画像引用元:https://jp.msi.com/
当記事では、「GeForce GTX 980の性能スペックとベンチマーク」を紹介しています。GTX 980は、Maxwell世代のグラフィックボードで、Kepler世代のGTX 780の後継モデルです。性能的にはその上位モデルであるGTX 780 Tiよりも高い性能を発揮します。Maxwell世代における下位モデルであるGTX 970と同じGPUであるGM204を採用しています。
本来今世代から20nmプロセスへと移行するはずでしたが、開発が間に合わず28nmプロセスで改めてデザインを構築することになりました。高いパフォーマンスだけではなく優れた省電力性を持つモデルで、ここ数年でもっとも成功したグラフィックボードと言えるかもしれません。DSR(Dynamic Super Resolution)やMFAAといった新しい技術も投入されています。
(+) フルスペックのGM204を活用している
(+) GTX 780 Tiよりも高い処理性能を誇る
(+) 省電力性に優れている
(-) プロセスは28nmを維持していて革新性はない
(-) GTX 780 Ti/GTX 780からの買い替えは不要
目次
GeForce GTX 980の性能スペック紹介
GeForce製グラフィックボードと比較
GTX 980 | GTX 970 | GTX 780 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Maxwell 2.0 | Maxwell 2.0 | Kepler |
GPU | GM204 | GM204 | GK110 |
プロセス | 28 nm | 28 nm | 28 nm |
トランジスタ数 | 52億 | 52億 | 70.8億 |
ダイサイズ | 398 mm² | 398 mm² | 561 mm² |
SM数 | 16 | 13 | 12 |
ROP数 | 64 | 56 | 48 |
CUDAコア | 2048 | 1664 | 2304 |
ベースクロック | 1127 MHz | 1050 MHz | 863 MHz |
ブーストクロック | 1216 MHz | 1178 MHz | 902 MHz |
L2キャッシュ容量 | 2000KB | 2000KB | 1536 KB |
VRAM | GDDR5 4GB | GDDR5 4GB | GDDR5 3GB |
メモリ速度 | 7 Gbps | 7 Gbps | 6 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 256 bit | 384 bit |
メモリ帯域幅 | 224.4 GB/s | 224.4 GB/s | 288.4 GB/s |
TDP | 165 W | 148 W | 250 W |
バスインターフェース | PCIe 3.0 x16 | PCIe 3.0 x16 | PCIe 3.0 x16 |
出力 | 1x DVI 1x HDMI 2.0 3x DisplayPort 1.4a | 1x DVI 1x HDMI 2.0 3x DisplayPort 1.4a | 2x DVI 1x HDMI 1.4a 1x DisplayPort 1.2 |
公式価格 | $499 | $329 | $649 |
発売日 | 2014/09/19 | 2014/09/19 | 2013/05/23 |
GTX 980のSM数は16で、下位モデルのGTX 970とは差別化が図られています。SM数16というのはGM204のフルスペックとなります。GTX 980のROP数は64です。GTX 970よりも14%多いです。CUDAコアは2048(16×128)です。CUDAコア数はGTX 970よりも23%多いです。ベースクロックはGTX 980の方が7%高く、ブーストクロックもGTX 980の方が3%高いです。L2キャッシュは2000KBと共通です。
メモリ周りも同じですね。GPUメモリは、GDDR5 4GBを搭載しています。メモリ速度は7 Gbps、メモリバスは256 bitです。メモリ帯域幅は224.4 GB/sとなります。TDPはGTX 980の方が12%高いです。スペック差を考えると165WというTDPも抑えられているように思えます。バスインターフェイスはPCIe 3.0×16です。出力は、1x DVI・1x HDMI 2.0・3x DisplayPort 1.4aです。価格はGTX 980の方が$170高く$499となります。
従来モデルのGTX 780と比較していきます。GTX 780はKepler世代のグラフィックボードでGPUはGK110です。プロセスは28nmを採用しています。トランジスタ数はGTX 980の方が26%少ないです。ダイサイズもGTX 980の方が28%小さいです。SM数はGTX 980の方が33%多くなっています。ROP数もGTX 980になって34%増えています。ベースクロックはGTX 980の方が30%高く、ブーストクロックもGTX 980の方が35%高いです。
L2キャッシュもGTX 980になって30%増えました。メモリ速度もGTX 980の方が16%速いです。一方で、メモリバスについてはGTX 780の方が50%広く384 bitとなっています。結果的にメモリ帯域幅はGTX 780の方が28%広いですが、実行メモリバス帯域幅では同等以上の水準に到達しています。メモリバスの消費電力が低減しているのが理由です。TDPはGTX 980になって33%抑えられています。
バスインターフェイスはPCIe 3.0×16と共通です。出力は、2x DVI、1x HDMI 1.4a、1x DisplayPort 1.2です。GTX 980ではDisplayPort 1.4a端子が多くなりより実用性が高くなっています。価格は$150安くなっています。GTX 780からGTX 980になって一気に価格が引き下げられました。
AMD製グラフィックボードと比較
GTX 980 | R9 290X | |
---|---|---|
コードネーム | Maxwell 2.0 | GCN 2.0 |
GPU | GM204 | Hawaii |
プロセス | 28 nm | 28 nm |
トランジスタ数 | 52億 | 62億 |
ダイサイズ | 398 mm² | 438 mm² |
SM数 | 16 | 44 |
ROP数 | 64 | 64 |
CUDAコア | 2048 | 2816 |
ベースクロック | 1127 MHz | 1000 MHz |
ブーストクロック | 1216 MHz | - |
L2キャッシュ容量 | 2000KB | 1024 KB |
VRAM | GDDR5 4GB | GDDR5 4GB |
メモリ速度 | 7 Gbps | 5 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 512 bit |
メモリ帯域幅 | 224.4 GB/s | 320.0 GB/s |
TDP | 165 W | 290 W |
バスインターフェース | PCIe 3.0 x16 | PCIe 3.0 x16 |
出力 | 1x DVI 1x HDMI 2.0 3x DisplayPort 1.4a | 2x DVI 1x HDMI 1.4a 1x DisplayPort 1.2 |
公式価格 | $499 | $549 |
発売日 | 2014/09/19 | 2013/10/24 |
SM数はR9 290Xの方が2.7倍で44となります。ROP数はどちらも64基です。R9 290XのCUDAコアは2816(44×64)とGTX 980よりも37%多いです。もちろんアーキテクチャが異なるためCUDAコア数だけで性能が決まるわけではありません。ベースクロックはGTX 980の方が12%高いです。L2キャッシュはGTX 980の方が95%多いです。
VRAMはGDDR5 4GBとどちらも同じです。メモリ速度はGTX 980の方が40%速く7 Gbpsです。メモリバスはR9 290Xの方が倍で512 bitとなっています。メモリ帯域幅はR9 290Xの方が42%広く320.0 GB/sとなります。TDPはR9 290Xの方が76%高く290Wです。バスインターフェイスはPCIe 3.0×16と共通です。R9 290Xの出力端子は2x DVI、1x HDMI 1.4a、1x DisplayPort 1.2です。価格はR9 290Xの方が$50高いです。
GeForce GTX 980ってどんなグラフィックボード?
R9 290X/GTX 780 Tiよりも高い性能を持つ
GTX 980は、2014年時点で最も高い性能を持つシングルグラフィックボードとなっています。上記の画像の通り、GTX 980よりも高い性能を持つグラフィックボードはデュアルGPUのRadeon R9 295X2とRadeon HD 7990のみです。さすがにデュアルGPUには及ばないものの十分健闘していますね。安定感や省電力性の観点からシングルGPUの方が優勢です。
従来モデルのGTX 780 Tiよりも15%性能が高くなっています。競合モデルであるRadeon R9 290Xよりも11%性能が高いです。GTX 780 Tiではやや負けていたのでこれでNVIDIAとしては満足できたのではないかと思います。デュアルGPUのRadeon HD 7990を上回る性能は圧巻です。FULL HD以上の環境でのゲームプレイを考えている方に最適です。GPUメモリ容量も4GBと余裕があります。
フルスペックのGM204を活用している
GTX 980の最大の特徴は、GPUにフルスペックのGM204を採用していることでしょう。これはGK104を採用していたGTX 680とGTX 670の関係に似ていますね。80番台と70番台のグラフィックボードで同じGPUを共有しているということです。
GM204は、398m㎡のダイの上に5.2億のトランジスタを詰め込んでいます。従来モデルのGTX 780で採用されていたGK110と比べてダイサイズも小さくトランジスタ数も少なくなっていますが、より高い性能を持っています。GTX 770で採用されていたGK10よりは大きく強化されていますね。ROP数もGTX 780 TiやGTX 780よりも34%増えています。
フルスペックのGM204ではSM数が16基でテクスチャユニット数が128基となります。CUDAコアは2048基です。GTX 780と比べると18%減となります。一方で、ベースクロック及びブーストクロックが大きく引き上げられています。これでCUDAコアが少ない分をカバーしていると言えるでしょう。
省電力性に長けたグラフィックボード
GTX 980は、GTX 970についで消費電力の抑えられたグラフィックボードとなっています。従来モデルのGTX 780 TiやGTX 780よりも28%程度消費電力が抑えられています。Radeon R9 290Xよりも42%も消費電力が低いことがわかります。40nmプロセスを採用していながらこれだけ消費電力を抑えたというのはNVIDIAの凄さと言えるでしょう。Kepler世代との大きな違いはこの省電力性の高さですね。
GeForce GTX 980搭載PC使用時のフレームレート一覧
実際のゲームプレイ時のフレームレートを計測していきます。GTX 980 Tiは性能が高いグラフィックボードなので、FULL HDを対象から外しています。WQHD及び4K環境+最高設定でのフレームレートとなります。
*フレームレート(fps)とは、1秒間における表示可能なコマ数です。通常60fps以上の数値があれば快適だと言えます。
Far Cry 3
Battlefield 4
Tomb Raider
GeForce GTX 980のその他ベンチマーク
温度
当記事のまとめ
当記事では、GeForce GTX 980の性能スペック&ベンチマークについて紹介しました。GTX 980は、Kepler世代のGTX 780の後継モデルです。フルスペックのGPUであるGM204を搭載していて高い性能を持っています。kepler世代のフラグシップモデルであるGTX 780 Tiよりも15%程度処理性能が高いです。もっとも現時点でGTX 780 TiやGTX 780を所有している方は買い替える必要はないと思います。
競合モデルであるRadeon R9 290Xを突き放しています。GTX 980は性能が向上したことよりも省電力性の高さが魅力だと言えるかもしれません。GTX 780 Tiよりも30%近くも消費電力が抑えられているのはポイントです。同じ40nmプロセスを採用していてこの省電力性の高さを実現したことは快挙だと言えます。電源ユニットなどもある程度流用で対応できるでしょう。
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当ページベンチマークテスト環境
CPU | Core i7-4770K |
マザーボード | ASUS Maximus VI Hero Intel Z87 |
メモリ | DDR3-1600 16GB |
HDD | WD Caviar Blue WD10EZEX 1 TB |
電源ユニット | Antec HCP-1200 1200W |
ソフトウェア | Windows 7 64-bit Service Pack 1 |