当記事では、Ryzen 7 7800X3Dの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。Ryzen 7000X3Dシリーズのラインナップの中でもっとも安価なCPUです。8コア16スレッドというスペックで実質このRyzen 7 7800X3Dが、前世代のRyzen 7 5800X3Dの後継モデルとなります。
上位モデルとは異なりCCDが1基のみで高いゲーミング性能が期待できる一方で、マルチコア性能はそれほど高くなく性能差がはっきりとしています。Ryzen 7 5800X3Dと比べてどこまでパフォーマンスが伸びるのかは注目です。価格はRyzen 7 5800X3Dと同じ$449なのは評価できます。搭載BTOパソコンのラインナップはRyzen 7 5800X3Dと同様にそれほど増えないのではないかと思います。
(+) 9 7950X3Dを上回るゲーミング性能を誇る
(+) ワットパフォーマンスもトップクラス
(+) 7 5800X3Dよりもマルチコア性能が20%アップ
(-) ゲーム性能とマルチコア性能のバランスが悪い
(-) 搭載モデルのラインナップはそれほど増えなさそう
Ryzen 7 7800X3Dの基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
定格クロック | 4.20 GHz |
最大クロック | 5.00 GHz |
L2キャッシュ | 8MB |
L3キャッシュ | 96MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 120W |
PPT | 162W |
価格 | $449 |
国内価格 | 71,800円~ |
発売日 | 2023/04/14 |
目次
Ryzen 7 7800X3Dのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | ビジネス | Skype | 動画編集 | RAW現像 | デイトレ |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
ゲーム | ゲーム実況 | マンガ | デザイン | DTM | CAD | ゲーム開発 |
☆ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | ○ |
Ryzen 7 7800X3Dのスペック比較
AMD製CPUと比較
7 7800X3D | 7 7700X | 7 5800X3D | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | 65.7億 | 41.5億 |
ダイサイズ | 70 mm² | 70 mm² | 74 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | 124.7 mm² | 125 mm² |
コア | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
定格クロック | 4.2GHz | 4.5GHz | 3.4 GHz |
最大クロック | 5.0GHz | 5.4GHz | 4.5GHz |
オーバークロック | × | ◯ | × |
PBO2 | ◯ | ◯ | × |
L2キャッシュ | 8MB | 8MB | 4MB |
L3キャッシュ | 96MB | 32MB | 96MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | - |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 120W | 105W | 105W |
PPT | 162W | 142W | - |
価格 (実売価格) | $449 (71,800円) | $399 (43,480円) | $449 (48,980円) |
発売日 | 2023年04月14日 | 2022年09月27日 | 2022年04月20日 |
メインプロセスほど小さくしていないのは重要度が異なるからです。I/Oプロセスの微細化のメリットはCPUコアダイに比べて小さいです。コスト面でも有利です。8コア16スレッドと基本的なスペックは変わりなしです。定格クロックは24%高く、最大クロックも11%高くなりました。同じ8コアでもこれだけクロック周波数が高くなればパフォーマンスにも期待できます。
手動でCPU内部クロック倍率を上げてのオーバークロックには対応していませんが、保証内の自動オーバークロック機能のPrecision Boost Overdriveには対応しています。CPUの発熱や消費電力など状況に応じてより高いクロック周波数を実現できる機能です。負荷に応じて電圧を調整するCurve Optimizerも対応しています。これはRyzen 7 5800X3Dとの大きな違いとなります。
L2キャッシュは倍増で8MBとなりました。L3キャッシュ容量は96MBと同じです。対応メモリがDDR4-3200からDDR5-4800へと変更されています。CPU内蔵グラフィックスが搭載されているのも注目ポイントです。もっともRyzen 7 7800X3Dの用途を考えるとなくても問題はないでしょう。PCI-ExpressはGen 5をサポートしています。TDPは15%高く125Wです。MSRPは$449と同じですが、実売価格では22,820円の差があります。発売時期の差もあるので当然でしょう。
Ryzen 7 7700Xは3D V-Cacheテクノロジーを搭載していないCPUです。Ryzen 7 7800X3Dと同じ8コア16スレッドとなっています。型番的にはRyzen 7 7700Xの方が下ですが、ゲーム以外の用途ではRyzen 7 7700Xの方が性能が高いです。その要因はクロック周波数の高さにあります。定格クロックはRyzen 7 7800X3Dよりも7%高く、最大クロックも8%高いです。
SRAM(L3キャッシュ)を搭載していないため、発熱量をそこまで気にせずクロック周波数を引き上げられるのです。TjMax(最大ジャンクション温度)もRyzen 7 7800X3Dの89℃に対して95℃と高めです。高いクロック周波数を実現しやすいモデルとなっています。TDPはRyzen 7 7800X3Dの方が15%高く、PPTも14%高いです。もっとも実行温度ではRyzen 7 7800X3Dの方が低くなる傾向にあります。MSRPはRyzen 7 7800X3Dの方が$50高いです。実売価格の差は28,320円となります。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 7800X3D | Core i7-13700K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Raptor Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | - |
ダイサイズ | 70 mm² | 257 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | - |
トータルコア数 | 8 | 16 |
トータルスレッド数 | 16 | 24 |
Pコア(スレッド) | 8(16) | 8(16) |
Eコア(スレッド) | - | 8(8) |
定格クロック(P) | 4.2GHz | 3.4GHz |
最大クロック(P) | 5.0GHz | 5.4GHz |
定格クロック(E) | - | 2.5GHz |
最大クロック(E) | - | 4.2GHz |
オーバークロック | × | ◯ |
L2キャッシュ | 8MB | 24MB |
L3キャッシュ | 96MB | 30MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 |
TDP | 120W | 125W |
PPT | 162W | 253W |
価格 (実売価格) | $449 (71,800円) | $409 (56,980円) |
発売日 | 2023年03月03日 | 2022年09月27日 |
Core i7-13700Kは16コア24スレッドとスペックが高いです。これはハイブリッドアーキテクチャを採用しているからで従来のコア相当のPコア8つと効率重視のEコア8つを組み合わせています。Pコアのみハイパースレッディングに対応しています。ゲームプレイなどクロック周波数が重要な用途ではPコアが活躍します。Eコアはバックグラウンドでの作業などに活用されます。Intel第十二世代CPUから採用されていて大成功を収めていると言えるでしょう。
Ryzen 7 7800X3Dの方が定格クロックが24%高いですが、最大クロックはCore i7-13700Kの方が8%高いです。Core i7-13700KのEコアの定格クロックは2.5GHzで最大クロックは4.2GHzです。Pコアと比べるとクロック周波数は抑えられています。Core i7-13700Kもオーバークロックに対応しています。L2キャッシュハCore i7-13700Kの方が多く、L3キャッシュはRyzen 7 7800X3D方が多いです。IntelとAMDで戦略が異なるところです。
Core i7-13700Kではメモリサポートの幅が広くDDR5-4800・DDR4-3200に対応しています。Core i7-13700KもCPU内蔵グラフィックスを搭載しています。PCI-ExpressはGen 5.0をサポートしています。TDPはCore i7-13700Kの方が2%高く、PPTもCore i7-13700Kの方が57%も高いです。MSRPはCore i7-13700Kの方が$40安いです。国内の実売価格もCore i7-13700Kの方が11,820円安価です。Ryzen 7 7800X3Dも時間が経過すれば価格が下がっていくはずです。
Ryzen 7 7800X3DってどんなCPUなの?
2023年時点でゲーム向けCPUのトップに躍り出た
Ryzen 7 7800X3Dは登場してすぐにゲーム向け最強のCPUであることが証明されました。いち早く登場していたRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dよりもゲーミング性能が高いです。RTX 4070 Ti以上のグラフィックボードとの組み合わせで本領発揮となります。CPUのボトルネック解消に繋がります。60番台のグラフィックボードだとオーバースペックでRyzen 7 7800X3Dにお金を出すよりもグラフィックボードの性能を上げる方が高いフレームレートを実現できます。
一方で、マルチコア性能は今一つでRyzen 7 7700XやCore i7-13700Kと比べて見劣りしてしまいます。同じ価格帯のRyzen 9 7900Xとの差は大きいです。従来モデルのRyzen 7 5800X3Dよりも25%以上処理性能が向上しているのはさすがZen 4といったところです。ゲーム実況や動画編集などのクリエイター作業を行いたいと考えているなら素直にRyzen 7 7700XやCore i7-13700Kを選択すると良いでしょう。予算に余裕があればRyzen 9 7950X3Dも候補に入ります。
1W当たりのフレームレートもトップ
Ryzen 7 7800X3Dは、現行モデルの中でも省電力性の長けたCPUとなっています。ゲームプレイ時の1W当たりのフレームレートは5.16と二位以下を突き放しています。Ryzen 9 7950X3Dよりも20%近くも優れていることがわかります。Intel第十三世代のフラグシップモデルであるCore i9-13900Kよりも3倍近い数値です。
3D V-Cache搭載モデルが圧倒しています。消費電力を抑えつつパフォーマンスが出るのであれば発熱量を抑えることができます。ミニタワーケースでも十分カバーできそうです。CPUクーラーに関しても空冷タイプでも問題ありません。PBOの実行を考えている場合は水冷CPUクーラーあるいは高性能な空冷クーラーを選択しましょう。
搭載BTOパソコンのラインナップは増えない!?
Ryzen 7 7800X3Dを搭載したBTOパソコンはそれほど増えない可能性が高いです。ゲーム特化型CPUということもあって用途が限定されているためです。ビジネスモデルやクリエイターモデルのラインナップはありません。また、ゲーミングPCでもそのCPU性能の高さからRTX 4080やRTX 4070 Tiなどのハイエンドクラスのグラフィックボードと組み合わせが多いでしょう。60番台や50番台のグラフィックボードとの組み合わせだとアンバランスでRyzen 7 7800X3Dを選ぶ理由がありません。
2023年4月時点でドスパラ・G-Tuneなどでは取り扱いが始まっていません。取り扱いのあるショップでも数はそれほど多くなくユーザーの選択肢は限定的になっています。フロンティアの場合セール対象モデルとして追加されるはずですが、一時的なものですぐに消滅してしまうでしょう。Ryzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dを搭載したモデルのラインナップは減少傾向にあります。やや癖のあるモデルということもあって扱いづらさがあるのだと思います。
Core i7-13700K搭載モデルは強力なライバルとなります。価格が安く高いゲーミング性能を持っているだけではなくマルチコア性能も平均以上だからです。ゲーム以外の用途でのPC使用を考えているなら他のモデルもチェックしておきましょう。Ryzen 7 7800X3Dはゲームでしかパソコンを使わないよ!という方向けです。
Ryzen 7 7800X3Dのベンチマーク
Cinebench R23
Ryzen 7 7700Xよりもマルチコア性能が6%低く、シングルコア性能も15%低いです。クロック周波数の差がそのまま現れています。マルチコア性能では下位モデルのRyzen 7 7700に近いです。16コア32スレッドのRyzen 9 7950X3Dになるとマルチコア性能が90%以上も高くなります。デュアルCCDを搭載することによってしっかりとパフォーマンスが高くなっています。
Adobe Photoshop
それでもRyzen 7 5800X3Dよりも14%も高くなっています。上位モデルのRyzen 9 7950X3Dでさえも上回っています。Core i7-13700Kと同等なのは素晴らしいですね。Adobe PhotoshopはAMD製CPUとの相性が良く、スペック的にやや不利なRyzen 7 7800X3Dでもまずまずの結果となりました。
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Ryzen 7 7800X3Dのゲーミング性能
Borderlands 3
Ryzen 7 7700Xよりも50%程度フレームレートが高く圧倒しています。競合モデルのCore i7-13700KよりもHD環境でフレームレートが22%高く、FULL HD環境でも21%高いです。Intel第十三世代のフラグシップモデルのCore i9-13900Kよりもパフォーマンスが高いです。
Far Cry 6
Elden Ring
Cyberpunk 2077
Ryzen 7 7800X3Dのその他ベンチマーク
温度
消費電力
Ryzen 7 7800X3D搭載のおすすめBTOパソコン
FRGHB650/D(フロンティア)
価格:339,800円(税込)
CPU:Ryzen 7 7800X3D
GPU:GeForce RTX 4070 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
G-GEAR GA7A-F231/XB(TSUKUMO)
価格:349,800円(税込)
CPU:Ryzen 7 7800X3D
GPU:GeForce RTX 4070
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R7X7-LCR78D-ZEX(パソコン工房)
価格:399,800円(税込)
CPU:Ryzen 7 7800X3D
GPU:GeForce RTX 4080
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 7 7800X3Dの性能スペック&搭載BTOパソコンについて紹介しました。Ryzen 7 7800X3Dは、3D V-Cache搭載モデルの中で最も安価なCPUとなっています。上位モデルとは異なりCCDが1基ということもあってゲームとの相性が抜群です。Ryzen 9 7950X3Dよりも高いゲーミング性能を発揮します。つまり、現行最強のゲーム向けCPUということです。Ada Lovelace世代のハイエンドクラスとの組み合わせで本領発揮となります。
すでに搭載BTOパソコンも販売されています。最低でもRTX 4070との組み合わせを選びたいところです。まだまだ価格は高めで割高感があります。現状だとCore i7-13700K搭載モデルが有力な候補になるでしょう。ゲーム性能だけではなくマルチコア性能も高くバランスに優れています。AMDブランドにこだわりたいならRyzen 9 7900Xも選択肢に入ります。12コア24スレッドとスペックが高くバランスが良いです。
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価格 | ショップ |
5万円以下、5万円-10万円等 | ドスパラ、パソコン工房等 |
CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |
当ページベンチマークテスト環境
- ソフトウェア:Windows 11 Professional 64-bit 22H2
- グラフィックス:GeForce RTX 4090
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Noctua NH-U14S
- 水冷クーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF3 1200 W ATX 3.0
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero