当記事では、Core i9-12900Kの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。Intel第十二世代Alder Lakeのフラグシップモデルが登場しました。16コア24スレッドと従来モデルからスペックが引き上げられています。
8コア16スレッドとスペック的にも性能的にもやや期待外れだったCore i9-11900Kから大幅に飛躍したモデルに仕上がっています。8コア16スレッドでは競合のRyzen 9シリーズと戦うには厳しかったですね。Alder Lake世代になってRyzen 9 5950Xを上回る高いパフォーマンスを発揮します。
(+) 16コア24スレッドと高スペックCPU
(+) 現行最強のマルチ/シングルスレッド性能を誇る
(+) ゲーミングCPUとしての評価が高い
(-) 省電力性はやや見劣りしてしまう
(-) 11%程度値上がりとなっている
Core i9-12900Kの基本スペック
世代 | 第12世代 |
アーキテクチャ | Alder Lake |
コア/スレッド数 | 16(8+8) / 24(16+8) |
定格クロック(P) | 3.20 GHz |
最大クロック(P) | 5.10 GHz |
定格クロック(E) | 2.40 GHz |
最大クロック(E) | 3.90 GHz |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 770 |
L3キャッシュ | 30MB |
PBP | 125W |
MTP | 241W |
価格 | $599 |
目次
Core i9-12900Kのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ |
3Dグラフィックス処理性能が必要になる用途においてはグラフィックボードを搭載する必要があります。例えば、ゲームプレイ・ゲーム実況・3D CADなどが該当します。CPU内蔵グラフィックスだけでは対応できません。もちろん高性能なグラフィックボードさえあればこれらの用途に必要なCPU性能を持っています。
Alder Lake世代CPUの概要
Alder Lake世代ではメインストリームのデスクトップ向けCPUとして初めて10nmプロセス(Intel 7)を採用しています。これでようやくこれまでおよそ6年も使用されていた14nmプロセスから脱却したことになります。プロセスの微細化によってより効率的にCPUダイを活用できることになります。一般的にはクロック周波数の引き上げ・省電力性の向上・機能の追加が容易になるといった恩恵を受けられます。
今世代からハイブリッドコアアーキテクチャを採用しています。パフォーマンスコア(Pコア)とエフィシェンシーコア(Eコア)の2つのコアを搭載しているのが特徴です。用途に合わせて自動的に使い分けてくれるイメージです。これもプロセスの微細化によって実現したアーキテクチャだと言えますね。
Golden Coveという名称が与えられたPコアは、Skylakeコアと比べIPCが28%も改善していて前世代のCypress Coveコアと比べても19%も改善されています。このPコアはゲームプレイなど負荷の掛かる用途で活躍します。一方で、Gracemontと名付けられたEコアは、Atomに起源を持ち省電力性に優れたコアです。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用することでマルチスレッド性能と省電力性のバランスを取った形になっています。
新しいプロセッサーになってCPUソケットが「LGA1700」へと変更になりました。DDR5メモリサポートやPCIe Gen 5対応など次世代のI/Oを採用しています。Core i9-12900Kを購入するにあたってマザーボードを変更する必要がありますので注意してくださいね。旧モデルのDDR4メモリにも対応していますが、その際にはDDR4メモリに対応したマザーボードを選択しなければいけません。
Core i9-12900Kのスペック比較
Intel製CPUと比較
i9-12900K | i9-11900K | |
---|---|---|
コードネーム | Alder Lake | Rocket Lake |
プロセス | 10nm | 14nm |
コア | 8(P)+8(E) | 8 |
スレッド数 | 24 | 16 |
定格クロック(P) | 3.2GHz | 3.5GHz |
最大クロック(P) | 5.2GHz | 5.3Ghz |
定格クロック(E) | 2.4GHz | - |
最大クロック(E) | 3.9GHz | - |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 30MB | 16MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 770 | UHD Graphics 750 |
メモリタイプ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR4-3200 |
PBP | 125W | 125W |
MTP | 241W | 251W |
価格 (実売価格) | $599 (95,900円) | $539 (68,000円) |
発売日 | 2021年11月04日 | 2021年3月30日 |
Core i9-12900KのPコアとCore i9-11900Kのコアが同じ役割を果たしていると考えて良いですね。定格クロックは8%ダウンの3.2Ghzで、最大クロックは1%ダウンの5.2GHzとなっています。IPCが改善していますので、クロック周波数が下がっても実際のパフォーマンスは高いです。Core i9-12900Kを含むAlder Lake世代から新しく採用されたEコアは定格クロック2.4Ghz、最大クロック3.0GHzとなっています。やはりPコアに比べるとクロック周波数は抑えられていますね。
L3キャッシュ容量は90%アップの30MBとなっています。これはPコア及びEコアで共有される形になります。CPU内蔵グラフィックスはUHD Graphics 750からUHD Graphics 770へと格上げされました。少しだけグラフィック周波数が高くなりましたが、性能差を体感することはできないと思います。その他メモリ規格も変更となっています。新しい規格であるDDR5-4800もサポートしています。
PBP(ベース消費電力)は125Wと従来と変わりません。MTP(最大ターボ消費電力)は241WとCore i9-11900Kよりも4%程度抑えられています。消費電力はこれまでのTDPとTDP(PL2)からそれぞれPBP(Processor Base Power)とMTP(Maximum Turbo Power)へと変わりました。価格はCore i9-11900Kよりも11%高く$599となっています。
AMD製CPUと比較
i9-12900K | 9 5950X | |
---|---|---|
コードネーム | Alder Lake | Zen 3 |
プロセス | 10nm | 7nm |
コア | 8(P)+8(E) | 16 |
スレッド数 | 24 | 32 |
定格クロック(P) | 3.2GHz | 3.4GHz |
最大クロック(P) | 5.2GHz | 4.9GHz |
定格クロック(E) | 2.4GHz | - |
最大クロック(E) | 3.9GHz | - |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 30MB | 64MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 770 | 非搭載 |
メモリタイプ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR4-3200 |
PBP | 125W | 105W |
MTP | 241W | 142W |
価格 (実売価格) | $599 (95,900円) | $749 |
発売日 | 2021年11月04日 | 2020年11月06日 |
定格クロックはRyzen 9 5950Xの方が7%高く、最大クロックはCore i9-12900Kの方が7%高いです。いずれのCPUもオーバークロックに対応しています。オーバークロックを考えている方はCPUクーラーなどに気を使う必要があります。L3キャッシュ容量はRyzen 9 5950Xの方が2.1倍多く64MBとなっています。メモリタイプはDDR5-4800に対応しているので、Core i9-12900Kの新しさがわかりますね。
消費電力についてはRyzen 9 5950Xが優秀です。PBPでは16%低く105Wで、MTPは41%低い142Wとなっています。7nmプロセスを採用しているのは伊達ではありません。価格差は$150と大きいです。コストパフォーマンスの観点からはCore i9-12900Kが優れています。
Core i9-12900KってどんなCPUなの?
Ryzen 9 5950Xを超える性能を持つ現役最強CPU
Core i9-12900Kは、16コア24スレッドというスペックを冠して高いパフォーマンスを発揮するCPUです。Rocket Lake世代のCore i9-11900Kでは8コア16スレッドというスペックでしたので、大幅にスペック向上が図られています。ここ最近の王者だったRyzen 9 5950Xよりも高い性能を持っています。
コア/スレッドを大幅に増やしたのはこのRyzen 9 5950Xに対応するためだと言えますね。ゲームプレイだけではなくクリエイター作業でも活躍すること間違いなしです。Rocket Lake世代からだけではなくそれより前のCPUを使用している方も買い替え対象となるでしょう。
消費電力は高いが従来モデルよりは改善されている
Core i9-12900Kは非常に消費電力の高いCPUとなっています。特にマルチスレッドでの作業中では299Wとラインナップの中で最も高い消費電力を記録しました。Ryzen 9 5950Xとの差は66%とかなり大きいです。Zen 3アーキテクチャの省電力性の高さには驚くしかありません。マルチスレッド性能の差が10%未満なので省電力性ではRyzen 9 5950Xの圧勝です。一方で、シングルスレッド性能においては比較的消費電力が抑えられています。Ryzen 9 5950Xとの差は8%です。
また、マルチスレッドではCore i9-11900Kよりも14%も消費電力高いです。ただし、性能が70%以上も高いので省電力性という点ではCore i9-12900Kの方が優れています。シングルスレッド性能での消費電力の差は6%です。シングルスレッド性能はCore i9-11900Kよりも22%高く十分進化していると言えますね。これなら電源ユニットに神経質になる必要はありません。
搭載BTOパソコンのラインナップは豊富
Core i9-12900Kのメリットは搭載BTOパソコンのラインナップが豊富なことでしょう。同じ倍率ロックフリーモデルであるCore i7-12700KやCore i5-12600Kと比べても圧倒的にラインアップが多いです。フラグシップモデルということもあって扱いやすさがあるのではないかと思います。基本的にグラフィックボード搭載モデルのみでRTX 3070やRTX 3080を搭載していることが多いです。
ハイエンドクラスのゲーミングPCやクリエイターPCを探している方におすすめです。ドスパラ・TSUKUMO・パソコン工房など大手BTOメーカーですでにラインアップが用意されています。今後G-Tuneでも取り扱いが始まるでしょう。好きなメーカーや構成からぜひ選択してくださいね。
Core i9-12900Kのベンチマーク
Cinebench R23
Adobe Photoshop
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Core i9-11900Kのゲーミング性能
Borderlands 3
Far Cry 5
Metro Exodus
Core i9-12900K搭載のおすすめBTOパソコン
G-GEAR neo GX9J-E213/ZB2(TSUKUMO)
価格:359,800円(税込)
CPU:Core i9-12900KF
GPU:GeForce RTX 3070 Ti
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA ZA9C-R38 RTX3080 12G搭載(ドスパラ)
価格:359,980円(税込)
CPU:Core i9-12900K
GPU:GeForce RTX 3080 12GB
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R969-LC129K-DZX(パソコン工房)
価格:374,980円(税込)
CPU:Core i9-12900K
GPU:Radeon RX 6900 XT
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA UA9C-R38(ドスパラ)
価格:409,979円(税込)
CPU:Core i9-12900K
GPU:GeForce RTX 3080
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:2TB
当記事のまとめ
当記事では、Intel第十二世代のフラグシップモデルであるCore i9-12900Kの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しました。Alder Lake世代になって2つのコアを搭載するハイブリッドコアアーキテクチャを採用しています。Pコア8+Eコア8で物理コアは16に到達します。Pコアのみハイパースレッディングに対応していてスレッド数は24となります。これで競合であるRyzen 9 5950Xと対等に戦える土台ができあがりました。実際には10%近く性能が高いです。シングルスレッド性能では大幅に上回ります。
2022年05月時点で多くの搭載BTOパソコンが販売されています。基本的にはハイクラス以上のグラフィックボードが搭載されていてゲーマーやクリエイターの方向けのCPUだと言えますね。価格はやや高めで30万円以上の予算が必要になります。予算が合う方であればその高い性能に満足できるでしょう。場合によっては下位モデルのCore i7-12700Kを検討してみても良いかもしれません。
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CPU | グラフィックボード |
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