画像引用元:https://pg.asrock.com/ *イメージです
当記事では、「Intel Arc A770の性能スペックと搭載BTOパソコン」を紹介しています。2022年10月にIntel Arc A770が発売開始となりました。先にIntel Arc A380が発売されましたが、性能的には物足りなさがあり期待外れだったと言えるでしょう。このIntel Arc A770は、Intel製グラフィックボードのフラグシップモデルです。下位モデルにIntel Arc A750もあります。
NVIDIA/AMD製モデルで言えばミドルクラス相当のグラフィックス処理性能を持っています。レイトレーシングやAV1エンコードに対応しているなど機能面でも充実しています。一方で、ドライバーが不安定でタイトルによっては極端にパフォーマンスが落ち込んでしまうことがあります。当該モデルにはGPUメモリ容量が16GB/8GBと2種類の派生モデルがあります。ここでは16GBモデルを中心にベンチマークを見ていきます。
(+) 24年振りのインテル製グラフィックボード
(+) ミドルクラスの性能を持つ
(+) GPUメモリ容量が8GB or 16GBと大容量
(+) レイトレーシング性能が高い
(+) AV1エンコード/でコードに対応している
(-) コストパフォーマンスは低い
(-) 消費電力が高い
(-) ドライバーが不安定
Intel Arc A770の基本スペック
世代 | Alchemist |
プロセス | TSMC 6nm |
CUDAコア | 4096 |
RTコア | 32 |
Tensorコア | 512 |
ベースクロック | 2100 MHz |
ブーストクロック | 2400 MHz |
GPUメモリ容量 | GDDR6 16GB |
TDP | 225 W |
価格 | $329 (54,980円~) |
発売日 | 2022年10月12日 |
目次
Intel Arc A770のスペック比較
Intel Arc A750と比較
Arc A770 | Arc A750 | |
---|---|---|
コードネーム | Alchemist | Alchemist |
GPU | ACM-G10 | ACM-G10 |
プロセス | 6 nm | 6 nm |
トランジスタ数 | 217億 | 217億 |
ダイサイズ | 406 mm² | 406 mm² |
SMs | 32 | 28 |
CUDAコア | 4096 | 3584 |
RTコア | 32 | 28 |
Tensorコア | 512 | 448 |
ベースクロック | 2100 MHz | 2050 MHz |
ブーストクロック | 2400 MHz | 2400 MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 16GB or 8GB | 8GB |
メモリクロック | 17.5 Gbps | 16 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 256 bit |
メモリ帯域幅 | 560.0 GB/s | 512.0 GB/s |
L2キャッシュ | 16 MB | 16 MB |
TDP | 225W | 225W |
公式価格 | $349 | $289 |
搭載モデル価格 | 204,980円~ | 154,980円~ |
発売日 | 2022/10/12 | 2022/10/12 |
Arc A770ではフルスペックのACM-G10を採用していてSM数は32とArc A750よりも15%多くなっています。CUDAコアも15%多く4096です。RTコア・Tensorコアもそれぞれ比例して増えています。ベースクロックは50MHz高く、ブーストクロックはArc A750と同じ2400MHzです。
メモリ規格はGDDR6となります。Arc A750はGPUメモリ容量が8GBで固定ですが、Arc A770では16GBと8GBのモデルが混在しています。国内のBTOパソコンは後者のモデルが採用されることが多いです。16GBモデルよりも少し性能が低いモデルだと考えておくと良いでしょう。
Arc A770ではメモリクロックが17.5 GbpsとArc A750よりも9%速いです。従ってメモリバスは256 bitと共通となっているものの、メモリ帯域幅が9%広くなっています。L2キャッシュ容量は16MBと変わりありません。TDPも225Wと同じですね。価格差は$60です。Arc A770の8GBモデルは$329となります。搭載モデルの価格では50,000円程度の差があります。搭載しているCPUの差も影響していますね。
他社モデルと比較
Arc A770 | RTX 3060 | RX 6650 XT | |
---|---|---|---|
コードネーム | Alchemist | Ampere | RDNA 2.0 |
GPU | ACM-G10 | GA106 | Navi 23 |
プロセス | 6 nm | 8 nm | 7nm |
トランジスタ数 | 217億 | 120億 | 110.6億 |
ダイサイズ | 406 mm² | 276 mm² | 237 mm² |
SMs | 32 | 28 | 32 |
CUDAコア | 4096 | 3584 | 2048 |
RTコア | 32 | 28 | 32 |
Tensorコア | 512 | 112 | - |
ベースクロック | 2100 MHz | 1320 MHz | 2055 MHz |
ゲームクロック | - | - | 2410 MHz |
ブーストクロック | 2400 MHz | 1777 MHz | 2635 MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 16GB or 8GB | 12GB | 8GB |
メモリクロック | 17.5 Gbps | 15.0 Gbps | 17.5 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 192 bit | 128 bit |
メモリ帯域幅 | 560.0 GB/s | 360.0 GB/s | 280.3 GB/s |
L2キャッシュ | 16 MB | 3MB | 2 MB |
Infinity Cache | - | - | 32MB |
TDP | 225W | 170W | 176W |
公式価格 | $349 (54,980円) | $329 (41,980円) | $399 (45,800円) |
搭載モデル価格 | 204,980円~ | 139,800円~ | 149,800円~ |
発売日 | 2022/10/12 | 2021/02/25 | 2022/03/10 |
Arc A770はCUDAコアが4096とかなり多いです。もちろんこの数値が高い=性能が高いということではありません。同じIntel製グラフィックボードの中では当てはまりますが、GeForceやRadeonシリーズには当てはまりません。Arc A770はTensorコアが512と多くなっています。これも性能を表すわけではありません。ここで注目したいのは一世代目のモデルでRTコア・Tensorコアを搭載したことです。しかもパフォーマンス面でも見劣りしないどころがRadeon RX 6650 XTよりも上です。
さらに、メモリ周りが強力です。メモリ容量が16GBと大容量なのが一つです。また、メモリクロック17.5 Gbps、メモリバス256 bitと競合よりも優れています。メモリ帯域幅も560.0 GB/sとワンランク上のスペックを誇ります。L2キャッシュ容量も16MBと余裕があります。Radeon RX 6650 XTではL3キャッシュ(Infinity Cache)を採用していてメモリ帯域幅の狭さをカバーしています。
Arc A770は消費電力が225Wとやや大きいです。競合モデルよりも30%前後消費電力が高いです。単体価格としてみるとRTX 3060がお買い得です。Arc A770はやや割高だと言えます。搭載モデルの価格も全く異なりますね。RTX 3060やRadeon RX 6650 XTの方が購入しやすいです。発売から時間が経過していることもあって価格も抑えられていますね。Arc A770はリリースされるのが遅すぎましたね。
Intel Arc A770ってどんなグラフィックボード?
競合モデルと同等のグラフィックス処理性能を持つ
Intel Arc A770は、競合モデルであるRadeon RX 6650 XT/RX 6600 XT及びGeForce RTX 3060と同等のグラフィックス処理性能を持つグラフィックボードです。GeForce RTX 3060よりも3%程度上回り、Radeon RX 6650 XTよりも6%劣ります。FULL HD環境でのゲームプレイを考えている方向けのモデルです。GPUメモリ16GBモデルなら高解像度でもフレームレートが上がりやすいです。
もちろん全く問題がないわけではありません。まず、Resizable BARの有効化が必須です。Ryzen 3000シリーズ、Intel第10世代CPU以降の対応チップセットで利用できる機能で、ゲーミング性能を向上させることができます。Resizable Barが無効化されている状態では著しくフレームレートが低下してしまいます。それよりも古いCPUを利用している方はIntel Arc A770を選択するべきではありません。
また、NVIDIAやAMDのグラフィックボードと比べるとドライバーが不安定でタイトルによってはフレームレートが落ち込むことがあります。ドライバーの改善は時間の経過が必要です。長い目で見る必要があります。ユーザーからすると安定感を重視したいと考えるのが普通だと思います。そうなるとやはりNVIDIAやAMDのグラフィックボードが良いと思います。特に初心者の方はIntel Arc A770の選択は避けるべきです。
レイトレーシング・XeSS・エンコードなど機能面も充実
レイトレーシングやXeSS(アップスケーリング・テクノロジー)といった機能も搭載されています。NVDIAのGeForceと比べると少しパフォーマンスは劣りますが、AMDのRadeonシリーズよりは高いレイトレーシング適性を持っています。最新の技術もしっかりと投入されています。Intelが24年振りにリリースしたグラフィックボードだということを考慮すれば十分過ぎますね。
また、AV1エンコード・デコードに対応しているのも評価できる点です。もちろんHEVC・H.265・H.264など定番のコーデックにも対応しています。2023年時点ではRTX 40シリーズやRX 7900シリーズなど10万円以上のモデル以外ではAV1エンコードに対応していません。Intel Arc A770なら5万円台で購入できるのでコスト面から非常に有利です。
消費電力が高い
Intel Arc A770の弱点の一つに消費電力の高さが挙げられます。Arc A770と同等の性能を持つRX 6600 XTよりも最大50%も消費電力が高いです。NVIDIAのRTX 3060よりも35%も高くなっています。Arc A770は、省電力性が高くなるはずの6nmプロセスを採用しているにも関わらず、性能を引き上げるために高いクロック周波数を実現したことと強力なGPUメモリを搭載したことで消費電力が高くなっていると考えられます。
さらに、ドライバーの問題なのかアイドル時の消費電力が極端に高いのも気になるところです。他のモデルの10倍以上の数値なのは異常ですね。アイドル時の消費電力については今後改善される可能性があります。Intel Arc A770を搭載するなら700W BRONZE以上の電源ユニットを選択したいですね。
搭載BTOパソコンのラインナップが少ない
Intel Arc A770を搭載したBTOパソコンはラインナップが少なく選択肢がほとんどないのが現状です。2023年3月時点でドスパラで1機種、パソコン工房で2機種取り扱いがあるだけです。また、ラインナップもGPUメモリ16GBバージョンではなく、8GBバージョンでパフォーマンス面でも見劣ります。せっかくなら16GBバージョンを搭載したモデルが良かったですね。
競合モデルのGeForce RTX 3060やRadeon RX 6650 XT搭載モデルと比べると格段に数が少ないです。これだと各BTOメーカー間での価格競争も起きず、ユーザーからするとデメリットが大きいように思います。Intelが好きでこの機会にぜひともIntel Arc A770搭載モデルを選択したいという方でなければおすすめできません。
Intel Arc A770搭載PC使用時のフレームレート一覧
*フレームレート(fps)とは、1秒間における表示可能なコマ数です。通常60fps以上の数値があれば快適だと言えます。
Borderlands 3
Metro Exodus
Cyberpunk 2077
Elden Ring
Intel Arc A770のその他ベンチマーク
レイトレーシング-Watch Dogs:Legion
レイトレーシング-Cyberpunk 2077
レイトレーシング&DLSS-Control
Intel Arc A770搭載のおすすめBTOパソコン
GALLERIA XA7C-A770(ドスパラ)
価格:204,980円(税込)
CPU:Core i7-13700F
GPU:Intel Arc A770 8GB
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R779-LC137KF-A8X(パソコン工房)
価格:254,800円(税込)
CPU:Core i7-13700KF
GPU:Intel Arc A770 8GB
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
LEVEL-R779-LC139KF-A8X(パソコン工房)
価格:294,800円(税込)
CPU:Core i9-13900KF
GPU:Intel Arc A770 8GB
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
Intel Arc A770はこんな方におすすめ!
Intel Arc A770は、Intelが24年振りに市場に投入したコンシューマー向けのグラフィックボードです。Intel Arc Aシリーズのフラグシップモデルとなっています。Intel Arc A380とは一線を画するモデルで、性能的にはミドル相当となります。NVIDIA GeForce RTX 3060やAMD Radeon RX 6650 XT/RX 6600 XTなどが競合です。レイトレーシングやAV1エンコードに対応しているなど最新モデルらしい一台です。後発モデルながら必要なポイントはしっかりと押さえられている印象です。
搭載BTOパソコンはまだ3機種しかありません。ドスパラとパソコン工房から販売されています。ドライバーの不安定さを考えるとそれほどおすすめできるわけではありません。想定よりも販売が遅くなってしまいなかなか厳しい立場にあります。Intelが好きで第三の勢力として今後への投資として考えられるユーザー向けだと言えます。
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