当記事では、Ryzen 5 7600Xの性能スペック及び搭載BTOパソコンについて紹介しています。2022年9月にRyzen 5 5600Xの後継モデルが発売されました。6コア12スレッドというスペックを維持しつつ、Zen 4アーキテクチャになって生まれ変わっています。IPCの改善によってより高いパフォーマンスを発揮します。Socket AM4からSocket AM5へと変わったのもポイントです。これによりDDR5メモリやPCIe 5.0へ対応となりました。
Ryzen 5 7600Xは、今のところZen 4アーキテクチャを採用したラインナップの中でもっとも安い選択肢となります。$299とミドルクラスの価格帯で、競合は$289のCore i5-12600Kです。6コア12スレッドで、10コア16スレッドのCPUに対してどの程度迫れるかに注目したいですね。
(+) 従来モデルよりも25%高い処理性能を持つ
(+) ゲーミングCPUとして見るとコスパが高い
(+) Ryzen 7000シリーズの最安値モデル
(+) CPU内蔵グラフィックを搭載している
(-) プラットフォーム一新にコストが掛かる
(-) 登場したばかりで価格が高め
(-) Ryzen 5シリーズとしては消費電力が高い
Ryzen 5 7600Xの基本スペック
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 6 / 12 |
定格クロック | 4.70 GHz |
最大クロック | 5.30 GHz |
L3キャッシュ | 32MB |
対応メモリ | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
TDP | 105W |
PPT | 142W |
価格 | $299 |
発売日 | 2022/09/27 |
目次
Ryzen 5 7600Xのおすすめ用途
デュアル | 動画視聴 | 動画編集 | 動画投稿 | RAW現像 | マンガ | ゲーム |
☆ | ☆ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
デイトレ | 実況 | デザイン | DTM | Skype | CAD | ビジネス |
◎ | ○ | ○ | ○ | ☆ | ○ | ◎ |
Ryzen 7000シリーズ(Zen 4)の概要
Ryzen 7000シリーズラインナップ
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
2022年8月29日の発表時点でのRyzen 7000シリーズのラインナップは四つです。Ryzen 5 7600Xは、一番下のモデルということになります。Ryzen 5シリーズは、価格を抑えつつ一定の性能を持つモデルを選択したいと考えているユーザー向けです。将来的にはもう一段階価格帯の低いRyzen 5 7600やRyzen 7 7500がリリースされる可能性もあります。
Ryzen 5 7600Xは、Ryzen 7 7700Xと同様に1基のCCXのみを搭載したCPUで、CCXを2基搭載しているRyzen 9シリーズとは仕様が異なります。ゲームプレイなどシングルスレッド性能が重視される用途においては1基のCCX採用モデルの方が有利になることが多いです。CCX同士のやり取りが発生せずレイテンシ遅延がないからです。
5nmプロセスを採用
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Ryzen 7000シリーズでは新たに5nmプロセスが採用されています。プロセスが小さくなると省電力化や機能面の強化などで有利になります。クロック周波数を引き上げることができたのもこのプロセスの微細化によるメリットだと言えます。また、一つのウェーハーから製造されるチップの量が増えるためコスト面でも有利です。
Radeon Graphicsを搭載しているのも注目すべき点となります。これまでIntel製CPUが独占していたビジネス向けモデルにもRyzen 7000シリーズが選択される機会が増えるのではないかと思います。すでにdGPU非搭載のBTOパソコンが販売されています。
IPC改善
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
Zen 4は、Zen 3アーキテクチャと比べてIPCが13%改善されています。簡単に言えば同じクロック周波数でも13%高い性能を発揮するということです。このIPCの改善は、フロントエンド・ロード/ストアなどの改良によって実現しています。
Socket AM5
出典:(HOTHARDWARE, 2022)
ついにSocket AM5へと変更されています。基本的に従来モデルのAM4との互換性はありませんが、CPUクーラーに関してのみ互換性があります。最大230WのSocket Power Delivery、DDR5メモリサポート、PCIe 5.0サポートなどが実現しました。
旧世代のRyzenシリーズの買い替えの場合マザーボード及びメモリのアップグレードが必要です。少なくとも2025年まではこのSocket AM5が使用されるということですので、今のタイミングで買い替えておけば長く使い続けることができます。
Ryzen 5 7600Xのスペック比較
AMD製CPUと比較
5 7600X | 7 7700X | 5 5600X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | 65.7億 | 41.5億 |
ダイサイズ | 70 mm² | 70 mm² | 81 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | 124.7 mm² | 124 mm² |
コア | 6 | 8 | 6 |
スレッド数 | 12 | 16 | 12 |
定格クロック | 4.7GHz | 4.5GHz | 3.7GHz |
最大クロック | 5.3GHz | 5.4GHz | 4.6GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 32MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | 非搭載 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 105 W | 105 W | 65W |
PPT | 142 W | 142 W | 76W |
価格 (実売価格) | $299 (47,380円) | $399 (63,980円) | $299 (26,930円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2022年09月27日 | 2020年11月05日 |
コア/スレッドは6コア12スレッドと共通です。定格クロックはRyzen 5 7600Xの方が27%高く、最大クロックもRyzen 5 7600Xの方が16%高いです。いずれのモデルもオーバークロックに対応しています。L3キャッシュ容量は32MBです。メモリタイプはDDR4-3200からDDR5-5200へとアップグレードされました。Ryzen 5 7600XにはDDR4メモリとの互換性はありません。
CPU内蔵グラフィックスが搭載されているのは注目ポイントです。これでビジネスモデルにも採用しやすくなりました。PCI-ExpressはGen 5へと変更されています。TDPはRyzen 5 5600Xよりも60%高く、PPTも88%高いです。クロック周波数を引き上げているので受け入れざるを得ないですね。MSRPは$299と共通ですが、Ryzen 5 5600Xは発売から時間も経ちかなり安くなっています。価格差は20,450円となります。性能差を考えると妥当だと思います。
上位モデルのRyzen 7 7700Xになると8コア16スレッドとなります。定格クロックはRyzen 5 7600Xの方が5%高く、最大クロックはRyzen 7 7700Xの方が2%高いです。その他TDPなどを基本的に含めてRyzen 5 7600Xと同じですね。価格は$399でRyzen 5 7600Xよりも$100高いです。実売価格では16,600円の差があります。
Intel製CPUと比較
Ryzen 5 7600X | Core i5-12600K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Alder Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | - |
ダイサイズ | 70 mm² | 215 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 124.7 mm² | - |
トータルコア数 | 6 | 10 |
トータルスレッド数 | 12 | 16 |
Pコア(スレッド) | 6(12) | 6(12) |
Eコア(スレッド) | - | 4(4) |
定格クロック(P) | 4.7GHz | 3.7GHz |
最大クロック(P) | 5.3GHz | 4.9GHz |
定格クロック(E) | - | 2.8GHz |
最大クロック(E) | - | 3.6GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 32MB | 20MB |
メモリタイプ | DDR5-5200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
PCI-Express | Gen 5 | Gen 4 |
TDP | 105 W | 125 W |
PPT | 142 W | 150 W |
価格 (実売価格) | $299 (47,380円) | $289 (43,970円) |
発売日 | 2022年09月27日 | 2021年11月04日 |
Core i5-12600Kは、ハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて10コア16スレッドというスペックです。6つのPコアと4つのEコアを搭載しています。PコアがRyzen 5 7600XのPコアと考えると良いでしょう。Ryzen 5 7600Xよりもそれぞれ66%・33%高いです。Pコアのクロック周波数を見ると定格クロックも最大クロックもRyzen 5 7600Xの方がそれぞれ27%・9%高くなっています。いずれのCPUもオーバークロックに対応しています。L3キャッシュはRyzen 5 7600Xの方が60%多く32MBです。
Core i5-12600KではDDR5メモリだけではなくDDR4メモリにも対応しています。なお、DDR5メモリは4800MHzまでです。Ryzen 5 7600Xと同様にCore i5-12600Kにも内蔵グラフィックスが搭載されています。Core i5-12600KのPCI-ExpressはGen 4です。TDPはCore i5-12600Kの方が20%高く、PPTもCore i5-12600Kの方が5%高いです。MSRPではCore i5-12600Kの方が$10安く、実売価格では3,410円安くなっています。Core i5-12600Kは発売から1年近く経過していて底値に近づいていると言えますね。
Ryzen 5 7600XってどんなCPUなの?
6コアCPUとして最高峰のパフォーマンスを持つ
Ryzen 5 7600Xは、6コア12スレッドというスペックを持つミドルクラスのCPUです。6コアのCPUとしてトップのパフォーマンスを発揮します。従来モデルのRyzen 5 5600Xよりも25%も性能が高くなりました。弱点だったシングルスレッド性能も大きく引き上げられています。用途によっては競合モデルである10コア16スレッドのCore i5-12600Kに匹敵するほどで動画編集・ゲーム実況・WEBデザインなどの用途にも適しています。
同じ6コア12スレッドのCore i5-12400と比べると性能差は大きいです。6コアCPUとしてこれ以上はないかもしれません。Zen 4アーキテクチャの採用に当たってAMDがソケットをAM5にアップグレードしたことで230Wまでの電源供給が可能となりました。将来的には6コア以上のコアを搭載する可能性もありますね。Intel第十三世代CPUの動向次第と言えるかもしれません。そうなればこれまで以上に高い性能を期待できます。
単体価格及び搭載BTOパソコンの価格は高め
Ryzen 5 7600Xの単体価格は47,380円~とやや高めになっていると言えます。競合モデルで同等の性能を持つCore i5-12600Kが43,970円なので、あと10%は安くなって欲しいところですね。Ryzen 5 7600Xの場合Socket AM5へと変わりました。Ryzen 5 5600Xなど以前のモデルからの換装を考えている場合、マザーボードやメモリなどの買い替えも必要です。
また、搭載BTOパソコンの価格もかなり割高です。サイコムのモデルを例に言えば、Core i5-12600K搭載モデルが151,690円~に対して、Ryzen 5 7600X搭載モデルが194,390円~と30%も高価です。リリース直後のプレミアム価格とメモリ・マザーボードなどのプラットフォームコストが掛かるということです。もう少し時間が経たないと厳しいですね。
Ryzen 5 7600Xのベンチマーク
Cinebench R23
Adobe Photoshop
Premiere Pro CC
動画エンコード
Zipファイル
Ryzen 5 7600Xのゲーミング性能
Borderlands 3
Far Cry 6
Elden Ring
Ryzen 5 7600Xのその他ベンチマーク
温度
消費電力
Ryzen 5 7600X搭載のおすすめBTOパソコン
Radiant GZ3500X670A(サイコム)
価格:194,390円(税込)
CPU:Ryzen 5 7600X
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:480GB
HDD:非搭載
ZEFT R40D(セブン)
価格:249,480円(税込)
CPU:Ryzen 5 7600X
GPU:GeForce RTX 3060 Ti
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
GALLERIA ZA5R-R36 7600X搭載(ドスパラ)
価格:279,980円(税込)
CPU:Ryzen 5 7600X
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR5-4800 16GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
HDD:非搭載
当記事のまとめ
Ryzen 5 7600Xの性能スペック&搭載BTOパソコンを紹介しました。Ryzen 5 7600Xは、Ryzen 5 5600Xの後継モデルでミドルクラスのモデルとなります。現時点でZen 4アーキテクチャを採用したRyzen 7000シリーズにおける最安値のモデルです。6コア12スレッドというスペックを維持しながらもRyzen 5 5600Xよりも25%も性能が高いです。
競合モデルで10コア16スレッドのCore i5-12600Kと同等のパフォーマンスを得られます。6コアで10コアのモデルと同等の性能を持っているのは驚愕です。それだけZen 4アーキテクチャが優れているということです。2022年10月時点では搭載BTOパソコンの価格は高めでまだ買い時とは言えません。今は旧世代のRyzen 5 5600Xも併売されていてRyzen 5 5600Xが完全になくなるまでは価格は安くならないでしょう。年末年始になればもう少し価格が引き下げられる可能性があります。それは単体のモデルとしても同等です。
参照外部サイト
- AMD Ryzen 7000 Zen 4 Launch: Speeds, Specs, All You Need To Know And An RDNA 3 Surprise(HOTHARDWARE, 2022)
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- グラフィックス:EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 Ultra
- メモリ:2x 16 GB DDR5-6000
- ストレージ:Neo Forza NFP065 1 TB M.2 NVMe SSD
- CPUクーラー:Arctic Liquid Freezer II 420 mm
- 電源ユニット:Thermaltake Toughpower GF1 1200 W
- マザーボード:ASUS X670E Crosshair Hero