当記事では、Ryzen 7 6800Hの性能スペック及び搭載BTOノートパソコンについて紹介しています。Ryzen 7 5800Hの後継モデルでコードネームがZen 3からZen 3+へと変わりました。次世代モデルであるZen 4ではない点は理解しておく必要がありますね。プロセスが6nmへとさらに微細化されています。
ターボクロックの引き上げ、メモリ規格のアップグレード、CPU内蔵グラフィックスの強化が施されてより完成度の高いCPUとなっています。ゲームプレイなど負荷の高い用途を考えている方におすすめです。競合モデルであるIntel第十二世代のCore i7-12700Hともじっくり比較していきましょう。
Ryzen 7 6800Hの基本スペック
世代 | 第4世代 |
開発コード | Rembrandt(Zen 3+) |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
クロック周波数 | 3.20 GHz |
ブーストクロック | 4.70 GHz |
L3キャッシュ | 16MB |
内蔵グラフィックス | Radeon 680M |
TDP | 45W |
発売日 | 2022年1月 |
価格 | - |
目次
Ryzen 7 6800Hのおすすめ用途
動画視聴 | Skype | ビジネス | デュアル | デイトレ | マンガ | デザイン |
☆ | ☆ | ◎ | ☆ | ☆ | ◎ | ◎ |
RAW現像 | 動画編集 | 動画投稿 | DTM | ゲーム | 実況 | CAD |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
なお、CPU内蔵グラフィックスの性能はIntel製モデルを上回ります。タイトル・設定次第では十分ゲームプレイが可能です。3D CADについては搭載しているグラフィックボード次第です。大規模な3D CADモデルになるとデスクトップ向けのハイエンドクラスでないと厳しいです。
Ryzen 7 6800Hのスペック比較
AMD製CPUと比較
Ryzen 7 6800H | Ryzen 7 5800H | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 3+ | Zen 3 |
開発コード | Rembrandt | Cezanne |
プロセス | 6nm | 7nm |
トランジスタ数 | - | 107億個 |
ダイサイズ | 208 mm² | 180 mm² |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 3.2GHz | 3.2GHz |
ターボクロック | 4.7GHz | 4.4GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB |
メモリ | DDR5-4800 LPDDR5-6400 | DDR4-3200 LPDDR4-4266 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon 680M | Radeon Graphics |
グラフィックコア | 12 | 8 |
グラフィック周波数 | 2200MHz | 2000MHz |
PCI-Express | 4.0 | 3.0 |
TDP | 45W | 35W-54W |
価格 | - | - |
発売日 | Q1 2022 | Q1 2021 |
コア/スレッドは8コア16スレッドと共通です。ベースクロックも3.2GHzと変わっていませんが、ターボクロックは7%高く4.7GHzになりました。L3キャッシュ容量は16MBと同じです。メモリ規格はDDR4-3200/LPDDR4-4266からDDR5-4800/LPDDR5-6400へと一新されています。より高いパフォーマンスを期待できます。
CPU内蔵グラフィックスもRadeon GraphicsからRadeon 680Mへとアップグレードされています。グラフィックコアは50%増えて12となりました。グラフィック周波数も10%高く2200MHzになっています。PCI-ExpressもGen 3.0からGen 4.0へと変更されています。TDPは45Wとなっています。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 6800H | Core i7-12700H | Core i7-11800H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 3+ | Alder Lake | Tiger Lake |
開発コード | Rembrandt | - | - |
プロセス | 6nm | 10nm | 10nm |
トランジスタ数 | - | - | - |
ダイサイズ | 208 mm² | 217 mm² | - |
コア/スレッド | 8/16 | 14/20 | 8/16 |
ベースクロック | 3.2GHz | 2.3GHz | 2.3GHz |
ターボクロック | 4.7GHz | 4.7GHz | 4.6GHz |
ベースクロック | - | 1.7GHz | - |
ターボクロック | - | 3.5GHz | - |
L3キャッシュ | 16MB | 24MB | 24MB |
メモリ | DDR5-4800 LPDDR5-6400 | DDR5-4800 LPDDR5-5200 DDR4-3200 LPDDR4x-4267 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon 680M | Iris Xe Graphics | UHD Graphics 750 |
グラフィックコア | 12 | 96 | 32 |
グラフィック周波数 | 2200MHz | 1400MHz | 1450MHz |
PCI-Express | Gen 4.0 | Gen 4.0 | Gen 4.0 |
TDP | 45W | 45W | 45W |
価格 | - | $457 | $395 |
発売日 | Q1 2022 | Q1 2022 | Q2 2021 |
コア/スレッドはCore i7-12700Hの方が多く14コア20スレッドとなっています。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて6つのPコアと8つのEコアを搭載しています。Ryzen 7 6800HのコアとCore i7-12700HのPコアが同等です。ベースクロックはRyzen 7 6800Hの方が40%高く、ターボクロックは4.7GHzと同じです。Eコアのベースクロックは1.7GHzで、ターボクロックは3.5GHzです。Eコアは効率重視のコアでクロック周波数は抑えられています。Windows 11が自動的にコアを割り振ってくれます。
L3キャッシュ容量はCore i7-12700Hの方が50%多く24MBです。Core i7-12700Hでは、DDR5だけではなくDDR4もサポートしています。Core i7-12700HではCPU内蔵グラフィックスにIris Xe Graphicsを搭載してます。グラフィックス処理性能はRadeon 680Mが上です。PCI-ExpressはどちらもGen 4.0に対応しています。TDPは45Wと共通です。Core i7-12700Hの価格は$457です。性能を考慮するとRyzen 7 6800Hの価格はもう少し安いのではないかと思います。
参考として旧世代のCore i7-11800Hをテーブルに並べています。Core i7-11800HはTiger Lake世代のCPUで10nmプロセスを採用しています。8コア16スレッドとRyzen 7 6800Hと共通です。ベースクロックはRyzen 7 6800Hの方が40%高く、ターボクロックもRyzen 7 6800Hの方が3%高いです。L3キャッシュはCore i7-11800Hの方が50%多いです。対応メモリはDDR4-3200となっています。CPU内蔵グラフィックスはUHD graphics 750となります。Iris Xe Graphicsよりもパフォーマンスは低いです。PCI-ExpressはGen 4.0です。TDPは45Wと共通です。価格は$395でCore i7-12700Hよりも13%程度安いです。
Ryzen 7 6800HってどんなCPUなの?
Ryzen 9 5900HXを超えるマルチコア性能を持つ
Ryzen 7 6800Hは、Ryzen 5000シリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 5900HXを超える高いマルチコア性能を持つCPUです。シングルコア性能は及ばないものの総合性能は引き上げられています。ゲームプレイだけではなく、ゲーム実況・動画編集・画像編集・ゲーム開発などあらゆる用途に対応可能です。ノート向けモデルとしてはトップクラスのモデルだと考えて間違いありません。AMDファンの方は要チェックです。
CPU性能ではIntel第十二世代Core iシリーズには到底及ばないことは理解しておきましょう。AMDが最強の時代は終焉となりました。14コア20スレッドと8コア16スレッドのRyzen 7 6800Hではスペック的にも敵いませんね。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用したCore i7-12700Hは強力です。マルチコア性能ではRyzen 7 6800Hを大きく上回りゲーム適性も高いです。Ryzen 7 6800Hの強みはコストパフォーマンスの高さとなるでしょう。Core i7-12700Hよりも相当価格が抑えられていれば検討する価値があります。
内蔵グラフィックスにRadeon 680Mを搭載している
Ryzen 7 6800Hは内蔵グラフィックスにRadeon 680Mを搭載しています。Ryzen 7 5800HからRyzen 7 6800Hへのリニューアルで大きく変わったのはこの内臓グラフィックスです。Radeon 680Mを搭載したことで最サイズも大きくなりました。それだけパフォーマンスにも期待できます。
Ryzen 7 5800H搭載のRadeon Graphicsよりも処理性能が大きく向上して80%以上も高いパフォーマンスを得られます。ASUSからグラフィックボード非搭載モデルがリリースされているのも興味深いです。これまでのCPU内蔵グラフィックスでは物足りないけど、外付けのグラフィックボードまでは必要ないかなと考えている方に最適です。ライトゲーマーの方やクリエイターの方におすすめしやすいです。
海外メーカーを中心にラインナップが増えている
DellやASUSなどの海外メーカーを中心にRyzen 7 6800H搭載モデルが増えています。すでにRyzen 7 5800Hからの切り替えが完了しているところがほとんどです。Ryzen 7 6800H搭載モデルを探している方はこれらのメーカーから探してみると良いと思います。
一方で、ドスパラやG-Tuneなどの国内BTOメーカーではまだ旧世代のRyzen 7 5800H搭載モデルが中心です。確かにRyzen 7 6800Hは、Ryzen 7 5800Hよりも性能の高いCPUですが性能差を体感することが難しく価格差があるのであればあえてRyzen 7 5800Hを選ぶのも良いでしょう。完全に切り替わるまで比較検討することを推奨します。
Ryzen 7 6800Hのベンチマーク
Cinebench R23
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
Watch Dogs Legion
Ryzen 7 6800H搭載のおすすめBTOノートパソコン
New Dell G15 Ryzen™ Edition プラチナ(RTX3050搭載)(Dell)
価格:179,980円(税込) 145,784円(税込)
CPU:Ryzen 7 6800H
GPU:GeForce RTX 3050
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
TUF Gaming A17 FA707RC(ASUS)
価格:154,800円(税込)
CPU:Ryzen 7 6800H
GPU:GeForce RTX 3050
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
New Dell G15 Ryzen™ Edition 【即納】プラチナ(RTX3060搭載)(Dell)
価格:171,703円(税込)
CPU:Ryzen 7 6800H
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
ROG Flow X13 GV301RA(ASUS)
価格:189,800円(税込)
CPU:Ryzen 7 6800HS
GPU:Radeon 680M
メモリ:LPDDR5-6400 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
ROG Strix G17 G713RW(ASUS)
価格:299,800円(税込)
CPU:Ryzen 7 6800H
GPU:GeForce RTX 3070 Ti
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 7 6800Hの性能スペック&搭載BTOノートパソコンについて紹介しました。Ryzen 7 6800Hは、Ryzen 7 5800Hの後継モデルです。Zen 3からZen 3+アーキテクチャへと進化しました。プロセスも7nmから6nmへとさらに微細化が進みました。クロック周波数の引き上げやDDR5メモリサポートなどによって性能が引き上げられています。最大10%性能が高くなりました。大きく変わったのはCPU内蔵グラフィックスです。従来モデルのRadeon GraphicsからRadeon 680Mに変わり80%以上も性能が引き上げられています。グラフィックボード非搭載モデルも現実味を帯びてきます。
搭載BTOノートパソコンのラインナップは海外メーカーを中心に増えて来ています。Dell・ASUSなどから搭載モデルが販売されています。国内BTOメーカーではまだまだ旧世代のRyzen 7 5800H搭載モデルが中心です。CPU内蔵グラフィックスを除けば大きな性能差があるわけではないので価格が抑えられていることを考えればRyzen 7 5800H搭載モデルも悪くないと思います。CPU内蔵グラフィックスを重視したいならRyzen 7 6800H搭載モデルは魅力的な選択肢となるでしょう。
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