当記事では、Ryzen 9 7950Xの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。Ryzen 9 5950Xの後継モデルでRyzen 7000シリーズのフラグシップモデルです。Zen 4アーキテクチャへと変わり16コア32スレッドと驚異的なスペックを誇ります。旧世代のRyzen 9 5950XもIntel第十二世代のCore i9-12900Kがリリースされるまではトップの性能を持つモデルとして君臨していました。
Ryzen 9 7950XはそのCore i9-12900Kを超える性能を持つCPUですが、今回もIntel第十三世代のCore i9-13900Kの発売を控えていて混沌とした状況に陥っています。Core i9-12900Kよりも高い性能を持っていることは間違いないでしょう。Ryzen 9 7950Xが頂点にいる期間は短いかもしれません。もちろんユーザーからすると選択肢が増えるということはメリットです。
(+) Ryzen 7000シリーズのフラグシップモデル
(+) 16コア32スレッドと驚異的なスペックを誇る
(+) CPU内蔵グラフィックスを搭載している
(-) 消費電力が高くなっている
(-) Core i9-13900Kの発売を控えている
(-) 搭載BTOパソコンの価格が高め
Ryzen 9 7950Xの基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 16 / 32 |
定格クロック | 4.50 GHz |
最大クロック | 5.70 GHz |
L3キャッシュ | 64MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 170W |
PPT | 230W |
価格 | $699 |
国内価格 | 115,980円~ |
発売日 | 2022/09/27 |
目次
Ryzen 9 7950Xのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ |
Ryzen 9 7950Xのスペック比較
AMD製CPUと比較
9 7950X | 9 7900X | 9 5950X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | 131.4億 | 83.0億 |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 2x 70 mm² | 2x 81 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | 124.7 mm² | 124 mm² |
コア | 16 | 12 | 16 |
スレッド数 | 32 | 24 | 32 |
定格クロック | 4.5GHz | 4.7GHz | 3.4GHz |
最大クロック | 5.7GHz | 5.6GHz | 4.9GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 64MB | 64MB | 64MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | 非搭載 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 170 W | 170 W | 105 W |
PPT | 230 W | 230 W | 142W |
価格 (実売価格) | $699 (115,980円) | $549 (89,980円) | $799 (82,705円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2022年09月27日 | 2020年11月05日 |
ダイサイズは13%小さく2×70m㎡です。I/Oプロセスも12nmから6nmへと微細化されています。I/Oダイサイズは124.7m㎡と同等です。コア/スレッドも16コア32スレッドと変更なしです。定格クロックが33%高く、最大クロックも17%高くなりました。L3キャッシュ容量は64MBと共通です。対応メモリがDDR4-3200からDDR5-5200へとアップグレードされています。
第五世代(Ryzen 7000シリーズ)からはCPU内蔵グラフィックスが搭載されています。スペックが高いわけではありませんが、一般的なモニター出力などに対応可能です。PCI-Expressは、Gen 4からGen 5へと変更されました。TDPは105Wから70%高く170Wとなっています。PPTも142Wから62%高く230Wとなりました。価格は$100安くなっています。国内販売価格は約33,000円高いです。
下位モデルのRyzen 9 7900Xでも8つのコアを持つCCX(Core Complex)を二基搭載していますが、全部で四つのコアが無効化されていて12コア24スレッドというスペックです。定格クロックはRyzen 9 7900Xの方が5%高いですが、最大クロックはRyzen 9 7950Xの方が0.1 GHzだけ高くなっています。L3キャッシュは64MBと共通です。価格差は$150で、実売価格では26,000円の差があります。
Intel製CPUと比較
Ryzen 9 7950X | Core i9-12900K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Alder Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | - |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 215 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | - |
トータルコア数 | 16 | 16 |
トータルスレッド数 | 32 | 24 |
Pコア(スレッド) | 8(16) | |
Eコア(スレッド) | 8(8) | |
定格クロック(P) | 4.5GHz | 3.2GHz |
最大クロック(P) | 5.7GHz | 5.2GHz |
定格クロック(E) | - | 2.4GHz |
最大クロック(E) | - | 3.9GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 64MB | 30MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 |
TDP | 170 W | 125W |
PPT | 230 W | 241W |
価格 (実売価格) | $699 (115,980円) | $599 (79,980円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2021年11月04日 |
Core i9-12900は、16コア24スレッドというスペックです。8つのPコアと8つのEコアを搭載しています。従来モデルまでのコアに相当するPコアのみハイパースレッディングに対応しています。Pコアの定格クロックはRyzen 9 7950Xの方が40%高く、最大クロックもRyzen 9 7950Xの方が10%高いです。どちらのモデルもオーバークロックに対応していて環境次第でより高みを目指せます。
L3キャッシュ容量はRyzen 9 7950Xの方が多く64MBです。Core i9-12900KではDDR5メモリだけではなくDDR4メモリにも対応しています。CPU内蔵グラフィックスはどちらも標準搭載です。Core i9-12900KもPCI-ExpressはGen 5をサポートしています。TDPはRyzen 9 7950Xの方が36%高く170Wで、PPT(PL2)はCore i9-12900Kの方が高く241Wです。価格差は$100でRyzen 9 7950Xの方が高いです。実売価格では36,000円の差があります。Core i9-12900Kは発売されて1年近く経過していることもあって価格が下がって来ています。次世代モデルが発表された影響もあるでしょう。
Ryzen 9 7950XってどんなCPUなの?
Ryzen 7000シリーズのフラグシップモデル
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Ryzen 9 7950Xは、Zen 4アーキテクチャ採用のRyzen 7000シリーズにおけるフラグシップモデルです。5nmプロセスを採用していてさらに進化しています。一般的にはプロセスの微細化は、パワー効率の向上や低コストなどのメリットがあります。発売時点で最強の性能を持つCPUとなっています。16コア32スレッドと驚異的なスペックを持ちクリエイター作業にも最適です。
Zen 4は、Zen 3アーキテクチャと比べてIPC(Instruction Per Clock)が13%改善されています。クロックあたりの処理命令を意味します。つまり、クロック周波数が同じなら13%高いパフォーマンスを発揮できるということです。IPCはCPUの要とも言えるもので重要な役割を果たします。一方で、消費電力が高くなっているのはデメリットだと言えます。当然発熱量も大きく熱のコントロールが必須です。AMDは、240mm水冷CPUクーラーの使用を推奨しています。
なお、今世代ではSocket AM4からSocket AM5へと一新されました。DDR5メモリ対応・PCIe 5.0対応がハイライトです。CPUクーラー以外については基本的に互換性がありません。Ryzen 9 7950Xを含むRyzen 7000シリーズへの換装を考えている場合は、マザーボードとメモリも合わせて購入する必要があります。コスト面はネックとなってしまいますね。
クリエイター向けの高パフォーマンスモデル
Ryzen 9 7950Xは、クリエイター向けの高パフォーマンスモデルです。従来モデルのRyzen 9 5950Xよりも25%以上も性能が高いです。競合のフラグシップモデルであるCore i9-12900Kよりも15%性能が高くしっかりと性能を底上げしてきました。Zen 4アーキテクチャの実力は本物です。ゲームプレイだけを考えるとRyzen 9 7900XやRyzen 7 7700Xでも十分です。Ryzen 9 7950Xを選ぶなら16コア32スレッドを活かせる用途を考えている方でないともったいないです。動画編集・3D CAD・ゲーム開発などが該当しますね。
2022年10月中旬にはIntelの次世代モデルであるRaptor Lake世代のCPUがリリース予定です。その上位モデルであるCore i9-13900Kに対してどの程度優位性があるのかあるいは劣ってしまっているのかは気になるところです。Intelの発表(ASCII.jp, 2022)によると、ゲーミング性能が最大24%高くクリエイター性能も最大34%高くなっているということです。つまり、現在の差を考えるとCore i9-13900Kが上回る可能性もあります。今後の動向をチェックしておいてくださいね。
搭載モデルの価格がかなり高い
すでにRyzen 9 7950Xを搭載したBTOパソコンが販売されていますが、軒並み価格が高く手を出しづらいです。最低でも36万円程度の予算が掛かります。これはRyzen 9 7950Xがリリースされたばかりでプレミアム価格になっているため受け入れる必要があると言えます。また、Ryzen 9 7950Xの特性上の要因も挙げられます。
例えば、Ryzen 9 7950Xは、CPU単体の発熱量が多くCPUの水冷クーラーや電源ユニットにもコストを掛けなければいけません。Ryzen 9 7950XがリリースされたことでRyzen 9 5950Xの価格が下がっていますし、Intel第十三世代CPUの発表でCore i9-12900Kの価格が下がっています。場合によってはこれらのCPUを選択肢に入れても良いと思います。
どうしてもRyzen 9 7950Xが欲しい方は年末年始まで待ってみると良いでしょう。その時までにはRyzen 5000シリーズの販売が終わってRyzen 7000シリーズの価格が落ち着いてくるはずです。年末商戦もありますのでユーザーからすると購入しやすい時期になります。
Ryzen 9 7950Xのベンチマーク
Cinebench R23
Adobe Photoshop
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Ryzen 9 7950Xのゲーミング性能
Borderlands 3
Far Cry 6
Elden Ring
Ryzen 9 7950Xのその他ベンチマーク
温度
消費電力
Ryzen 9 7950X搭載のおすすめBTOパソコン
G-Master Spear X670A(サイコム)
価格:364,100円(税込)
CPU:Ryzen 9 7950X *カスタマイズ
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
ZEFT R40AY(セブン)
価格:428,780円(税込)
CPU:Ryzen 9 7950X
GPU:GeForce RTX 3070 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
ZEFT R40VX(セブン)
価格:571,780円(税込)
CPU:Ryzen 9 7950X
GPU:GeForce RTX 3080 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:2TB
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 9 7950Xの性能スペック&搭載BTOパソコンについて紹介しました。Ryzen 9 7950Xは、最新のZen 4アーキテクチャを採用した高パフォーマンスモデルです。16コア32スレッドと従来モデルのRyzen 9 5950Xを踏襲しつつ、クロック周波数の引き上げなどで総合力が向上しています。これまで弱点だったシングルスレッド性能も飛躍的に向上しています。
Cinebench R23でのシングルスレッド性能もCore i9-12900Kに匹敵するほどです。ゲームプレイ+αでの使用を考えている方におすすめです。ゲーミング性能だけで言えばRyzen 9 7900XやRyzen 7 7700Xと比べて大きく伸びるわけではありません。16コア32スレッドを活かせる用途を考えている方でないとRyzen 9 7950Xを選ぶメリットが薄いです。
すでに搭載モデルが販売されていて税込36万円台から購入できます。グラフィックボードはRTX 3060が基準となります。Ryzen 9 7950Xの性能を考えるとRTX 3070 Ti以上のモデルを組み合わせたいですね。Intel第十三世代CPUのリリースを控えていてRyzen 9 7950Xの立ち位置がどのように変わるのか気になるところです。2023年に向けてパソコン市場が盛り上がりそうです。
参照外部サイト
- AMD Ryzen 7000 Zen 4 Launch: Speeds, Specs, All You Need To Know And An RDNA 3 Surprise(HOTHARDWARE, 2022)
- Core i9-13900Kの動作クロックは最大5.8GHz!Raptor Lake-SことデスクトップPC向け第13世代Coreが発表(ASCII.jp, 2022)
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CPU | グラフィックボード |
Core i7-12700、Core i5-1240P等 | RTX 3070、RTX 3060等 |
当ページベンチマークテスト環境
- ソフトウェア:Windows 11 Professional 64-bit
- グラフィックス:EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 Ultra
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF1 1200 W
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero