当記事では、Ryzen 7 7700Xの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。Ryzen 7 5700Xの後継モデルが登場しました。8コア16スレッドとコア/スレッド共に従来モデルと同じです。このRyzen 7シリーズは、シングルCCXという特性上特にゲーマーの方に人気のあるCPUです。
ゲームプレイなどの用途においてはデュアルCCXを採用しているRyzen 9シリーズよりも高い性能を発揮することがあります。2022年10月にIntel第十三世代CPUがリリースされる予定です。Intel第十二世代CPUと比べると確かに上回っていると考えても良いと思いますが、次世代モデルが登場すると立場が変わってしまうかもしれません。
(+) 8コアCPUながら高いパフォーマンスを発揮する
(+) i7-12700Kと同等以上の処理性能を誇る
(+) ゲーム適性が大きく向上している
(-) 消費電力が大幅アップ
(-) 搭載モデルの価格が高い
(-) Intel第十三世代CPUが脅威となる
Ryzen 7 7700Xの基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 8 / 16 |
定格クロック | 4.50 GHz |
最大クロック | 5.40 GHz |
L3キャッシュ | 32MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 105W |
PPT | 142W |
価格 | $399 |
発売日 | 2022/09/27 |
目次
Ryzen 7 7700Xのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ◎ | ◎ | ☆ | ◎ | ☆ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
☆ | ◎ | ◎ | ◎ | ☆ | ◎ | ◎ |
Ryzen 7000シリーズ(Zen 4)の概要
Ryzen 7000シリーズラインナップ
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
2022年8月29日の発表時点でのRyzen 7000シリーズのラインナップは四つです。Ryzen 7 7700Xは、上から三番目のモデルということになります。Ryzen 7シリーズはいつでももっとも人気のあるCPUと考えて良いと思います。価格と性能のバランスが良いからでしょう。
Ryzen 7 7700Xは1基のCCXのみを搭載したCPUで、CCXを2基搭載しているRyzen 9シリーズとは仕様が異なります。ゲームプレイなどシングルスレッド性能が重視される用途においては1基のCCX採用モデルの方が有利になることが多いです。CCX同士のやり取りが発生せずレイテンシ遅延がないからです。
5nmプロセスを採用
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Ryzen 7000シリーズでは新たに5nmプロセスが採用されています。プロセスが小さくなると省電力化や機能面の強化などで有利になります。クロック周波数を引き上げることができたのもこのプロセスの微細化によるメリットだと言えます。また、一つのウェーハーから製造されるチップの量が増えるためコスト面でも有利です。
Radeon Graphicsを搭載しているのも注目すべき点となります。これまでIntel製CPUが独占していたビジネス向けモデルにもRyzen 7000シリーズが選択される機会が増えるのではないかと思います。すでにdGPU非搭載のBTOパソコンが販売されています。
IPC改善
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Zen 4は、Zen 3アーキテクチャと比べてIPCが13%改善されています。簡単に言えば同じクロック周波数でも13%高い性能を発揮するということです。このIPCの改善は、フロントエンド・ロード/ストアなどの改良によって実現しています。
Socket AM5
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
ついにSocket AM5へと変更されています。基本的に従来モデルのAM4との互換性はありませんが、CPUクーラーに関してのみ互換性があります。最大230WのSocket Power Delivery、DDR5メモリサポート、PCIe 5.0サポートなどが実現しました。旧世代のRyzenシリーズの買い替えの場合マザーボード及びメモリのアップグレードが必要です。
Ryzen 7 7700Xのスペック比較
AMD製CPUと比較
7 7700X | 9 7900X | 7 5700X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | 131.4億 | 41.5億 |
ダイサイズ | 70 mm² | 2x 70 mm² | 81 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | 124.7 mm² | 124 mm² |
コア | 8 | 12 | 8 |
スレッド数 | 16 | 24 | 16 |
定格クロック | 4.5GHz | 4.7GHz | 3.4GHz |
最大クロック | 5.4GHz | 5.6GHz | 4.6GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 32MB | 64MB | 32MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | 非搭載 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 105 W | 170 W | 65W |
PPT | 142 W | 230 W | 76W |
価格 (実売価格) | $399 (63,980円) | $549 (89,980円) | $299 (35,980円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2022年09月27日 | 2022年04月04日 |
コア/スレッドは8コア16スレッドと共通です。定格クロックが33%高く、最大クロックも18%高いです。オーバークロックに対応しているのも共通点ですね。L3キャッシュは32MBとなります。メモリタイプはDDR4-3200からDDR5-5200へとアップグレードされました。また、Ryzen 7 7700XではCPU内蔵グラフィックスにRadeon Graphicsが搭載されています。これによってビジネスモデルなどでもRyzenシリーズのCPUが選択しやすくなりました。
PCI-ExpressはGen 4からGen 5へと変わっています。TDPはRyzen 7 5700Xよりも60%高く、PPTも90%程度高いです。価格は$100アップです。実売価格では28,000円の差があります。Ryzen 7 7700Xの価格を見る限り、Ryzen 7 5700Xの上位モデルであるRyzen 7 5800Xが近いかもしれません。MSRPは$449で実売価格は39,180円です。おそらく旧世代ではRyzen 7 5800XとRyzen 7 5800X3Dの立場がわかりづらかったため、今回一つランクを落とした形です。
上位モデルのRyzen 9 7900Xになると、8つのコアを持つCCXが2基になります。ダイサイズが「x2」となっているのはCCXが一つ増えているためです。トランジスタ数も倍です。Ryzen 9 7900Xは、全部で16個のコアの内4コアが無効化されています。つまり、コア/スレッド数は12コア24スレッドとなります。Ryzen 7 7700Xよりもそれぞれ33%多くなります。
定格クロックはRyzen 9 7900Xの方が5%高く、最大クロックもRyzen 9 7900Xの方が4%高いです。どちらのモデルもオーバークロックに対応しています。L3キャッシュは倍の64MBとなります。メモリタイプ・CPU内蔵グラフィックス・PCI-Expressは変わりなしです。TDPはRyzen 9 7900Xの方が70%高く170Wです。PPTも230WとRyzen 7 7700Xよりも63%高いです。価格差は$150で、実売価格では26,000円の差があります。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 7700X | Core i7-12700K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Alder Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | - |
ダイサイズ | 70 mm² | 215 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | - |
トータルコア数 | 8 | 12 |
トータルスレッド数 | 16 | 20 |
Pコア(スレッド) | 8(16) | 8(16) |
Eコア(スレッド) | - | 4(4) |
定格クロック(P) | 4.5GHz | 3.6GHz |
最大クロック(P) | 5.4GHz | 5.0GHz |
定格クロック(E) | - | 2.7GHz |
最大クロック(E) | - | 3.8GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 32MB | 25MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 105 W | 125 W |
PPT | 142 W | 190 W |
価格 (実売価格) | $399 (63,980円) | $409 (59,529円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2021年11月04日 |
Core i7-12700Kはハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて12コア20スレッドというスペックです。8つのPコアと4つのEコアを搭載しています。一般的なCPUのコアはPコアだと考えておくと良いでしょう。Eコアは高効率コアで比較的負荷の軽い作業を担当します。Pコアの定格クロックは3.6GHzで、最大クロックは5.0GHzです。それぞれRyzen 7 7700Xの方が24%・8%高いです。
Zen 4アーキテクチャになって大きくクロック周波数を引き上げていますね。参考までにCore i7-12700KのEコアの定格クロックは2.7GHzで、最大クロックは3.8GHzです。Pコアと比べるとクロック周波数が抑えられていることがわかります。Core i7-12700Kもオーバークロックに対応していてより高いパフォーマンスを期待できます。
L3キャッシュ容量はRyzen 7 7700Xの方が30%高く32MBです。Core i7-12700Kの対応メモリはDDR5-4800あるいはDDR4-3200です。DDR4との互換性があるのがRyzen 7 7700Xとの違いです。Core i7-12700KもCPU内蔵グラフィックスを搭載しています。Core i7-12700KのPCI-ExpressはGen 4です。
TDPは125WでRyzen 7 7700Xよりも20%高いです。PPTもRyzen 7 7700Xよりも34%高くなっています。これはクロック周波数を引き上げたことによるもので仕方がないですね。現時点での実売価格では4,200円程度の差があります。Core i7-12700Kは発売から一年ですでに次世代モデルが発表されています。Core i7-13700Kは気になるモデルです。
Ryzen 7 7700XってどんなCPUなの?
8コア16スレッドというスペックを持つCPU
Ryzen 7 7700Xのスペックは8コア16スレッドと最新モデルとしてはやや控えめと言えるかもしれません。従来モデルのRyzen 7 5800XやRyzen 7 5700Xと同じです。これは競合モデルよりもやや見劣りしてしまうかもしれません。Core i7-12700Kは、12コア20スレッドとスペックが高いです。もちろんAMDが何も対策をしないはずがありません。
Zen 4アーキテクチャになってより高いクロック周波数を実現してコアの少なさをカバーしています。結果的にコアの多い競合モデルと同等以上のパフォーマンスを期待できます。一方で、消費電力が高くなってしまったのはデメリットと言えるでしょう。スペック表では60%-90%も高いです。
いくらプロセスを微細化してもそれ以上にクロック周波数を引き上げてしまうとその代償として消費電力アップが起こり得ます。それでもRyzen 9シリーズとは違ってCPUクーラーの推奨モデルなどはなく許容範囲だと思います。Intel Core i7-12700Kと比べても消費電力は抑えられています。
ゲーミング適正の高いCPUの一つ
Ryzen 7 7700Xは、ゲームプレイを考えている方におすすめのCPUとなっています。8コア16スレッドとゲームプレイにおいてちょうど良いスペックです。ベンチマークを見るとわかる通り上位モデルであるRyzen 9 7900Xよりも高いフレームレート叩き出すことがあります。少なくともRyzen 9シリーズよりも大きく下回ることはなく、コストパフォーマンスの観点からもRyzen 7 7700Xはおすすめしやすいです。
従来モデルのRyzen 7 5800X/Ryzen 7 5700Xよりも大幅にゲーム適性が向上していてIntel第十二世代CPUと同等の性能を発揮します。Ryzen 7000シリーズの中でゲーミングCPUを選ぶならシングルCCXのRyzen 7 7700Xあるいは下位モデルのRyzen 5 7600Xを候補に入れると良いでしょう。クリエイター作業をメインに考えているならRyzen 9シリーズやCore i7シリーズを検討しましょう。コアが増えるのでより高いパフォーマンスを発揮して作業効率アップに繋がります。
搭載BTOパソコンの価格は高め
Ryzen 7 7700Xを搭載したBTOパソコンの価格は、他のRyzen 7000シリーズと同様にかなり高めです。グラフィックボード非搭載モデルでも税込20万円を超えていて選びづらさがあります。今だと、旧世代のRyzen 5700X搭載モデルやIntel第十二世代のCore i7-12700搭載モデルを選択する方が良いかもしれません。
もう少し時間が経つまではこのプレミアム価格が続きそうです。年末年始ぐらいまで待てば落ち着くのではないかと思います。CPUにしてもグラフィックボードにしても登場したばかりはどうしても割高になってしまいますね。旧世代の在庫処分もしなければいけませんし仕方がないところです。
Ryzen 7 7700Xのベンチマーク
Cinebench R23
Adobe Photoshop
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Ryzen 7 7700Xのゲーミング性能
Borderlands 3
Far Cry 6
Elden Ring
Ryzen 7 7700Xのその他ベンチマーク
温度
消費電力
Ryzen 7 7700X搭載のおすすめBTOパソコン
Radiant GZ3500X670A(サイコム)
価格:214,300円(税込)
CPU:Ryzen 7 7700X *カスタマイズ
GPU:Radeon Graphics(CPU内蔵)
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:480GB
HDD:非搭載
ZEFT R40L(セブン)
価格:298,980円(税込)
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:GeForce RTX 3060 Ti
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA ZA7R-R37 7700X搭載(ドスパラ)
価格:339,980円(税込)
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
当記事では、Ryzen 7 7700Xの性能スペック&搭載BTOパソコンについて紹介しました。Ryzen 7 7700Xは、Zen 4アーキテクチャを採用したモデルです。Ryzen 7 5700Xの後継モデルとなります。プロセスは5nmへとさらに微細化が進められています。8コア16スレッドとRyzen 7 5700Xとスペックは変わりませんが、より高いクロック周波数を実現していて高いパフォーマンスを発揮します。
すでにサイコム・パソコンショップセブン・ドスパラから搭載モデルがリリースされています。今はまだ価格が高めですが、時間が経てばもう少し買いやすくなるのではないかと思います。Intel第十三世代CPUのリリースも控えていてユーザーからすると迷ってしまうかもしれません。メーカー同士で競争が起こればユーザーはより高性能なモデルをより安く購入できるのでメリットが大きいです。
参照外部サイト
- AMD Ryzen 7000 Zen 4 Launch: Speeds, Specs, All You Need To Know And An RDNA 3 Surprise(HOTHARDWARE, 2022)
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CPU | グラフィックボード |
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当ページベンチマークテスト環境
- ソフトウェア:Windows 11 Professional 64-bit
- グラフィックス:EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 Ultra
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF1 1200 W
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero