当記事では、Ryzen 9 7900X3Dの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。Ryzen 7000X3Dのラインナップにおいて真ん中に位置するCPUです。Ryzen 9 7950X3Dに次いで高いゲーミング性能を発揮します。12コア24スレッドのメニーコアモデルとなっています。旧世代のRyzen 5000X3Dでは8コア16スレッドのモデルしかなかったため、この12コア24スレッドというスペックは魅力的です。
オリジナルのRyzen 9 7900Xよりもマルチコア性能は劣ります。3D V-Cache搭載でクロック周波数が引き下げられていることがネックとなっています。Ryzen 9 7900X3Dは、Ryzen 9 7950X3DとRyzen 7 7800X3D(2023年4月発売予定)に挟まれていてやや中途半端な存在だと言えます。搭載BTOパソコンが増えないのはそういった要因があるのかもしれません。
(+) 12コア24スレッドの3D V-Cache搭載モデル
(+) トップクラスのゲーミング性能を誇る
(+) 省電力性の高い高パフォーマンスモデル
(-) Ryzen 9 7900Xよりも性能が劣る
(-) Ryzen 7000X3Dのラインナップで中途半端さが目立つ
(-) 搭載モデルのラインナップが少ない
Ryzen 9 7900X3Dの基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 12 / 24 |
定格クロック | 4.40 GHz |
最大クロック | 5.60 GHz |
L2キャッシュ | 12MB |
L3キャッシュ | 128MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 120W |
PPT | 162W |
価格 | $599 |
国内価格 | 95,553円~ |
発売日 | 2023/03/03 |
目次
Ryzen 9 7900X3Dのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | ゲーム開発 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ☆ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ☆ | ☆ | ◎ | ☆ | ◎ | ☆ |
Ryzen 9 7900X3Dのスペック比較
AMD製CPUと比較
9 7900X3D | 9 7900X | 7 5800X3D | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | 131.4億 | 41.5億 |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 2x 70 mm² | 74 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | 124.7 mm² | 125 mm² |
コア | 12 | 12 | 8 |
スレッド数 | 24 | 24 | 16 |
定格クロック | 4.4GHz | 4.7GHz | 3.4 GHz |
最大クロック | 5.6GHz | 5.6GHz | 4.5GHz |
オーバークロック | × | ◯ | × |
PBO2 | ◯ | ◯ | × |
L2キャッシュ | 12MB | 12MB | 4MB |
L3キャッシュ | 128MB | 64MB | 96MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | - |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 120W | 170W | 105W |
PPT | 162W | 230W | - |
価格 (実売価格) | $599 (95,553円) | $549 (59,798円) | $449 (48,980) |
発売日 | 2023年03月03日 | 2022年09月27日 | 2022年04月20日 |
コア・スレッドは8コア16スレッドから12コア24スレッドとスペックが引き上げられています。これによってシングルCCDからデュアルCCDとなりました。定格クロックは30%高く、最大クロックも25%高いです。Ryzen 7 5800X3Dの弱点だったクロック周波数を高くできたのは大きなメリットです。直接コアクロックを変更してのオーバークロックには対応していません。
しかしながらRyzen 9 7900X3Dでは新たにPrecision Boost Overdrive 2(PBO2)に対応しています。温度が適正であるなど条件を満たせば、消費電力(PPT)をマザーボードが指定するVRMまで引き上げることが可能になりより高いクロック周波数を実現できます。PBO2には、Curve Optimizerという機能が搭載されていて、コアごとの電圧を制御することで効率的に稼働できる仕組みとなっています。
L2キャッシュ容量は3倍の12MB、L3キャッシュ容量も33%増えて128MBとなります。メモリ規格もDDR4-3200からDDR5-4800へとアップグレードされました。Ryzen 9 7900X3DではCPU内蔵グラフィックスが搭載されています。PCI-ExprssはGen 4からGen 5に変わっています。TDPは15%高く120Wです。Ryzen 9 7900X3DのPPTは162Wです。Ryzen 7 5800X3Dよりも$150高いです。国内価格では2倍程度の差がありますね。
オリジナルのRyzen 9 7900Xのスペックを見ていきましょう。当然アーキテクチャは共通です。Ryzen 9 7900Xの方がクロック周波数が高く、定格が4.7GHzと7%程度高いです。最大クロックは共通です。Ryzen 9 7900XはSRAM搭載の熱の問題はなくオーバークロックに対応しています。もちろんPBO2にも対応しています。L2キャッシュはどちらも12MBですが、L3キャッシュはRyzen 9 7900Xは半分の64MBに留まります。
TDPはRyzen 9 7900Xの方が42%高く170Wです。PPTも42%高く230Wとなります。クロック周波数が高い分消費電力も高いです。価格は$50高くなっています。国内の販売価格では36,000円程度の差があります。Ryzen 9 7900Xはコストパフォーマンスの高さが光ります。
Intel製CPUと比較
Ryzen 9 7900X3D | Core i9-13900K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Raptor Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | - |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 257 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | - |
トータルコア数 | 12 | 24 |
トータルスレッド数 | 24 | 32 |
Pコア(スレッド) | - | 8(16) |
Eコア(スレッド) | - | 16(16) |
定格クロック(P) | 4.4GHz | 3.0GHz |
最大クロック(P) | 5.6GHz | 5.8GHz |
定格クロック(E) | - | 2.2GHz |
最大クロック(E) | - | 4.3GHz |
オーバークロック | × | ◯ |
L2キャッシュ | 12MB | 32MB |
L3キャッシュ | 128MB | 36MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 |
TDP | 120W | 125W |
PPT | 162W | 253W |
価格 (実売価格) | $599 (95,553円) | $599 (81,576円) |
発売日 | 2023年03月03日 | 2022年09月27日 |
Core i9-13900KのPコアは定格クロックが3.0GHz、最大クロックが5.8GHzと高いクロック周波数を実現します。PコアはRyzen 9 7900X3Dのコアと同等です。一方で、Eコアは高効率コアと呼ばれバックグラウンドなど負荷の低い作業用です。定格クロック2.2GHz、最大クロック4.3GHzとクロック周波数は抑えられています。Core i9-13900Kは倍率ロックフリーモデルでオーバークロックに対応しています。
L2キャッシュはCore i9-13900Kの方が2.6倍で32MBとなります。L3キャッシュ容量はRyzen 9 7900X3Dの方が36%多く128MBです。Core i9-13900KはDDR5メモリだけではなくDDR4メモリもサポートしています。どちらのモデルもCPU内蔵グラフィックス搭載です。PCI-ExpressもGen 5と共通です。TDPはCore i9-13900Kの方が4%高く、PPT(PL2)もCore i9-13900Kの方が56%高いです。MSRPは$599と同じですが、実売価格はRyzen 9 7900X3Dの方が14,000円程度高いです。
Ryzen 9 7900X3DってどんなCPUなの?
Ryzen 7000X3Dのラインナップで中途半端な存在
Ryzen 9 7900X3Dは、Ryzen 7000X3Dの中でもやや中途半端な存在でそれほど人気が出ない可能性が高いです。価格帯で言えばRyzen 9 7950X3Dが$699でこのRyzen 9 7900X3Dが$599、4月に発売される予定のRyzen 7 7800X3Dが$449です。Ryzen 9 7900X3Dから見ると上位モデルは+$100で、下位モデルは-$150となります。Ryzen 9 7900X3Dは性能を考えるとやや強気な価格設定です。
マルチコア性能を重視するなら+$100でRyzen 9 7950X3Dを選択するべきですし、ゲーム性能を重視するなら$150も価格が安くRyzen 9 7900X3Dと同等のパフォーマンスを期待できるRyzen 7 7800X3Dが魅力的な候補となります。Ryzen 9 7900X3Dの直接の競合はIntel第十三世代CPUではなく、同じAMDのRyzen 7000X3Dシリーズの中にいると言えます。ラインナップ上仕方なくリリースしたようにも思えます。
Intel製CPUでもゲーミング性能とマルチコア性能のバランスが良いCore i9-13900Kが同じ$599で販売されています。Ryzen 9 7900X3Dにとっては非常に厳しい状況となります。おそらくMSRPも引き下げられるのではないかと思います。$50程度安くなって欲しいところですね。現在の価格だと選ぶ理由が見つかりません。
Zen 4の恩恵で消費電力が抑えられている
Ryzen 9 7900X3Dの魅力は高い省電力性にあります。競合モデルであるCore i9-13900Kよりも消費電力が低く扱いやすいCPUだと言えます。特にゲームプレイ時のワットパフォーマンスは優秀です。Intel第十三世代CPUはゲーミング性能の高さと引き換えに省電力性を諦めている側面があります。
Ryzen 9 7900X3Dは、クロック周波数が低くても大容量L3キャッシュのおかげで高いゲーミング性能を発揮します。ハイエンドクラスのモデルながらサイドフロー型の空冷クーラーでもカバーできます。同じAMDのRyzen 9 7900Xと比べてもかなり消費電力が抑えられています。当然性能は劣りますが、それ以上に消費電力が低くワットパフォーマンスで言えば現行でもトップクラスです。
搭載モデルのラインナップが少ない
Ryzen 9 7900X3Dを搭載したゲーミングPCのラインナップはそれほど多くありません。2023年3月時点で取り扱いがあるのはフロンティア・パソコン工房・ドスパラ・サイコムとなります。Ryzen 9 7900X3Dがゲームプレイをメインにしたモデルであることからある程度ラインナップが限定されるのは仕方ないですね。ビジネスPCあるいはクリエイターPCのラインナップは存在しません。すでにRyzen 9 7950X3D搭載モデルも減少傾向にあり、入手が困難になりそうです。
また、CPU性能の高さから組み合わせられるグラフィックボードは必然的に高性能なモデルになります。RTX 4070 Ti・RTX 4080・RX 7900 XTXなど現行のハイエンドクラスのモデルが選択されています。ハイクラス以下のモデルならRyzen 9 7900X3Dを選ぶ理由が見当たりません。ハイエンドのグラフィックボードと組み合わせるからこそRyzen 9 7900X3Dの強みが活かされます。
Ryzen 9 7900X3Dのベンチマーク
現在収集中です。
Ryzen 9 7900X3D搭載のおすすめBTOパソコン
FRGHB650/R790D(フロンティア)
価格:359,800円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X3D
GPU:GeForce RTX 4070 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R7X7-LCR79D-UL1X(パソコン工房)
価格:434,800円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X3D
GPU:GeForce RTX 4070 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
G-GEAR neo GX9A-T231/XB(TSUKUMO)
価格:554,650円(税込)
CPU:Ryzen 9 7900X3D
GPU:Radeon RX 7900 XTX
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 9 7900X3Dの性能スペック&搭載BTOパソコンについて紹介しました。Ryzen 9 7900X3Dは、Ryzen 9 7950X3Dと同時に発売されたCPUです。AMD 3D V-Cache テクノロジーが採用されRyzen 7 5800X3Dの後継モデルに位置づけられます。Ryzen 7 5800Xとは違ってデュアルCCDを採用していてマルチコア性能にも妥協はありません。12コア24スレッドと高いスペックを実現しています。8コア16スレッドから大きく進化しました。
フロンティア・パソコン工房・TSUKUMO・サイコムなどで搭載モデルが販売されています。Ryzen 9 7900X3Dの特徴故にゲーミングPCがメインでビジネスモデルやクリエイターモデルは存在しません。ラインナップが少なくなってしまうのは仕方がないですね。Ryzen 9 7900X3Dはゲームプレイをメインに考えている方向けです。ただし、Ryzen 9 7900X3DとRyzen 7 7800X3Dに挟まれて中途半端だと言えるかもしれません。どちらかに振り切る方が結果的に満足度が上がりそうです。
売れ筋BTOパソコンをチェック
当サイトの人気記事一覧
- クリエイターPCおすすめランキング
- おすすめゲーミングPCランキング-ゲーミングPCマガジン
- BTOパソコンのレビュー・評判 | 当サイト紹介PC一覧表
各BTOメーカーのクリエイターブランドの中からおすすめのモデルをピックアップしています。デスクトップとノートパソコンをそれぞれランキング形式で紹介しています。高性能なモデルが揃っているのでプロフェッショナルの方にもおすすめです。
おすすめのゲーミングPC及びゲーミングノートPCを紹介しています。ゲーミングPCマガジンはゲーミングPCに特化したカテゴリーです。
当サイトでレビューをしているモデルを一覧表でまとめています。モデルごとの評価でソートできるのでどのモデルが良いのか判断しやすいと思います。
あなたに合うBTOパソコンを探す
用途などでBTOパソコンを選ぶ
セール | 使用用途 |
GWセール、年末セール等 | ビジネス、動画編集等 |
即納 | サイズ・形状 |
ドスパラの即納モデル等 | 15.6インチノート、スリムタワー等 |
BTOパソコン特徴やショップを比較
価格 | ショップ |
5万円以下、5万円-10万円等 | ドスパラ、パソコン工房等 |
CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |
当ページベンチマークテスト環境
- ソフトウェア:Windows 11 Professional 64-bit 22H2
- グラフィックス:GeForce RTX 4090
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Noctua NH-U14S
- 水冷クーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF3 1200 W ATX 3.0
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero