当記事では、「Core i7-10700の性能スペックとベンチマーク」を紹介しています。前世代のCore i7-9700とは異なりハイパースレッディングに対応しているのがポイントです。8コア16スレッドCPUでCore i9-9900に匹敵するスペックとなっています。また、Core i7-10700Kとは異なり65Wの範囲に消費電力が抑えられているのも強みとなりそうです。
価格帯的にはRyzen 7 3700XやRyzen 7 3800Xと競合することになります。そのためにハイパースレッディングに対応したと言っても過言ではありませんね。マルチコア性能では遅れを取っていたIntel製CPUがスペック的に追いついた形になります。オーバークロックの必要性を感じない方には魅力的なモデルだと思います。後継モデルは、「Core i7-11700」です。Rocket Lake世代になってさらにワンランク性能が引き上げられています。
Core i7-10700の基本スペック
世代 | 第10世代 |
開発コード | Comet Lake |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
クロック周波数 | 2.90 GHz |
ブーストクロック | 4.80 GHz |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 |
TDP | 65W |
発売日 | 2020年5月20日 |
価格 | $323 |
目次
Core i7-10700のおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ☆ | ☆ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ◎ | ☆ | ☆ | ☆ | ◎ | ☆ |
大規模な3D CADソフトの使用などよほど特殊な環境でない限り性能不足になることはないでしょう。Coffee Lake世代のCore i5シリーズやCore i7シリーズからでも性能差を体感しやすいと思います。ゲーム適正についてはCore i9シリーズを超えることもあるぐらいです。
Core i7-10700のスペック比較
Intel製CPUと比較
i7-10700 | i9-9900 | i7-9700 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Comet Lake | Coffee Lake-R | Coffee Lake-R |
プロセス | 14nm | 14nm | 14nm |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/8 |
ベースクロック | 2.9Ghz | 3.1Ghz | 3.0Ghz |
最大ブーストクロック | 4.8Ghz | 5.0Ghz | 4.7GHz |
Turbo Boost 2.0 *1 | 4.7Ghz | 5.0Ghz | 4.7GHz |
Turbo Boost Max 3.0 *2 | 4.8Ghz | 非対応 | 非対応 |
Thermal Velocity Boost *3 | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 12MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 | UHD Graphics 630 | UHD Graphics 630 |
メモリタイプ | DDR4-2933 | DDR4-2666 | DDR4-2666 |
最大メモリ幅 | 45.8 GB/s | 41.6 GB/s | 41.6 GB/s |
TDP | 65W | 65W | 65W |
価格 | $323 (38,000円) | $439 (46,000円) | $323 (35,000円) |
発売日 | 2020年5月20日 | 2019年08月09日 | 2019年06月13日 |
*2 2つのコアについてクロック周波数をさらに引き上げられる機能です。Turbo Boost 2.0よりもさらに一段階クロック周波数が高くなります。
*3 1つのコアについてクロック周波数を最大限まで引き上げられる機能です。温度が70℃以下でかつTurbo Boost Max 3.0の条件を満たす必要があります。
8コア8スレッドから8コア16スレッドへの進化はパフォーマンスに与える影響が大きいです。スペック的には前世代の最上位モデルであるCore i9-9900に近いことがわかります。クロック周波数が抑えられたCore i9-9900だと言えます。メモリ規格が変わっているなど優れている部分もあります。
Core i7-9700と比べるとベースクロックが3.0GHz→2.9GHzへと僅かに下げられています。一方で最大ブーストクロックは4.7GHz→4.8GHzへと引き上げられています。熱や消費電力がうまくコントロールされていると2つのコアが選択されて最大ブーストクロックまで引き上げることができます。
その他L3キャッシュも12MB→16MBへと33%高くなっていたり、メモリ規格もDDR4-2933へとアップグレードされていたりします。ポテンシャルの高さはやはりCore i7-10700が優勢です。定価は同じ$323ですが、販売価格には3,000円ほどの差があります。それでもCore i9-9900(46,000円前後)に近い性能を持つCPUを38,000円で購入できると考えるとお得ですね。現時点では大幅に価格が引き下げられていない限り第九世代のCPUを選ぶメリットはありません。
AMD製CPUと比較
Core i7-10700 | Ryzen 7 3700X | Ryzen 7 3800X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Comet Lake | Zen 2 | Zen 2 |
プロセス | 14nm | 7nm | 7nm |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 |
ベースクロック | 2.9Ghz | 3.6Ghz | 3.9Ghz |
ターボクロック | 4.8Ghz | 4.4Ghz | 4.5Ghz |
L3キャッシュ | 16MB | 32MB | 32MB |
CPU内蔵グラフィックス | UHD Graphics 630 | 非搭載 | 非搭載 |
メモリ | DDR4-2933 | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
CPUクーラー | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
TDP | 65W | 65W | 105W |
価格 | $323 (38,000円) | $329 (44,000円) | $399 (45,000円) |
発売日 | 2020年5月20日 | 2019年07月07日 | 2019年07月07日 |
ベースクロックは3.6GHzに対して2.9GHzと20%程度低く、ターボクロックは10%程度高いです。Ryzen 7 3800Xになるとさらにクロック周波数が高くなります。L3キャッシュについてはRyzen 7 3700Xの方が倍増の32MBと余裕があります。Core i7-10700が前世代の12MBから16MBに引き上げたのはAMDの存在も大きいと言えます。
Ryzen 7 3700X及びRyzen 7 3800XにはCPU内蔵グラフィックスが非搭載となっています。別途グラフィックボードを購入しなければならずコストが掛かります。消費電力は同じ65Wに留められています。定価はほぼ同じです。
ただし、Ryzen 7 3700Xは発売されて時間が経ったこととIntel第10世代CPUが登場したことでかなり安く購入することができます。 その後再度価格が上昇していてRyzen 7 3700Xの方が高くなっています。第4世代Ryzenシリーズの登場も遅れていてその影響があるのかもしれません。
Core i7-10700ってどんなCPUなの?
8コア16スレッドでマルチコア性能が大幅アップ
Core i7-10700(Comet Lake世代)は、マルチコア性能の高いCPUです。前世代のCore i7-9700の8コア8スレッドから8コア16スレッドへとスレッドが倍増となっています。ここに来てハイパースレッディング対応は魅力的です。いち早くハイパースレッディング対応CPUをリリースしていたRyzenという競合がいたからこその試みだと言えます。
また、クロック周波数も高めに設定されていてシングルコア性能も高くなっています。Intel製CPUらしくゲーム適正も高くゲーマーの方にも人気があります。ハイパースレッディング対応によって対応力が大きく向上しています。前世代のCore i9シリーズはもちろん現行のCore i9-10900やCore i9-10900Kを超えるフレームレートを出すこともあります。
Ryzen 7 3700Xに比べると立ち位置がやや厳しい
Core i7-10700の競合は、AMDのRyzen 7 3700Xです。およそ1年前に登場したCPUですが、Core i7-10700と同じ8コア16スレッドとマルチスレッド性能の高さが魅力です。クリエイター作業からゲーム用途まで人気があります。第十世代のCPUでやっとIntelがAMDに追いついたというのが正しいかもしれません。ゲームプレイなどでは優位性があるものの総合性能で見ると劣ります。
Intelは今でも数世代前と同じ14nmプロセスを採用しています。これは三世代も続く長いアーキテクチャーです。一方で、AMDが7nmプロセスを採用していて一歩先をいっていると言えますね。省電力性や革新性という面ではRyzen 7 3700Xには劣ります。また、発売から時間が経ち価格が落ち着いていることもCore i7-10700にとっては不利です。
ただし、必ずしも悪いことばかりではありません。14nmプロセスでも7nmプロセスのRyzen 7 3700Xと同等のパフォーマンスを持っていると考えるとプラスです。もし、Intelが7nmプロセスを採用すればどうなるのかは期待が持てます。第11世代CPUで採用される予定で待ち遠しいですね。
搭載BTOパソコンのラインナップ数は多くなる
各BTOメーカーから多くのCore i7-10700搭載モデルが販売されると思います。価格と性能のバランスの良さが人気の秘密です。Core i7-9700搭載モデルが多かったことからもわかりますね。すでに見てきたとおりマルチコア性能/シングルコア性能が高く動画編集、RAW現像、ゲームプレイなど幅広く対応することができます。
また、CPU内蔵グラフィックス(UHD Graphics 630)が搭載されているのも高評価です。外付けグラフィックボードよりも性能は劣るものの一般的な用途であれば問題ありません。グラフィックボードレスモデルのラインナップも増えるでしょう。第3世代RyzenシリーズにはCPU内蔵グラフィックスが搭載されていませんので、ここはIntel製CPUの強みとなります。
Core i5-10400よりもワンランク高い性能を持ちゲーム用途ではCore i7-10700が主なCPUとなるはずです。動画編集やRAW現像などマルチスレッド性能が重要となる用途においても重宝すること間違いなしです。より高みを目指したいならCore i7-10700Kも選択肢に入りますね。
Core i7-10700のベンチマーク
Cinebench R20
7-Zip
Core i7-10700のゲームプレイ時のフレームレート
Grand Theft Auto 5
Far Cry 5
Core i7-10700搭載のおすすめBTOパソコン
Magnate GE(ドスパラ)
価格:79,980円
CPU:Core i7-10700
GPU:UHD Graphics 630
メモリ:DDR4 8GB
SSD:250GB
HDD:1TB
電源:500W 80PLUS BRONZE
STYLE-M046-LCiX7-UHS(パソコン工房)
価格:87,980円
CPU:Core i7-10700
GPU:UHD Graphics 630
メモリ:DDR4 8GB
SSD:480GB
HDD:非搭載
電源:350W BRONZE
mouse DT7-G-MGZN
価格:99,800円
CPU:Core i7-10700
GPU:GeForce GTX 1650 Super
メモリ:8GB
SSD:256GB
HDD:1TB
G-GEAR GA7J-E201/T(TSUKUMO)
価格:108,910円
CPU:Core i7-10700
GPU:GeForce GTX 1650
メモリ:DDR4 16GB
SSD:240GB
HDD:非搭載
電源:700W BRONZE
GALLERIA XA7C-R70S(ガレリア)
価格:174,980円
CPU:Core i7-10700
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:650W BRONZE
当記事のまとめ
当記事では、Intel第十世代のCore i7-10700の性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しました。Core i7-10700は、8コア16スレッドと前世代のモデルとは異なりハイパースレッディングに対応しています。これによってCPUの総合性能が大きく向上しました。1年遅れてRyzen 7 3700Xとやっと肩を並べることができました。
Ryzen 7 3700Xよりも高いゲーム適性を持ちより扱いやすくなったと言えます。ゲームプレイを中心に考えるならCore i7-10700がおすすめです。その他にも動画編集、RAW現像、3D CADなど幅広く対応することが可能です。
Core i7-10700搭載モデルにはグラフィックボードレスモデルがあります。価格を抑えられるというのが大きなメリットです。ドスパラの「Magnate GE」は税抜10万円以下で購入できるお得なモデルです。一般的な作業用PCとしておすすめです。グラフィックス性能が必要だという方はマウスコンピューターの「mouse DT7-G-MGZN」やTSUKUMOの「G-GEAR GA7J-E201/T」が選択肢に入ります。
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価格 | ショップ |
5万円以下、5万円-10万円等 | ドスパラ、パソコン工房等 |
CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |