実売価格) | $549 (89,980円) | $699 (117,800円) | $549 (81,800円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2022年09月27日 | 2020年11月05日 |
Ryzen 9 7900Xシリーズでは2つのCPUダイと1つのI/Oダイを持っています。そのため、ダイサイズは×2と記載しています。I/Oプロセスも12nmから6nmへと微細化されています。I/Oダイサイズは同等です。コア/スレッドは12コア24スレッドと変更はありません。
定格クロックが27%高く、最大クロックも17%高いです。どちらのCPUもオーバークロックに対応しています。L3キャッシュ容量は64MBと共通です。対応メモリがDDR4-3200からDDR5-5200へとアップグレードされました。また、今世代からCPU内蔵グラフィックスが搭載されています。PCI-ExpressはGen 4からGen 5へと変更されました。TDPは70%高く170Wです。PPTも230Wと引き上げられています。定価は$549と違いはありません。国内の販売価格では8,180円の差があります。
上位モデルのRyzen 9 7950Xでもプロセス・トランジスタ数・ダイサイズ・I/Oなどに違いはありません。コア/スレッドはそれぞれ33%増えて16コア32スレッドとなります。これは8つのコアを持つCCX 2基がすべて有効化されているためです。Ryzen 9 7900XではCCX 1基につき2つのコアが無効化されています。
定格クロックはRyzen 9 7900Xの方が5%高く、最大クロックはRyzen 9 7950Xの方が2%高いです。いずれのCPUもオーバークロックに対応しています。ただし、過去のモデルと比べるとオーバークロックによる性能向上はそれほど高くありません。出荷時の時点ですでにある程度高い水準が維持されているということです。
L3キャッシュはどちらも64MBです。対応メモリはDDR5-5200と共通です。CPU内蔵グラフィックスはRadeon Graphicsとなります。PCI-ExpressはGen 5をサポートしています。TDP・PPT共に変更なしです。価格差は$150です。国内の実売価格では27,820円の差があります。
Intel製CPUと比較
Ryzen 9 7900X | Core i9-12900K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Alder Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | - |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 215 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | - |
トータルコア数 | 12 | 16 |
トータルスレッド数 | 24 | 24 |
Pコア(スレッド) | - | 8(16) |
Eコア(スレッド) | - | 8(8) |
定格クロック(P) | 4.7GHz | 3.2GHz |
最大クロック(P) | 5.6GHz | 5.2GHz |
定格クロック(E) | - | 2.4GHz |
最大クロック(E) | - | 3.9GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 64MB | 30MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 |
TDP | 170 W | 125W |
PPT(PL2) | 230 W | 241W |
価格 (実売価格) | $549 (89,980円) | $599 (79,980円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2021年11月04日 |
物理コアはCore i9-12900Kの方が33%多く16コアとなります。Core i9-12900Kは8つのPコア(従来コア)と8つのEコア(新コア)を搭載しています。Pコアのみハイパースレッディングに対応しているため24スレッドとなります。Pコアはパフォーマンス重視で、Eコアは効率性重視のコアとなっています。
定格クロックはRyzen 9 7900Xの方が47%高く、最大クロックもRyzen 9 7900Xの方が8%高いです。Core i9-12900KのEコアの定格クロックは2.4 GHz、最大クロックは3.9 GHzと控え目です。負荷の軽い作業を中心に行います。いずれのCPUもオーバークロックに対応しています。L3キャッシュはRyzen 9 7900Xの方が2倍以上と多いです。
Core i9-12900Kではメモリサポートの範囲が広くDDR5-4800だけではなくDDR4-3200にも対応しています。コスト面を考えると安価なDDR4に対応しているのはポイントとなります。Core i9-12900KもCPU内蔵グラフィックを搭載しています。PCI-ExpressはGen 5サポートと共通です。
TDPはRyzen 9 7900Xの方が36%高く170Wとなります。PPTはCore i9-12900Kの方が5%高いです。MSRPはCore i9-12900Kの方が$50高いです。発売から時間が経っていることもあって国内の販売価格は79,980円~とRyzen 9 7900Xよりも10,000円安く購入できます。プラットフォームのコストを考えてもCore i9-12900Kが優勢です。
Ryzen 9 7900XってどんなCPUなの?
i9-12900Kを超える高いパフォーマンスを持っている
Ryzen 9 7900Xは、Ryzen 7000シリーズにおいて二番目に高い性能を持つCPUです。二番目のCPUでIntelの最上位モデルであるCore i9-12900Kを上回る性能を持っています。12コア24スレッドというスペックで、16コア24スレッドのCPUと対等以上の戦いができます。性能差はおよそ6%となっています。
従来モデルのRyzen 9 5900Xよりも35%程度処理性能が向上しました。プロセス微細化によるクロック周波数の引き上げとIPC改善が性能に与える影響が大きいですね。下位モデルであるRyzen 7 7700Xよりも30%以上パフォーマンスが高いです。動画編集・WEBデザイン・3D CADなどCPU負荷の高い作業を中心に考えている方におすすめです。
ゲームプレイだけを考えるなら下位モデルのRyzen 7 7700Xでも同等の性能を期待できます。およそ25,000円浮かすことができます。その浮いた分でグラフィックボードに投資した方が高いフレームレートを実現できます。Ryzen 9シリーズはクリエイター向けのCPUという側面があります。
搭載BTOパソコンの価格がかなり高い
ドスパラ・パソコンショップセブン・サイコムなどから搭載BTOパソコンが販売されていますが、かなりのプレミアム価格でコストパフォーマンスは最悪です。ドスパラのラインナップを例に価格を見ていきましょう。Ryzen 9 7900X×RTX 3080 10GB搭載モデルの価格は419,980円です。
グラフィックボードをそのままにCPUがCore i9-12900Kになると379,980円と40,000円安いです。さらに、Ryzen 9 5900X搭載モデルなら369,980円と50,000円安いです。Ryzen 9 7900Xがいかに割高であるかがわかると思います。もちろんプレミアム価格となっているのにもそれなりの理由があります。
まずは発売されたばかりで旧世代のモデルとの差別化が必要であることそしてDDR5メモリや高価なマザーボード搭載でコストが掛かっていることが挙げられます。もう少し時間が経てばCore i9-12900Kと同程度の価格まで落ち着くのではないかと思います。
Ryzen 9 7900Xのベンチマーク
Cinebench R23
Adobe Photoshop
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Ryzen 9 7900Xのゲーミング性能
Borderlands 3
Far Cry 6
Elden Ring
Ryzen 9 7900Xのその他ベンチマーク
温度
消費電力
Ryzen 9 7900X搭載のおすすめBTOパソコン
Radiant GZ3500X670A(サイコム)
価格:244,560円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X *カスタマイズ
GPU:Radeon Graphics(CPU内蔵)
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:480GB
HDD:非搭載
GALLERIA ZA9R-R38 7900X搭載(ドスパラ)
価格:419,980円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X
GPU:GeForce RTX 3080 10GB
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
ZEFT R40AY(セブン)
価格:455,180円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X
GPU:GeForce RTX 3070 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:2TB
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 9 7900Xの性能スペック&搭載BTOパソコンについて紹介しました。Ryzen 5000シリーズが発売されておよそ2年の月日が流れてようやく次世代モデルが登場しました。Ryzen 9 7900Xは、Zen 4アーキテクチャを採用したラインナップの中で二番目に高い性能を持つCPUです。12コア24スレッドと従来モデルのRyzen 9 5900Xとスペックは共通です。
プロセスの微細化、クロック周波数の引き上げ、IPCの改善などによって35%も性能が高くなりました。Intel第十二世代のフラグシップモデルであるCore i9-12900Kと同等以上のCPU性能を誇ります。ゲームプレイ時のパフォーマンスはやや劣るものの、シングルスレッド性能も高くなり弱点のないCPUになりました。
すでに搭載BTOパソコンが販売されていますが、価格が高くコストパフォーマンスは低いです。もう少し待つかすでに価格の下がっているRyzen 5000シリーズ搭載モデル/Intel第十二世代Core iシリーズ搭載モデルを選択すると良いと思います。
参照外部サイト
- AMD Ryzen 7000 Zen 4 Launch: Speeds, Specs, All You Need To Know And An RDNA 3 Surprise(HOTHARDWARE, 2022)
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当ページベンチマークテスト環境
- ソフトウェア:Windows 11 Professional 64-bit
- グラフィックス:EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 Ultra
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF1 1200 W
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero