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当ページでは、モバイルノートに使われることの多いストレージである「eMMC(イーエムエムシー)」について詳しく解説しています。安価なBTOノートパソコンを見ているとストレージ欄にeMMC 64GBなどと書かれていることに気付きます。このページはSSDやHDDとは異なるそのeMMCについて詳しく知りたい方のために書かれています。
eMMCは容量がそれほど多いストレージではありませんが、省電力かつコンパクトさがウリのストレージです。容量が抑えられていることからパソコンの価格が安くなるというのも魅力です。低価格帯のモバイルパソコンなどに最適です。同じストレージであるSSDとの違いに言及しながら詳しく見ていきましょう。
目次
eMMC(embedded MultiMediaCard)って何のこと?
eMMCとは、フラッシュメモリーを基本としたストレージのことです。英語では「Embedded Multi Media Card」で、直訳すると組み込み機器向けのマルチメディアカードとなります。モバイルノートPCに使われることが多くなっています。SSDと同じようにフラッシュメモリーを活用していることからSSDに似ている側面も多いです。一般的な用途におけるeMMCの読み込み/書き込み速度は、SSDとHDDの中間と考えて良いでしょう。SSDほど速くはないもののパソコンの起ち上げ速度も速く快適です。SSDとの違いについては次の項目で詳しく解説しています。
モバイルノート以外にもスマートフォンのストレージとして利用されることもあります。容量は多くの場合32GBか64GBとなっています。稀に128GBのものもあります。最近はSSDもHDDも価格が下がり大容量が一般的になってきていましたので、32GB or 64GBだと物足りなく感じてしまうかもしれません。それでも省電力であることや小さいことがメリットなるため選ばれることが多いです。
ストレージ容量が少ないという弱点をカバーするようにほとんどのeMMC搭載のノートパソコンにSDやmicro SDなどのようなメモリーカードを挿入できるカードスロットが用意されています。別途micro SDなどを用意すれば簡単にストレージ容量を増やせます。最近はmicro SDの価格も落ちてきているので選びやすくなりました。例えばドラレコやカメラのSDカードやmicro SDカードを読み込むことも可能です。その他にもDropboxなどのクラウドサービスを利用すればストレージの問題はなくなると思います。
eMMCの業界規模は今後も伸びる
eMMCの市場規模は今後も拡大が予想されています。ある研究(kbv research, 2021)によると、2027年には118億米ドルに到達すると言われています。上から順にGPSシステム(自動車)、デジタルカメラ、スマートフォン、医療機器、その他となっています。特に自動車の需要が高いようです。モバイルノートパソコンはその他に含まれますので、パソコン自体eMMC業界でのシェアが大きいわけではありません。それでも今後もテレワーク需要は高まると思いますので、パソコンでの伸びしろはありそうですね。
eMMCとSSDの特徴を比較
eMMC | SSD | |
---|---|---|
サイズ | 小さい | 普通 |
価格 | 高い | 普通 |
容量 | 64GBが主流 | 1TBもある |
データ転送速度 | 普通 | 早い |
消費電力 | 少ない | やや少ない |
サイズ
eMMCはコンパクトさが魅力のストレージです。これがeMMC最大の特徴だと言っても過言ではありません。同じフラッシュメモリーのSSDよりも一回り小さく利便性に優れています。そのため11.3インチや13.3インチのモバイルノートだけではなく、タブレットやスマートフォンにも利用されているというわけです。
モバイルノートパソコンにおいて本体重量を抑えられるのは大きなメリットだと言えます。本体重量1.0kgを切るモデルも珍しくはありません。持ち運びをメインに考えているならeMMCとクラウドストレージの組み合わせが最強です。安価なChromebookなどで選択されることが多いですね。
価格
モバイルノートパソコンやスマートフォンに採用されていることから単体で見るとeMMCの価格が安いように感じられるかもしれません。実際はeMMCのストレージ容量が少ないためで1GB当たりの価格で見ると割高です。SSDやHDDなどその他のストレージで同じ容量を実現するとなるともっとコストを下げられるということになります。本体が小さいことと消費電力を抑えられていることを考えると納得できると思います。価格は妥協すべき点ということです。
容量
ストレージは控え目で最大でも128GBとなっています。ただし、最大の128GBを搭載したモデルはほとんどなく、32GBか64GBが一般的です。当然容量は多いとは言えませんが、eMMCを搭載したモデルの場合動画視聴やブラウジングがメインとなりますので大きなデメリットというわけではありません。動画や画像をたくさん保存したい場合などでeMMC搭載モデルのストレージ容量を増やしたいなら外部ストレージやクラウドサービスで対応する必要があります。
転送速度
eMMCの転送速度についてはSSDには及びませんが、HDDよりも速く不満を感じることはないと思います。PCの起動やアプリケーションの起動もスピーディーです。モバイルノートパソコンやスマートフォンなどでさっと取り出して使えるのは嬉しいですね。打ち合わせなどでパソコンを使いたい方は必見です。バッテリーの節約のためにシャットダウンをしていても問題ありません。
消費電力
消費電力はかなり低く省電力性が強みのストレージです。SSDやHDDよりも消費電力は抑えられています。発熱量も小さいです。大きなバッテリーを搭載できないモバイルノートやスマートフォンにぴったりだと言えますね。バッテリー駆動時間を重視したいならeMMCを搭載したモデルを検討すると良いと思います。基本的にはeMMCを搭載したモバイルノートパソコンの場合はバッテリー駆動時間は長めになっていることが多いです。
eMMCに関するよくある質問
eMMCの寿命について
eMMCの寿命は少なくとも10年以上で基本的にはそれよりも先に他のパーツが寿命を迎えるか性能的に厳しくなる可能性が高いでしょう。数十年単位で持つものだからです。eMMCではブロックの寿命が3,000回から10,000回(Toradex ,2021)です。64GBのeMMCの場合総ブロック数は64×1,024×1,024/512で131,072となります。つまり、書き換え可能回数は131,072×3,000=393,216,000回です。
1日当たりの書き換え回数を17,280回(株式会社アルゴシステム ,2018)とすると、eMMCの寿命は393,216,000÷17,280÷365=62.34年となります。さすがに62年もパソコンを使用することはないと思いますので、eMMCの寿命についてはそれほど心配しなくても良いと思います。もっとも寿命が長いからといって故障しないというわけではありません。
eMMCの交換について
eMMCの交換は基本的には不可能だと考えて間違いありません。SSDやHDDのように取り外しが簡単にできるタイプではなく、eMMCはマザーボード上にはんだ付けされているためです。リワーク装置を使用して取り外す必要があります。熱してはんだを取り除くイメージです。素人が見よう見まねで取り外そうとしてもうまくいかないでしょう。どうしても交換する必要がある場合は専門の業者に依頼されることを推奨します。
eMMC搭載のモバイルノート/タブレット紹介
THIRDWAVE VF-AD4S(ドスパラ)
価格:29,980円(税込)
CPU:Celeron N4120
GPU:UHDグラフィックス600
メモリ:LPDDR4X 4GB
ストレージ:eMMC 64GB
ASUS L410MA(ASUS)
価格:36,800円(税込)
CPU:Celeron N4020
GPU:UHDグラフィックス600
メモリ:DDR4-2400 4GB
ストレージ:eMMC 64GB
ASUS E210KA(ASUS)
価格:49,800円(税込)
CPU:Celeron N4500
GPU:UHDグラフィックス
メモリ:DDR4-2933 4GB
ストレージ:eMMC 128GB
当記事のまとめ
当記事では、モバイルノートPCのストレージとして採用されることの多い「eMMC」について紹介しました。eMMCは、SSDと同じフラッシュメモリーとなっています。特性では異なる点が多いです。例えば、SSDと比較してストレージ容量は小さく、1GB当たりのコストは大きいです。メリットとしては、本体が小さいこと省電力性が高いことです。このような理由からモバイルノートPCを始めとして、タブレットやスマートフォンに採用されることもあります。
eMMCを搭載したノートパソコンとして代表的なのは、ドスパラの「THIRDWAVE VF-AD4S」です。税込29,980円と手頃な価格がウケています。国産メーカーでこの価格を実現したのは驚きです。サブパソコンとしても使い勝手が良いですね。
その他Celeron N4120を搭載したASUSの「ASUS L410MA」も人気です。この価格帯のモデルについては性能は似たようなものが多くデザインやショップで決めてしまうと良いでしょう。
参照外部サイト
- Embedded Multimedia Card (eMMC) Market Size Report to 2027(kbv research, 2021)
- eMMCフラッシュメモリー搭載デバイスの消耗推定(Toradex ,2021)
- 産業用パネルPCユーザーマニュアル(株式会社アルゴシステム ,2018)
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